魔物の気持ち
ーとある××の回想ー
ーー......くっしゅん....!!
あ、起きた。
そう感じたのはもっと前、自分の主である少女ーー....もとい、性別の消えた器の今そう表現するのは不適切な気もするがー.....の体温が上がったのを感じ取り、厚い肉質を持つ草の上に寝かせたその体をそっと包み込んだ。『あいつ』も気づいたのか主と繋がっているその腕を持ち上げ主の髪をそっと梳いている。あっずるい、私もそれしたい
「んん....んあ....、おは、よ......」
おはよう主、まだ半分近く寝こけているのか折りたたんだ体を動かす事なくうっすらその瞳を見せた。しかし起きるのをぐずる様にくしくしと下に敷いた葉に頰を寄せている。意外と主は朝と起きるというのが苦手らしい。自分の主の弱点が微笑ましく、また可愛らしいのがどうも従者の心をくすぐる。
しかし、どうせ頰を寄せるなら自分にして欲しいし、もっとその顔と瞳を見せて欲しい。そして第一に主には寝るにも休むにもこの状況を理解して貰わないと行けないのだ。主の足に繋がる己の体を操作し主をそっと揺さぶる。ずっとそうしているのに流石に主もぐずりながらも目を開け、ううんと唸りつつ身を起こした。人に仕えた経験こそ無いが案外悪く無いな、と思いつつ起きた主の身だしなみを整える事にした。
体のレースを僅かに魔力を纏い、それを水の魔術へと変換していく。魔力によって編まれた水の糸はさながら極上の櫛の様に主の髪を治すために使った
「やっぱりこれ、ゆめじゃなかったのかー.....」
むしろまだ疑ってたのか主.....