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冒険者ギルド

  俺のいるエメラルドハウスは大きな屋敷だ。4階が王族、3階が公爵と候爵、1階と2階が伯爵の子弟の部屋だ。

俺の部屋は従者の部屋、バス、トイレ、簡単な炊事のできる小さな厨房(お茶と軽食用かな)応接間(15畳?)居間(20畳?)寝室がある。豪華だ、質実剛健が吹っ飛ぶすごさだ。

これで貴族も平民も学内では平等を謳う。頭おかしいんじゃないか。

 ここの他に子爵、男爵の子弟の為のルビーハウス、平民の為のブロッサムハウスがある。もちろん女子寮は別だ。

 

 寮の裏には学園の森(すごいよな、日本じゃありえない、あっここは異世界か)が広がり、マッキーはたまに森に散歩にいっている。

 同じ階には候爵家のご子息が2人いらして2回ほどお茶に呼ばれて、3人で仲良くお話させていただいた。いい先輩だ。

 そしてこの寮には例の3人組もいる。学園のお昼はクラスメイトと食堂で食べているが、たまに放課後のお茶会、寮でも時々お茶会、週に3回はお茶してないか?

 俺は忙しいんだ、叔父上から多量に貰ってきた魔紙(魔物の皮)に魔力インクで魔方陣を描いている。

叔父上の顔が引きつっていたようだが、遠慮しないで貰ってきた。いざというときの備えは大事だ。

 2週間経ち、そろそろ落ち着いてきたので冒険者ギルドに行きたい。男の子なんだからロマンだよね、ギルドは。わくわくする。


 そしてやってきました冒険者ギルド。黒い髪に眼鏡、冒険者がよく着ている簡素な服に皮鎧、剣も鞘と持ち手はみすぼらしい。俺も工夫したんだ、変装もしているし、これでバッチリだな。

新人らしく少し猫背になって、俯き加減に窓口に行き冒険者登録をぼそぼそとした口調でお願いする。

担当者はもちろんおじさんだ。若い女の子の窓口にいって、他の冒険者に絡まれたらどうするんだ。

テンプレだろ、それって。

 名前はフェル、年齢15歳、特技は剣術とだけ記入し、鉄のカードに血を落として完成だ。いつも思うが超、超、スーパーハイテクノロジーだよな、これって。Fランクの冒険者カードを手にしてにまにましてしまう。やったね。


 命大事にの俺がこんなことをしている理由は実戦経験を積むためだ。領地では屋敷から出してもらえなかった俺は箱入りぼんぼんだ。このままでは何かあったときにあっという間に死にそうだ。ほら、よく小説で正統派の騎士が言うじゃないか、そんな卑怯な手を使ってまで勝ちたいのか、とかなんとか。はい、勝ちたいです。

その卑怯な技を習いたいです。勝てば官軍というし。実践で是非にその技と魔獣を殺せる度胸を身に付けたいと思っている。

 

 あとな~、こっちが大きな理由なんだが、この乙女ゲームのあらすじを俺は知らないんだよな。

水上さん達はそこまで話していなかったし。ここに来ると判っていたら全部教えてもらっていたのに。

いくつもの乙女ゲームの話を聞いていると、前半恋物語、後半バトル,でも恋もする、のストーリーもありだった。聖女とか魔王とか魔王とか魔王な。あと内乱だろう、他国が攻めてくるというのもあったな。

俺の死因の一つが反乱の失敗だしな。

 そういうわけで、ここは指名依頼だ。お金にあかせて、いい人を紹介してもらおう。まずは担当者のおじさんに相談だ。

 

「おじさん、俺、初めて冒険者やるんですけど、指導者になってくれる人、紹介してくれませんか。

 面倒見が良くて、細かく教えてくれる人がいいです」


さて、今日は帰ろうか。


 そんなこんなで俺は休みに日に冒険者活動をしている。指導員はA級冒険者のジョバックさんだ。C級クラスの人がくると思ったのでびっくりしたが、担当者のおじさんの強い勧めでお願いすることにした。

