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試験の始まり

騒動の後も受験者はどんどん王城に集まっていた。それ以降、特に大きな揉め事はなかったようだ。

しばらくすると王城の門が閉まり、パウルの声が一帯に響き渡った。

「それでは、これより守護者(ガーディアン)試験を開始する!」

その言葉に緊張が走った。

「ここにいる全てのものが今回の受験者となる。この王都に入れている時点で、能力や守護者という立場を悪用するような悪党ではないということは確認済みだ。」

ドラゴは王都に入る時の水晶を思い出した。

「よって、ここでは実力の方を試させてもらう。そして、今回の試験内容は、『護衛』だ!」

受験者たちがざわめき出した。

「護衛と言っても実際に人を護ってもらうわけではない。護衛のための戦術や動きを学んでいないお前らにそこまでは要求しない。」

「じゃあ、何を護ればいいんですか?」

受験者の一人が声をあげた。

「それは、試験会場に移動してから説明する。」

「え、試験会場ってここじゃないんですか?」

「当たり前だ。王のいるこの城で能力を使った試験をするわけないだろ。ここはあくまで集合場所だ。」

「では、どこに行けばよろしいのでしょうか?」

「大丈夫だ、移動は我々で行う。」

そういうとパウルは地面に手をつき、呪文のようなものを唱えた。

「我々で行うって…、え!?」

いきなり地面が柔らかくなり、受験者たちの身体を包み込むように動き出した。

「うわぁ!なんだこれ!」

「この王城の庭の土は、それ自体が魔具となっている。『転移の粘土』と言って、それに身体を包まれたものは、別の『転移の粘土』に強制的に転送される。」

「転送!?」

「転送先が試験会場だ。大人しくしてろ。」

周りの音がだんだんと小さくなり、視界は真っ暗になっていった。


「…ここは?」

身体をまとっていた粘土が崩れ落ち、地面に飲み込まれていった。ドラゴが目を覚ますと、そこには先ほどまでいた王城の庭ではなく見渡す限りの草原が広がっていた。あれほどたくさんいた受験者たちの姿も見えなくなっていた。

「なんだここは。」

「そこが今回守護者試験を行う試験会場だ。」

王都に入る際に身に着けた腕輪から声が聞こえてきた。どうやら声の主はパウルのようであった。

「そこには街、草原、森、岩場、水辺など様々なエリアがある。お前たちにはその中で護衛をしてもらう。ルールは簡単だ。今回、お前たちが護衛する者は、その背中についている風船だ!それを最後まで割らなければいい。」

ドラゴが背中を確認するといつのまにか風船が背中につけられていた。

「『転移の粘土』に仕込んでおいた。その背中の風船が割れるとまた粘土に包まれて王城に強制送還される。最後まで風船を護りぬいた十二名が今年の合格者となる。」

「なるほど、シンプルでいいな。」

「説明は以上だ。では試験開始!」

「よっしゃー行くぞー!」

ドラゴは走り出した。

「あー、そうそう言い忘れてた。」

「なんだよ!せっかく気合い入れたのに。」

「この試験では最悪死者が出ることも考えられる。さすがにそれはまずいから命の危険ありと判断した際はこちらで試験に介入させてもらう。もちろんその場合受験者は失格となるが、まあ死ぬよりはマシだろう。とにかくなるべくそんなことが無いように頑張ってくれ。じゃあ、改めて開始!」

命の危険、その言葉に受験者たちの気持ちは引き締まったのであった。


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