第1話「美少女に召喚されました!」
ここはどこだろうか。神秘にも近いような、なんとも言えない感覚が自分を襲う。
「……そうか……夢か……。」
これが夢だと認識すると同時に、目を疑う光景が現れる。
「ここは…?どこだ……?」
夢といえど、今まで自分が目にしたことが無いような風景はなかなか現れないものである。大抵は、記憶と関連したものだろう。しかし、そこは記憶の末端まで探しても見つかることがないと確信できるくらい、ありえない場所だった。
目の前には、平坦な地形が地平線の向こうまで広がっている。建造物と言えるだろうものはなく、かろうじて瓦礫が残っている程度。まるで測り知れないくらい大きな爆発が起きた後のようであった。
「…………。」
悲惨だな、と心の中で呟く。本来であれば発狂ものだが、ここまで冷酷にいられるのは夢と割り切っているからかもしれない。
ふと顔を上げると、平野と化した大地に、ポツンと建造物らしいものが見えた。近づいてみると、どうやら祭壇のようだ。
「祭壇……?不気味だな、なんか。」
ストレートな感情を口に出してみたところで、なにかが耳にすらりと入ってくる感覚を覚えた。
「声、なにかの声だ。」
「…た…………………っ。」
よく聞こえない。もう一度、耳を澄ませる。
「……………たすけ……!」
ダメだ。聞こえない。
早々に諦め振り返ると、そこには今までなかったなにかがあった。なにでもなく、なにかだ。
そのなにかに手を伸ばしてみる。
______僕は、再び深淵へと落ちていく。
この感覚。星間を移動するかのような、悠久の時空。それらを過ぎて、僕は________
ジリリリリリリリリリリリ。
「っ…うぅ。」
かなりうるさい目覚ましの音で、僕は目を覚ました。
…………………と、思っていたのだが。
まず一つ。目覚ましを止めようと渾身の一振りをした左手に、違和感1000%くらいの「むにっ」を感じた。
二つ。1000%の違和感で1000倍目を覚ました僕の目の前にいたのは_______________うん。美少女だった。おやすみ中の。
いやいや落ち着け、落ち着こう。まず、「むにっ」の正体だが………あーうん。なんかよくわかんない生物。猫?いや、体は丸っこいぞ。うん?猫って丸いんだっけ?もう猫でいいや。
僕が猫と仮定した生物Xは、あたりまえだが僕の渾身の一振りでのびている。
とりあえず起きようと思って体を起こしたわけだが…なんか忘れているような。
まあいいか…………よくない!そうだよ美少女!
その瞬間、美少女殿の瞳がパチッと開いた。
「のぉぉぉぉぉぉぉぉお!」
終わった。The End。僕の人生。いやだって、どういう経緯かしらないけどさ、朝起きたら美少女と寝てた?完全やらかしたよね僕!
いったい僕はこの数分で頭の中がどれだけごちゃごちゃになっただろうか。それこそ知恵の輪レベルじゃないだろうか。
そんな僕を驚き半分で見つめる美少女。
「……どうしてそんな叫びをあげているんです?せっかく目を覚まされたというのに……勇者様?」
キョトン、と首をかしげる美少女。
「……………………………………………………………………へ?」
僕は思わず気の抜けたような声を出してしまった。しかし、それがどうでもよくなるくらいに、混乱しているのだろう。
今、なんと言った?勇者?目を覚ました?うん??
あれやこれや思案しているうちに、美少女が口を開く。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は、あなたを召喚した、輝夜と申します。これからは、あなたと旅をいたします。私のことは、輝夜ちゃんとお呼びください!」
もうなにがなんだかわかんないよチクショウ。こういう時、どうすれば良いんだろう。とりあえず、情報を聞き出すしかないよな。
「えっと…僕は、起きたらこんなことになっていて、正直よく分かってないんだけど…いろいろ、教えてもらっても…いいかな?」
む、と考えるような仕草をしたあと、輝夜、もとい輝夜ちゃんは口を開く。
「そうですね…少し長くなってしまいますが、よろしいでしょうか?」
輝夜ちゃんの話を聞くに、これはそう難しいことでも無いらしい。
そもそもこの世界は、僕がもともと住んでいた世界とは違うらしい。さっき「召喚」とかいってたのはそういうことだったのか。
ここは、<影の世界>と呼ばれる世界らしい。全くわからん。
なんともいえない顔をしている僕に気づいたらしく、輝夜ちゃんが口をひらく。
「ここ、影の世界は…あなたが暮らしていた<地球>の裏側に付いている世界のようなもので…表面積や外観などはほとんど変わりがありません。ですが、地球とは違う歴史をたどって来たので些か文明の違いがございますが。」
要は別世界と割り切ってしまえばいいのか。
……問題は、なぜ僕が召喚ばれたかということだ。
「実はこの影の世界、現在人が生活できるのは僅か一国分の面積のみでございます。と、いうのもですね…残りの土地は全て<魔王>に奪われてしまっているのです。」
なるほど。話が見えてきた。つまり、つまりだな…
「僕がこの世界を救うべく召喚された、と。そういうことかな?輝夜ちゃん。」
輝夜ちゃんの目が曇る。
「……はい。非常に申し上げにくいのですが、仰る通りです。どうか、お願いできないでしょうか…?」
悲しげな顔で頼み込む輝夜ちゃんを前に、僕は考えていた。
そもそもこの世界から元の世界に帰る方法はあるのか?……………うーん。どのみち協力するしかなさそうな感じしかしないんだけど…。魔王とか倒せないよ?僕?
「…分かった。協力しよう。でも……」
「ほんとですか!?」
ぱあっ、と輝夜ちゃんの顔が明るくなる。まだ最後まで言ってないんだけどなぁ…
「でも僕、魔王なんて倒せないけど…?」
僕の、「心配」を込めに込めた疑問形に、輝夜ちゃんは平気な顔をして答える。
「あ、それは大丈夫ですよ!あなたには、これから<最強く>なって頂きますから。まずは、影の世界最後の国、<聖都>をご案内します♪
「(これからどうなるんだろ、僕…)」
これからの不安に胸を縮こめて、身支度(?)を始めるのであった…
みなさんはじめまして。あんこと申します!
いかがでしたでしょうか。目が肥えていらっしゃる方ならお気づきになると思いますが、処女作です。なろうでデビュー、イェーイ!(笑)。
まあ、そんなこんなでこの作品が始まりました。
ジャンルは「異世界転移ファンタジー(自称)」です。その中で、伝説や神話をもとづいた内容もあるかもしれません。精一杯調べて、考えます!(笑)
さて、主人公が最初に触った謎の生物Xですが、次回から触れていくと思います。ワスレテマセンヨ。
それでは、次回が投稿された時にお会いしましょう! あんこ