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2話 デスペナルティー

 不思議な浮遊感とともに周囲を包んでいた光が収まっていく。

 MMOでは定番だけど、復活の間とかいう最初の街エイビスの中央にある神殿内部の部屋。

 白い石でできたここの床を今日はいつもより冷たく感じる。


 (周りには・・・っと)


 近くには先に死に戻っていたダンテが衣服を正しながら、私を見下ろしていた。


「おかえり。」


 私に手を差し出しながら言う。


「ただいま。」


 ダンテの手を取り、引かれ立たちあがる。少し捲くれていた服の端も重力にしたがって直される。


「ありがとう。こんなに早い死に戻り最短記録かもねぇ。」

「そうだな。このゲームじゃご新規さんでも2時間は死なないだろ。」


 このゲーム序盤のモンスターは驚くほど弱い。

 初期装備でもフィールドのモンスターの攻撃はほとんど1。

 わざと死なない限り、次の街の先に居るイベントボスまでは死ぬ要素はほぼないだろう。


 しかも、フィールドが広いため、次の街につくのにモンスターを倒しながら徒歩だと4時間ほど、馬車で1時間ほどかかる。途中3つほど小さな村があり、雑貨の補給や宿を借りることもできる。

 広いフィールドを売りにしたゲームなので一本道というわけではないが、この商業都市エイビスは特殊な通行証が必要で高い壁に囲まれた隣国の魔法国に面していたり、下流にある港町へは、高い船代を払って船で行くか霧の湿地帯(LV60地域)を抜けないと行けなかったり、霧の湿地帯以外もLV40以上の地域に囲まれているなどの要因により、王都まではほぼLvを上げながらほぼ一本道をたどるしかなくなっている。


 ちなみに強行突破もできないようになっている。

 地域LVよりPTの平均LVが低いと瘴気の影響を強く受けてしまい近づきたくないと思ってしまう。そして、強引に入るといつの間にか意識を失って入った場所の少し手前で目覚めるといった見えない壁が存在する。


「とりあえず、デスペナルティーでも一応確認しますか。」

「うぃうぃ。」

「「ステータスオープン」」


 お互い相手に見えるように閲覧可能モードにする。


-----------------------

 リコ  Lv1 虚弱58m

HP  20/20(-20) MP  39/39(-39)

力   1(-0)

防御  1(-0)+2

魔力  13(-13)+1

器用  10(-10)

敏捷  5(-5)+1

ロール補正

 回復LV1(魔力+6、HP+30、回復量+30%)

メインスキル

 水魔法LV1 (ウォーターボール)

アディショナルスキル

 空白 

 空白 

 空白

技能

 バックステップ PC補正

装備 (重量4/6)

 武器  木の棒(魔力+1)ロック状態

 頭   なし

 上衣  コットンシャツ(防御+1)

 下衣  コットンパンツ(防御+1)

 靴   皮の靴 (敏捷+1)

 アクセ 赤いリボン(補正なし)

 外套   なし


-----------------------

-----------------------

所有アイテム

 低級HPポーション 5

 エイビス周辺の地図

 1000エデン

-----------------------

-----------------------

 ダンテ Lv1 虚弱58m

HP  50/50(-50) MP  15/15(-15)

力   10(-10)+1

防御  4(-3)+2

魔力  5(-5)

器用  1(-0)

敏捷  10(-10)+1

ロール補正

 盾Lv1(防御+6、HP+30、被ダメージ-30%)

スキル

 剣術LV1(ラッシュ)

アディショナルスキル

 空白

 空白

 空白

技能

 バックステップ PC補正

装備 (重量4/25)

 武器  木の棒(力+1)ロック状態

 頭   なし

 上衣  コットンシャツ(防御+1)

 下衣  コットンパンツ(防御+1)

 靴   皮の靴 (敏捷+1)

 アクセ 青いピアス(補正なし)

 外套  なし


-----------------------

-----------------------

所有アイテム

 エイビス周辺の地図

 1000エデン

-----------------------

----------------------

 『バックステップ』

簡易説明文

 バックステップ使用可能

----------------------

----------------------

 『PC補正』

簡易説明文

 

----------------------


 ステータスは初期で1~20合計で50。衰弱状態の10(-10)は元に戻すと20になる。

 防御1毎にHP10、魔力1毎にMP3上昇し、基本値やロール補正・スキル補正の魔力・防御ではHP・MPの変化があるが、装備では防御力や火力・回復面のみの補正となる。

 基本ステータスはあまり偏らせないのが主流だ。平均的なステータスを持っていれば、装備できるものの自由度も高くなる。後衛職でも前衛職でも力+5(初期重量)以上の重量の装備は着けられない。

装備にもステータスが付くので、装備補正で調整するのが主流だ。

そしてゲームシステム的にも自動分配なので得意ステータスが少し高く(14~15ぐらい)、他のステータスが少し少なく(6~7ぐらい)調整されることが多かった。

 思考を読み取って分配しているため、強く望めば、1や20なんて数字も可能なわけだが。

 分かってはいたが、ダンテも私も似たもの同士なのだろう。


 そして、LvUPのボーナスはLv1毎にメインステータスに1。偶数Lvで行動を基準にしたボーナスが1というように振られる。メインステータスは上がりやすいが、魔法職の力や防御などは行動基準であげるのが難しいため、初期で上げるのが推奨されている。まだLvが上がっていないのでおそらくだが、私のメインステータスは魔力、ダンテは敏捷だろう。


 スキルは武器スキル又は、属性魔法スキル又は、生産スキル、テイムスキルなどの例外もあるがキャラ作成時に付与される。ダンテの剣術も私の水魔法も一般的なスキルだ。スキルLV上がるごとに使用出来るアクティブスキルが増える。

