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魔獣との戦い

「グルルルルル…」

ドラゴと魔獣はにらみ合っていた。お互いに攻撃の隙を伺っているようであった。

「グァーーーー!」

魔獣は、その大きな鳴き声でドラゴを威嚇した。

「このままじゃ、埒があかねぇ。こっちから行くぞ!【竜の爪】!」

ドラゴは剣を大きく振りかぶり、魔獣に斬りかかった。

しかし、ドラゴの剣が振り下ろされる前に、魔獣の爪がドラゴを切り裂いた。

「ぐぁっ!」

(くそ、奴の方がスピードが上だな。何か隙を作らないと攻撃が当たらない。)

ドラゴが作戦を考えていたその時、

「ドラゴさーん!」

リーアが姿を現した。

「リーア!?ここは危険だ!早くみんなのところに避難しろ!」

「嫌だ!ボクも戦う!ボクだって、守護者(ガーディアン)を目指す一人なんだ!」

その手には弓が握られていた。

「くらえ!」

リーアが矢を放とうとした。しかし、その姿を見た魔獣が襲い掛かったてきた。

「うわぁ!」

迫り来る魔獣。リーアはその恐怖に、矢を放つことができなかった。

「あぶねえ!」

ドラゴが間一髪リーアを抱えて、魔獣の攻撃を避けた。

「だから、危ねえって言っただろ!早く逃げろ!」

「嫌だ…。このまま何もできずに逃げるのはもう嫌だ…!」

その強い言葉に、ドラゴはリーアの祖父との会話を思い出した。


『「へぇ…、リーアの両親は?」

「その魔獣に殺されてしまいました。そこからわしや集落のみんなで育てております。あの子は守護者になりたいとよく言っておりますが、わしは反対です。あの子にはとにかく無事に、安全に生きてほしいんです。」』


「(そうか、こいつは両親を殺された時のことを…)

「よし、リーア!俺とお前でこいつを倒そう!俺たちでここのみんなを護るんだ!」

「ドラゴさん…、はい!」


「グルルルルル…」

魔獣は次の攻撃の機会を伺っていた。

「いいか。お前のその弓矢で奴に隙を作ってくれ。後は俺がトドメを刺す。」

「わかりました。」

「行くぞ!」

ドラゴは魔獣に向かって走り出した。ドラゴが剣で斬りつけると魔獣はそのスピードで攻撃をかわした。そして、

「くらえ!」

そのかわした先を狙ってリーアが矢を放った。

「グァーー!」

魔獣は間一髪でその弓矢を避けた。

「くそ!」

「いいぞ!その調子だ!」

ドラゴは避けて体勢を崩している魔獣に次々と斬りかかった。

(ドラゴさんだっていつまでもああやって攻撃できるわけじゃない。何度か攻撃も受けて傷ついてる。ボクがしっかりしなきゃ。ボクにかかってるんだ。集中だ。集中するんだ…)

リーアは目を閉じて、大きく深呼吸をした。そして、開いた目は魔獣だけを捉え、まるでハンターのようであった。そして、弓を構え、魔獣に向け矢を放った

スパッ!

リーアが放った弓矢は先ほどまでと違い、鋭く魔獣に襲い掛かった。

弓矢は魔獣の頬をかすめ、そこから血が流れた。

「グァーーーーー!」

魔獣は大きな雄叫びをあげた。そして危険を感じた魔獣はリーアに向け走り出した。

一瞬の出来事にドラゴは反応できなかった。

「しまった!」

しかし、魔獣に殺意を向けられたその子どもは、一切怯えることなく弓を構え、魔獣に向け矢を放った。

「グァーーーーー!」

リーアの放った矢は魔獣の目に刺さり、魔獣はその動きを止めた。

「よくやった!くらえ【竜の牙】!」

ドラゴは魔獣の上空にジャンプし、魔獣に向けて剣を突き刺した。その姿はまるで牙のように鋭かった。剣の刺さった魔獣からは大量の血がふきだした。

「グァーー…」

魔獣はその場で力尽き、動かなくなった。


ドラゴはリーアのもとに近寄り声をかけた。

「リーア、お前は立派な守護者ガーディアンになれる。」

「ドラゴさん…、ボク…、頑張ります!」

その声はとても力強く響き渡った。


その後、集落を襲っていた残りの狼を退治し、無事誰も死人を出すことなく騒動は終結した。そして翌朝、

「いやはや、一体なんと御礼を申したらいいか…」

「いいって。それにリーアの力がなかったらどうなってたか分からねぇ。お礼はリーアに言ってくれ。」

「まさか、最初に話を聞いたときは驚きましたが、まさかあの子が…。」

「あの姿、あの目はまさに守護者だった。俺も負けてられねえな。」

「あの子にその言葉、直接聞かせてやりたかったのですが…」

「まあ、昨日あれだけのことがあったんだ。寝かせたままにしてくれ。」

「そうですね、あの子が起きたらドラゴさんが旅立たれたことも伝えます。」

「ああ、ありがとう。」


「じゃあな、リーアによろしく」

「本当にありがとうございました!」

ドラゴは王都に向け、集落を出発したのであった。



「おじいちゃん!ドラゴさんは!?」

「おおリーア、起きたのか。身体は大丈夫か?」

「そんなことよりドラゴさんは!?」

「今朝早くに行ってしまったよ。」

「そんな!?なんで起こしてくれなかったの!?」

「ドラゴさんが寝かして置いてくれと言ったんじゃ。」

「そんな…。ドラゴさんにお礼を言いたかったのに。」

「大丈夫じゃよ。また会えるさ。お前が、守護者になればな。」

「え…、おじいちゃん、ボクが守護者になるのを反対してたんじゃ…?」

「わしはお前の安全ばかりを考えてきた。両親を失ったお前が可哀想じゃったから。じゃが、お前は両親を殺されても、素直で元気に育ってくれた。そして魔獣を倒すまでになった。十分立派に成長してくれた。お前の人生じゃ、やりたいことを好きなだけやりなさい。わしはお前の成長を楽しみにしとるよ。」

「おじいちゃん…。ありがとう、ボク、守護者になるよ。今はまだ守護者になれる年齢じゃないけど、大きくなったらきっとなる。そしておじいちゃんも集落のみんなも護ってみせるよ!」

「うんうん、楽しみにしとるぞ。」

こうして一人、守護者を目指すものが新たな一歩を踏み出したのであった。



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