魔物さんは大体友達
初めてこのサイトでの小説を書かせていただきます...。誤字や可笑しな点がございましたらすみまでん...!
初めましてこんぺいとうです。初めてこのサイトで小説を書かせて頂きます....!拙い部分もございますが宜しくお願い致します〜!
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よくよく本やネットで見かけた異世界もの。突然違う世界に飛ばされて勇者になったり、はたまた子どもや異形な生物に変わったり....キラキラした世界は確かに私とは違う空間に存在していたのだ。誰もが思う形は違っても、一度夢見た事がある魔法や不思議な世界への冒険
私もそれを知りたいとは、思ってた
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煙が見える、後身体の力と感覚が脳に伝わって来ない。耳にはサイレンや人の声が聞こえる。鼻にはガソリンと鉄臭い様な生臭い香りがダイレクトに伝わる。嗚呼、そういえばさっき私は、赤信号の横断歩道を渡ろうとした猫を助けようとして飛び出したんだっけ
我ながら馬鹿やってんな〜〜!まだ大学1年の夏休みにも入ってない人生棒に振ったぞさっき〜〜!!
指はぴくりとも動かないし、足の感覚もないけれど私はきっと顔は笑っていたと思う
昔からそんな目立った特技とか無かったし、人生は楽しく生きるをモットーに生きて来たから今終わろうとしてたって問題ないと思ってる。そう思うくらいには頭は冷静だった
「(あ〜....でも部屋の同人誌と書きかけの漫画のデータ、あっあと壁に貼ったキャラの身長の場所に貼ったマステ燃やしてくれ〜〜....!!)」
そのあたりから私の意識はぷつんと切れた
かすかに掠める水の匂いにばちんと瞼を開ける。
「.....は〜〜....」
かっぴたいた目に入ってきたのは、ふわりふわりと自分の目の前を飛んでいる赤いトンボ、そして何より目を引いたのは水だ
「...沈んでる...」
ちゃぷん、と上の方から魚でも跳ねた音が聞こえて来た
そう、私はいま水の中に沈んでいたのだ。水中の為かふわりと髪は不規則に浮かび、口からは空気が吐き出されるのに息は苦しくない
そしてなりより、自分がいまへたりこんでいる景観だ。
自分は丁度円形の祭壇のような場所の端でへたりこんでおり、横には鳥居が連なる石畳の階段が下へ下へと岩の間から下がっている。
何故かその鳥居の間には赤く暖かそうな光が階段を照らしており、どうやら下は砂浜と大きな神殿?宮殿らしき影が見える
「....ふあ〜これが天国か〜...」
「いやいや〜ここは天国じゃないよ〜、あっでも空間的には似てるかも〜?でもここじゃ死んだ魂に安泰を〜ってしないけど〜。基本的に勝手に消滅しちゃうし〜」
「そうなんだ〜こりゃあ長居は出来な....ふっぎゃあ!???」
水中の中を水面の様にこだまする声が私の耳に入ってくると同時に私の横には何故少年がくすくす〜と丁寧に声に出して笑っていた。色気のない叫び声〜ってやかましい女子なんてそんなもんじゃい
それに私が悲鳴を挙げたのは突然横にいたからだけでない。
その見た目は小学3年生ほどの身長なのに、その体躯に似合わない.....角だ
一瞬偽物かと思ったが今よく見てみたら髪の間の皮膚からしっかり生えていたーーー...と思う
極めつけはその足だ、絵本で見た人魚のような魚の尾をしているが、そのヒレはベールのような薄さで水面の光を反射している。頭から被っている薄いベールのおかげで後ろから見たらマーメイドドレスを着た花嫁に見えそうだ。
なんてうだうだ考えていてもしょうがなくない?ていうかどなたの子ですか?
「えーっと...あなたは神さま...?えっここ天国じゃなかったら私どこ来たの?地獄?辺獄??はたまたジョブチェンか何か???」
「君アニメとかゲーム好きでしょ〜」
なんでバレたし、愉快そうな少年の腕を見ると見覚えのある姿を捉えた
「....黒猫さん」
そう、あの時私が見た猫。事故に合う寸前目があった翡翠色の瞳
「んふ、この子は私の中の変化の姿の一つなの〜、助けてくれてありがとうね、人の子ちゃん」
えへへ〜、と美少年の笑みを見ながらうっそだ〜と言えない雰囲気は察していた。末っ子の順応力をなめないで頂きたい。でもやっぱり納得は出来なかった
「あっ私海...水の主神ヘカルトっていうの〜宜しくね〜男神だから女神と間違えちゃダメだよ〜」
語尾に花でもつきそうな喋り方可愛いなあ、と思っていたら本当に神さまだった
....ん?神様??
「神様〜!人の子は質問を貯めております〜!!」
「お〜?なかなか頭が柔らかい子だな〜どんどこ〜いっ」
私の隣で水に浮きながらえへんと胸をはる神さま...もといヘカルト様?は器用だな???
