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新たな出会い

「完全に迷った…」

ようやく王都に辿り着いたドラゴであったが、宛てもなく歩いているうちに先ほどまでの賑わった街並みから完全に外れてしまったようであった。

人影もなく、辺りを見ても自然ばかりで、宿や食事処があるようには見えなかった。


「どうするかな、まあ王都の中だから獣に襲われるなんてことはないだろうし、別に野宿でもいいんだが…」

すると近くの茂みの中からガサゴソと音がした。

「ん?何かいるのか?」

ドラゴが確認しようとすると、いきなり茂みから人が飛び出してきた。


「「え!?」」


二人は勢いよく衝突し、その場に倒れこんでしまった。

「いたたたた、あー!うどんが!そして人が!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

「いてて、いや、大丈夫だよ。服が汚れちまったくらいだ。」

ドラゴの服にはスープのようなものがかかり、濡れてしまっていた。

「本当にごめんなさい!急いで服を洗濯しますから僕の店に来てください!」

「店?」


二人は歩きながら会話を始めた。

「そういえば自己紹介がまだでしたね。僕はトジっていいます。」

「俺はドラゴだ。今日この王都に来たんだ。」

「へー、王都には観光か何かですか?」

「いや、守護者(ガーディアン)の試験を受けに来たんだ。」

「守護者!?実は僕も受けるんです!一緒ですね。」

どうやらこのトジという少年も守護者を目指している一人であるようであった。

「ほんとか!実は俺、王都のことなんも分かんなくて困ってたんだ。良かったら色々と教えてくれよ。敬語使わなくていいからさ。」

「いいよ!僕も同じ年くらいの受験者に会えて嬉しいよ。よろしくね、ドラゴ。」

「おう、よろしくなトジ。」

「そういえばさっきなんで茂みの中から出て来たんだ?」

「あー、うちの店、宅配もやってて、さっきのところを通ると近道なんだ。」

「ふーん。」

そんな話をしていると、どうやら目的地に着いたようであった。


二人は街外れのお店の前に立っていた。看板にはうどんの文字が書かれていた。

「ここがトジの店か?」

「うん、家族でうどん屋をやっているんだ。夜は酒場にもなるんだよ。さあ、入って。」

「へいらっしゃーい!」

店に入ると活きのいい声が響き渡った。

「ってトジか。どうした表から入ってきて。」

「ごめん、父さん。配達の途中でこの人にぶつかって、服を汚しちゃったんだ。それで洗濯しようと思って。」

「あらー、うちの子が申し訳ございません。すぐに洗いますから、その間お風呂にでも入っていってください。」

奥から女性が出てきた。どうやらトジの母のようだ。

「あ、ドラゴ、紹介するね。僕の父さんと母さんだよ。」

「父のリコイです。」

「母のステンカです。」

「どうも。」

「父さん、母さん、こちらはドラゴ。ドラゴも守護者試験を受けるんだって。それで仲良くなったんだ。」

「そうなんですね。ドラゴさん。トジのことよろしくお願いします。」

「もう、母さん。余計なこと言わなくていいよ。それよりも父さん、配達中のうどんこぼしちゃったんだ。すぐに新しいの作ってもらっていい?」

「そうか、急いで作るか。」

そういうとリコイは厨房に戻って行った。

「じゃあ、ドラゴは奥でお風呂にでも入ってて。その間に服を洗濯するよ。」

トジに連れられドラゴは、店の奥へと案内された。


風呂から上がると、そこには変わりの着替えが用意されていた。

ドラゴはとりあえずその服を着て、お店の方へ向かった。

「あら、ドラゴさん。それトジの服なんだけど、ドラゴさんにもぴったりね、良かった。」

「ありがとう、おばさん。トジは?」

「あの子は、配達に行ったわ。時期に戻ってくると思うけど。」

「そっか。お店は?休憩?」

「ちょうどさっき、お昼のピークが過ぎたから一休みよ。ドラゴさんの食事も旦那に言って、作ってもらってるわ。」

厨房の方で、リコイがみんなのまかないを作っているようだった。

「にしても、良かったわ。トジにドラゴさんみたいな友達ができて。あの子昔から内気で、しかも小っちゃい頃からお店の手伝いばかりしてたから同年代の友達もいなくて、ちょっと心配だったの。」

「俺、王都のこととか全然分からないから、こっちこそトジに会えて良かったよ。」

「ドラゴさん、改めてトジのことよろしくね。」


「そういえば、おじさんとおばさんはどこの種族なんだ?」

「旦那は水を操る水人族で、私は物を触れずに動かすことができる念人族よ。異種族結婚なの。」

「へー、じゃあトジも水人族か念人族なのか。」


この世界では、異種族の間に生まれた子供は、そのどちらかの能力を受け継ぐことになる。どちらの能力を受け継いだかは、能力が使えるようになるまで分からない。


「…いいえ、あの子はそのどちらでも無いの。」

「え、それって…」

「実はあの子は私たちの本当の子供ではないの。昔、私と旦那が拾った子なの。」

「ステンカ、その話は、私にさせてくれ。」

厨房からリコイが出てきて、トジの過去について話し始めた。


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