先輩のアドバイスはありがたく受け取らないとね。

 俺が最初は薬草採取と角うさきの討伐だと騒いだらジョバックさんはなんだか苦笑いしていたけれどつきあってくれた。指導料は一日小金貨一枚なので彼はいいのかよと言っていたが、勿論いいですとも。

順調にゴブリン、オーク、オーガと討伐していった、野宿もやった、人食い花、トレント、6メートルもあるむかで、巨大もぐら、3ヶ月の間に随分と世話になった。これは今より先の話だ。


*********************


 フェルディナンドが初めて冒険者ギルドに来た日。


 「おう、ジョバックいいところに来たな、指名依頼で新人の指導やってくれ。」


 「俺が.....何日ぐらいです」


 「3ヶ月くらい週に2日かな」

 

 「かんべんしてくださいよ、いくらギルマスの頼みとはいえ、干上がっちまう。」



 「俺がそんな酷いことをするとでも。

  聞いて驚け、一日小金貨一枚だ」


 「まあ、それなら。それで理由を聞いても、貴族のわがまま坊主なら、俺は断るぜ」


 「それがなー、貴族なのは確かだが一人で魔獣を連れて登録しに来た。

  これが、ものすごい美人ですらっとしててな、多分お前より強い」


 「はぁ、女かよ。」


 「男だよ、美青年だ。腕がたつからC級あたりじゃ足手まといになりかねん。」


 「そうそう、ジョバック、美剣士だな、あいつ」


 「うん、きらきらしてた。」


 「わかった、明日会ってみてから決める、それでいいな」


 フェルディナンドの工夫と変装は、こうして何の意味もなく終わったのでした。

 ちゃんちゃん。


 *******************


 俺は楽しく過ごしながら、ヒロインを探していたが、影も形もみえない。

王子様ご一行に接触する突撃女子もいない。いるのはなんか目が怖いお嬢様方だけだ、それも腹黒宰相子息が男だけの時間も大切とかうんぬんで撃退した。剣術科に女子はほとんどいないので助かっている、肉食系女子も集団はちょっとな、剣術科を勧めてくれたサリバン先生、グッドジョブです。


 俺は考えた、これは途中編入で来るのか、2ヶ月いなかったら確定だな。

あとは情報収集か、夜会にもそろそろいってみよう。サリバン先生に要相談だ。

今は座学の時間だ、あいつもこいつも習い終えている講義を姿勢を正して聞いていてご苦労様。

貴族は大変だよな、俺はこうして考え事をしたり、魔力巡回をして過ごしている。

剣術科は座学が少なくて助かっている。


 冒険者ギルドの帰りにのんびり歩いていると、前方に例の3人がいる、離れたところに護衛もひい、ふう、みい、8人はいる。王子様は大変だ。俺は逃げるぞ、と思ったらルドビックの奴が人のことを指差して叫びやがった。

「フェル、何してるんだ!!」

 何故ばれた、何故になんだ、俺の変装は完璧なはずだ。崩れ落ちてORZしたくなった。

脳筋だからか、勘がするどい。3人に囲まれて冒険者をやっていることを吐かされた。

あいつら押しが強い、笑いをこらえている3人を置いて俺はさっさと寮に戻ることにした。


 ************************


 「殿下、いつまで笑っているんですか」


 「いや、あいつ、この変装が何故ばれた、という顔をしてただろう。

ア ハハハ ハハ、白いぼたんが黒ぼたんになっても変わらないのに。」


 「はあ、相変わらず優雅なたたずまいですね、彼」


 「あのきらきらで冒険者ギルドにいっているのか、似合わない。

 騎士団に入ればいいのに。」


 「まあまあ、趣味は人それぞれ自由ですから、ハハ」


 「結局、オリーも笑っているじゃないか。」



人を指差してはいけません、笑うな BY フェルディナンド




 


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