「私....もとい三田 景は死んだん、ですか...?」
「うん、病院に着く前に息を引き取っちゃった〜」
やっぱり死んでた〜!!!なかなかメンタルに来るこれ...分かってたけどこう、構えてても痛いもんは痛いじゃないですか、そういう事だよ
未練がないったら嘘になるしやりたい事もいっぱいある。だって18だったんだから
でも、不思議と怒りも寂しさも湧いて来ない
「...神さまは、あの後怪我しなかったです?」
「うん、すぐに実態を解いてここに還って着たからね〜」
「......そっか〜〜....!」
神さまを助けたなんて、事はない。きっとこの人は私や他の人が何もしなくても助かってた、分かってる、分かってるけど
「分かってても、やっぱり助けてよかったって思えるなあ〜...」
意味は多分あった、それだけで私の死んだ理由はだいぶ救われた気がした
「んふ、ほんとに君は変な子〜。普通無駄死にした〜とかどうしてくれるんだ〜!って怒るとこだよ?」
ぷにぷにと私の頬をついてくる神さまは不思議そうに首を傾げていた。
へ?と私も首を傾げた
「だって...私はあの時死ぬ時後悔なんてしなかったから、だからきっとその時の気持ちは意味があって、きっとその時の自分は笑ってたと思うから!」
へへ、と頬をかきながら話す私に眠そうなタレ目のお目目をわずかに開けるヘカルト様は次第に蕩けるような笑みに変わり、がばっと私に抱きついてきた、うわつめた!!!神さま体温ひっく!!!!
「んも〜〜!!!やっぱり私の神域に連れてきてよかった〜!こ〜んな透き通った魂普通にあっちの世界において来なくて正解だった〜!」
すりすり、と私の頰と自分の頬を擦寄らせるヘカルト様の言葉にん??と私も引っかかった
「へカルト様、ここどこなんです?」
「ここ〜?そうだな〜何から話そう」
そういって一旦私から離れたへカルト様は、片手の手のひらを上に向けるとやがて二つの水の球体を浮かび上がらせた。
す...すごい...!魔法?これが魔法ってやつなのかな!???
アホのように口から「すっごいなあ....!」と零し手を振っていると少し照れ臭そうにへカルト様は口を開いた
「まずね、こっち君が生活していた現代...んと、私達は現世って言ってるの〜。で、もう一つある世界が私が主神を務め、管理している世界<ジェルミット>。君がいた現世とは草木の成り立ちから人の営みもまるで違う魔術が生きる世界さ〜」
「ジェル、ミット...」
「そう、そして今私達はこのジェルミットと現世の間にある主神の神殿の一つ、私の神域にいるって訳さ〜。ここまでは大丈夫〜?」
水の球体をぽすんと消したへカルト様は私の顔色を見ながら首を傾げた。つまり私はこの神さまのおうちにお邪魔してるって事か〜....いやそう考えると凄いね?
「どうしてへカルト様は私を連れて来てくれたんですか?」
「ん〜??一つは君が私を助けようした事が純粋に嬉しくてね、お礼が言いたかったのさ〜」
周りに花でも浮かびそうなテンションで長い袖をフリフリと振りながら照れ臭そうに笑うへカルト様はちょっと人間ぽいなあ、と思いながらほっこりしてしまった
「他にも理由が?」
「うーんね〜...あとは君にちょーっとしたお願いがあってね...私を助けてくれた君だからお願いしたくって....」
途端になぜか言いにくそうに言葉を濁すへカルト様に首を傾げてしまう。
「...えっとね、実は私の知り合いがとーーーっても困った子達を拾ってきたというか...認めた相手じゃないと手がつけられないというか....くそ生意気っていうか〜....」
「?最後なんて言いました?」
「〜〜!!とにかく!!私を助け、手を差し伸べようとした人の子を私は無下にはしません〜。神は傲慢であり、平等であるが故だからです〜故に、あなたに私は現世での人生は無理でもこのジェルミットでの人生をプレゼントしちゃいま〜す、なんと肉体は18歳の状態でプレゼントで〜す。神さま大盤振る舞いで〜す」
ぱちぱち〜!とやや急いだように話を進め出したへカルト様に嫌な予感という一言が浮かんできた。18歳の身体プレゼント???もう一回の????んん?????
「あとごめんなさい〜あなたの魂の関係もあるのですが身体が中々見つからなくて...人間ですけど性別がない身体になっちゃいました〜すみません〜」
「待って何か一番大事そうなとこスルーしかけなかったねえ???!!」
「大丈夫大丈夫、ちゃーんと私も加護..も付いてる大丈夫大丈夫〜。あの子達も気に入ったらいい子だからね〜」
そう言いながら何故か身体が動かない私はヘカトス様に抱っこされながら祭壇の丁度一番上のーー.....ひときわ大きな鳥居の前に来ていた
「何かと分からない事は図書館でも街でも行くとよ〜く分かりますよ〜百聞は一見にしかず....一名様ごあ〜んな〜い〜」
「んっぎゃああああああ!????!!!」
私より身長の低い少年にメジャーリーガーもびっくりの速度で鳥居の間にぶん投げられた。地面に落ちるーーー....!!!!と思っていた私の身体は鳥居を潜る前に、パキパキと黄色い光と共に音を立て始めた
「は!????かかかか神さま〜〜!!???私、わっっわたしのからだ〜〜!!!!????」
ばきん、と一際大きな音と共に私の身体は鳥居を潜った瞬間砕け散った
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「ごめんなさい〜....景....」
ジェルミットの五主神の一人、へカルト神は己が今さっき送った元少女に悲しげに眉を寄せた
「きっと君の魂なら....君なら...あの3人に好かれる事でしょう。そうならば君をいかなる厄災からも、獣からも守ってくれるでしょう...まあ少しヤキモチ焼きかもしれませんが〜...」
その主神というには幼すぎる体躯には先ほどの少女に見せないようにしていたのだろう身体のあちこちを走る赤黒い呪詛が絡みついていた。
「どうかジェルミットを....[新たな勇者]から守ってあげてください〜....」
小さな大いなる海の父、水の化身であり生物に命を吹きこんだ神は少女が砕けた光の残骸を見つめていた