いざ王都へ
「でっかい壁だなー。さすがに王都ともなると迫力が違うな。」
ドラゴは王都の前まで来ていた。王都は大きな壁に囲まれ、周りには水が流れている。門は一つしかなく、そこには警備をする人がいる。魔獣や賊など、敵からの侵入を防ぐためのようである。
「よし、じゃあ早速入るか。」
ドラゴは門へと足を進めるのであった。
「おっちゃん。王都に入りたいんだけど。」
「お、少年、どうした?お使いか?」
「ちげーよ!俺は守護者になるために王都に来たんだよ!」
「そうか、守護者か。そろそろ試験が近いからな。じゃあお前ももしかしたら俺の後輩になるかもしれねーのか。」
「後輩?何言ってんだ?俺は警備員なんかになりに来たんじゃねえんだぞ。」
「お前こそ何言ってんだ?もしかして守護者の仕事知らねえのか?」
「守護者の仕事なんて、敵を倒してみんなを護ることだろ。」
「随分大雑把だな…。いいか、守護者ってのはいくつかの部隊に分かれてんだ。王族やどこかのお偉いさんとかに付いて命の危険から守る護衛軍。村とか商人を狙う魔獣や賊を倒しに行く討伐軍。そして俺のように都市を守るべく警備を行う警備軍。そのほかにもいくつか特殊な軍があるが、そう言ったものを総称して守護者って言うんだよ。みんながみんな派手に敵と戦って護る奴らじゃ無いんだよ。」
「そうだったのか…。全然知らなかった…。」
「まあ守護者の試験に筆記試験は無いからな。お前頭はそんなに良くなさそうだが、それなりに強そうな雰囲気は持ってるっぽいし、割といいとこまで行くと思うぜ。頑張れよ。」
「ありがとな、おっちゃん。」
「じゃあ早速だが王都に入るのに審査させてもらうぜ。この水晶に手を乗せな。」
そう言うと警備の男は水晶をドラゴの前に置いた。
「なんだこれ?」
「いいから早くしな。」
少し不審に思いながらもドラゴは言われた通り水晶に手を乗せた。
すると水晶は大きな光を放ち、その光はドラゴを包み込んだ。
「うわ!なんだこれ。」
ドラゴが慌てているうちに水晶の光は収まり、何事もなかったように水晶は元の状態に戻っていた。
「なんだったんだよ今の?」
「こいつは魔具だ。今の光はお前の情報を読み取り、この水晶にインプットさせたのさ。お前がどんな奴で危険な奴じゃないかを管理するとともに、何かやらかした時の対応策として利用させてもらうってわけだ。魔具ってのはさすがのお前も知ってると思うが魔獣の体の一部を用いて作られた武具のことだ。不思議な力を持ち、武器やこう言った特殊な場所で用いられている。あと、この腕輪を付けな。」
「これは何だ?」
「ここ王都では能力を使うことは基本的に禁止されている。そいつを付けていると、街中で能力を使ったり暴れ出したりした時に警報がなって俺たち警備軍が駆けつけるようになっているのさ。あとそいつを付けてないと王都の出入りはできないから気をつけろよ。」
「なるほど。」
「じゃあこれで手続きは終了だ。守護者目指して頑張ってこいよ!」
「おう、じゃあ行って来る!」
「おー、ここが王都か!」
門を入った先には、人で賑わい、物で溢れ、とても活気に満ちた街並みが広がっていた。見渡す限り多くの種族がおり、歩く人の姿も装いも様々なものであった。
「本当に色んな種族が住んでんだな。さて、とりあえず今日から住むところを探さないと。」
ドラゴは期待と興奮を胸に王都を歩き出したのであった。