 アディショナルスキルに3枠空きがあるが、クローズβテストでは未実装で埋まることがなかった。

 技能はいくつでも憶えられるが、限定的な効果のものが多いが例外もある。


「みごとにステータスは半減しちゃってるねぇ。衰弱1時間かぁ。ステータス減少よりこのダルさがなぁ。」

「それな。出遅れるけど、まぁ仕方ないっしょ。」


 クローズβのときも、LV5になるまでは衰弱だけで、金銭ドロップや装備ドロップや破損はなかった。LV5になっても武器は破損もドロップもしないだけ良心的だ。


「お金も装備も変化なしっと。これは戦闘いくのはつらいかなぁ。見慣れない技能入ってるけど簡易説明みれないしバグかな?」

「そうかもな。休憩するか?ちょいヤニっていいかな?」

「好きだねぇ。いってら!」


 ダンテはメニュー画面を操作している。メニュー画面は光の板があるだけで相手が許可を出さない限りどんな操作しているのか、認識できないようになっている。


「あれ?」


 メニュー画面を見ていたダンテが声を上げる。


「どした?」

「ログアウトボタンがない。」

「えっ?」


 私も慌ててメニューを開く。メニューの一番最後にあったはずのログアウトボタンがない。


「ほんとだぁ。うわぁ。やっちゃった系かぁ。」

「すぐ復旧するといいけどな。この手の不具合って長引くと事後処理が洒落になんない。」

「だよねぇ。テスト版で終っちゃったのも過去にあったしね。強制終了コマンド使う?」

「急いでるわけじゃないし、ちょっと外みてみよう。」

「確かにちょっと騒がしいね。了解。」


 復活の間から廊下に出るとなぜか、こちらをみてなにやらひそひそ話している。


 (NPCノンプレイヤーキャラクターってこんな感じだっけ?運営の手の込んだいたずらかな。もう死んじゃったのウププウ的な。)


 NPCの視線のせいか、外へ続く廊下を長く感じる。



 馬車が行きかい石畳の上に少し積もった砂を巻き上げる。

 色とりどりの服を着た人、鎧や皮の服を着た冒険者っぽい人、明らかに人数が増えている。


 そして、居るはずの人が1人もいない。


 道幅も心なしか広いきがする。

 この神殿を中心に東西南北に伸びる道のはるか先のほうにこの都市の城壁が見える。


「ちょっとGM(ゲームマスター)コール・・」

「もうやった。反応無い。」

「じゃあ、強制終了コマンド・・・」

「そっちもだな。」

「さすが、お早いダンテ様。」

「だろ?」


 あたりを見回す。先ほどから気になっている。居るはずの人が1人もいない。

 おかしい。1人ぐらい居るはずなんだ・・・・


 いくら事前情報があれだけ出てて、みんな自分の目的に向かって走っていったとしても。

 1人ぐらい居るはずなんだ・・・・


 生産ロールはこの街でクエストをして親密度を上げる必要があったはずだし・・・

 生産ロールならしばらく防具の更新を後回しにするはずだし・・

 1人ぐらい居るはずなんだ・・・・


 気持ちがどんどん焦っていく。


「ねぇ、これって。」

「あぁ、、。」


 2人はあたりを見回す。

 サービス開始初日のはずの始まりの街商業都市エイビスの中に、初期装備のコットンシャツコットンパンツに木の棒をもって走り回るゲーマーは見渡す限り1人も居なかった。


 ここは、20分前に走って飛び出していったエイビスの街じゃない。

 さっきまでと変わらないはずの夏の日差しをものすごく熱いと感じる。


 ある筈のない繊細な風。

 ある筈のない生活音。

 ある筈のない汗のにおい。


 こういう設定のアニメも漫画も原作の本も呼んだことがあった。むしろ好き好んで読んでいた時期もある。

 だから受け入れきれないだけで、可能性としては真っ先に浮かんでいた。


 神殿から出て外を見たあの瞬間。神殿の中で感じていた全ての違和感に納得できていた。

 唖然としていたダンテも同じ結論に至ったらしい。



 どうやら、私たちは異世界に来てしまったみたいです。

一応衰弱なしのステータスも乗せておきます。

-----------------------

リコ  Lv1

HP  40/40 MP  78/78

力   1

防御  1+2

魔力  26+1

器用  20

敏捷  10+1

ロール補正

 回復LV1(魔力+6、HP+30、回復量+30%)

スキル

 水魔法LV1(ウォーターボール)

アディショナルスキル

 空白

 空白

 空白

技能

 バックステップ PC補正

装備 (重量4/6)

 武器  木の棒(魔力+1)ロック状態

 頭   なし

 上衣  コットンシャツ(防御+1)

 下衣  コットンパンツ(防御+1)

 靴   皮の靴 (敏捷+1)

 アクセ 赤いリボン(補正なし)

 外套  なし

 

-----------------------

-----------------------

ダンテ Lv1

HP  100/100 MP  30/30

力   20+1

防御  7+2

魔力  10

器用  1

敏捷  20+1

ロール補正

 盾Lv1(防御+6、HP+30、被ダメージ-30%)

スキル

 剣術LV1(ラッシュ)

アディショナルスキル

 空白

 空白

 空白

技能

 バックステップ PC補正

装備 (重量4/25)

 武器  木の棒(力+1)ロック状態

 頭   なし

 上衣  コットンシャツ(防御+1)

 下衣  コットンパンツ(防御+1)

 靴   皮の靴 (敏捷+1)

 アクセ 青いピアス(補正なし)

 外套  なし

-----------------------

次話から少し文字数を増やす予定。

明日21時予定です。

装備に外套を追加

スキルに関する説明を追加。

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