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Kaleidscope-カレイドスコープ- ~俺、亜人間になります~  作者: AKIRA
-壱章- 学院編:リル=ローグルス
58/80

Episode56 返してもらおう

56話です。

前話が短かったので、もう一話投稿します。

~HERO side 徹~

「ここが……」


 目の前には、悠然とたたずむ建造物が一つ。

 周りの建物に比べ圧倒的な存在感と高さ。その外観は完全にガラス張りでセレン島中の建物が魔力によって生み出す光を乱反射している。

 そんなギラギラとした建造物、セレン自治区本部がそこにあった。


 --して主よ。策はあるのか?


「(それは、自治区に乗り込む策の話か?…いや、ちゃんとは考えてない)」

 心の中に語り掛けるラナの声。

 レイアさんにセレン自治区の場所を聞いた。レイアさんによるとここからリル先輩の気配を感じるとのことだ。…さすがは妖精族の長だよな。


 ー-…あえて言わせてもらうが、セレンの自治区はそこまで甘くはない。忍び込むにしても真正面から行くにしても策なしで飛び込むにはちと無謀なように思うがな。


「(わかってるさ。もちろん考えなしに突っ込むつもりはないよ。…でも大丈夫)」

 ラナにそう言って俺は、自治区本部から視線を逸らす。

 そうして視線を向けた先に、“彼女”は居た。


「…妾を呼び出すとは。なかなか豪胆よの、お前さんも」

「急にすみません。…でも、朔の力を借りたいと思っていたんです」

 そこにいたのは、兎人族の朔。

 リル先輩を助ける際の助っ人として呼んでおいたのだ。


「くくく…いや、よい。聞けば、不当に囚われている女子を助けるためだというではないか。協力せんわけにはいかんよ」

 そういう朔の表情はどこか嬉しそうだった。

「なんじゃ…?もしやお前さん、リルとかいう女子に対して何か下心などあるのか?」

 ニヨニヨといやらしい笑みを浮かべる朔。

「…?下心…?」

 何の話だ…?

「……。その様子だと妾の言っていることがよくわかってないようだな…」

 どことなくあきれた様子の朔に俺はいぶかしげに首をかしげる。

「まあ、よい。あの詩乃とかいう女子も大変だなぁ……」

 

 --うむ。わが主もそういったことには疎いようだ。


「うおっ!?どこからともなく声がッ?」

 …ああ、そうか。今ラナは朔に向けて話しかけたのか。

「その声については後で。…今は…」

 そうして再び俺は自治区本部に目を向けた。

「…そうだったな、わかっておるよ。きっと、妾はお前さんの期待に応えられるだろうさ」

 そう言って自信満々に答えてくれる朔は、俺にはすごく頼もしく思えた。

「……行こう」

 俺は意を決して歩き出した。

 セレン自治区最高責任者、オベリア。

 名前はレイアさんに聞いた。あとは…

「……」

 ふと、視線を感じて俺は横を向いた。


「ど、どうしました…?」

「…いや、何でもない。……しかし、お前さん。早まった行動はしてくれるなよ?」

「それは、どういう意味ですか?」

「……リルはおそらく無事だ。お前さんが想像していることよりも、数倍安全で適切に“管理”されているはずだからな」

 そう言って苦虫をかみつぶしたような表情をする朔に、俺は何もためらわず言い放った。

「それが、おかしいんですよ」




 ダンッ!!

 扉を蹴破る。

 行儀が悪い、とは思った。しかし、今の俺にそんなことを考えている余裕はない。

「……セレン自治区政策執行部。ここで合ってますか」

 俺は視線の先にいる透明な羽の生えた女性に尋ねる。

「…ええ、そのとおりです。間違っていませんよ」

 そうして振り返った彼女の顔はどこか冷たくて、そして冷え切った眼をしていた。

「…確認します。あなたがオベリアさん、ですね?」

「…いかにも。わたくしがオベリアですわ」

 上品な妖精族。

 一見、そんな印象を受ける。…しかし。


「単刀直入に申し上げます」

 俺は容赦する気はない。

「……リル先輩を返してもらおう」


 怒気を含ませてはなった俺の言葉に、目の前の妖精族はまるで煩わしいモノを見るかのように顔をしかめた。

次回、57話。

ちょっと強気な徹君を書いてみました。

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