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先生来る

 ということで数日たった。まずは屋敷の探検だ。

俺には3人の女性の内誰かが常に付いている。メイドさんと呼ばせてもらいたい。

メイドさんに連れられて廊下を歩く、ここには家族の部屋がいくつかあり、階段を挟んで反対側は客室だそうだ。化粧室とか書斎とか人数の割には部屋数が多くないか?

3階は使用人の部屋があり,2階は主人一家の部屋と客室、一階は色々な用向きの部屋があるそうだ。

3階の屋根裏部屋に行ってみたかったのだがだめだと言われた、何故だ。使用人の部屋に主人一家は入らないそうで、そこはきっちりと区別されている。屋根裏部屋で夕日を眺めるのはロマンだろうが、残念無念。


 ここはライトノベルのテンプレどうり、図書室に連れて行ってもらうとしよう。

一階は入れない場所も多く、執務室とかだな、案内されたのはホールと遊戯室、応接間(ドア越しに説明された)厨房もだめだった、何故だ?

図書室はさすがのお屋敷だけあって、レトロな雰囲気に満ち溢れ落ち着いたたたずまいをしていた。

ここから俺の伝説が始まるのだ、とは思わなかったが、わくわくとした気持ちで眺めて、重大なことに気づいた。俺は字が読めない。なんということだろう、知識の海にいるのに、「猫に小判」「豚に真珠」という言葉が俺の頭の中に浮かび上がった。情けない。

だがしかし、しかしだな、3歳児なんだ。字が読めなくても当たり前ではなかろうか。うん、俺は悪くない。この部屋には絵本はないそうなので、動物図鑑を持って帰ることにした。残念無念。


 一年が経った。メイドさんに絵本を読んでもらい、その後簡単な本を読んでがんばった。客観的に見て小学生レベルの本は読めるようになった。何だそれだけかと言ったやつ出て来い。単語を覚えるのが大変なんだよ。たとえば英語、しゃべれたとして、それ文章に書けるか?ローマ字と違って、規則正しくないし、これはこういうものとして覚えるしかない綴りもかなりあるしな。ついでに無邪気な子供ではないので、文法、慣用句、比喩、装飾語エトセトラ、納得しないと先に進めないわけだ。そしてメイドさんの知恵が尽きた。叔父上に頼んで先生を呼んでもらおう。


 両親は王都にいる、弟は王都で生まれてそのままそこに居ると。貴族はもともとシーズンには王都にいるものだけれど、父上が王宮勤めなので、俺が1歳になったのを機に母上は王都で暮らすことにしたそうだ。何故俺を連れて行かなかったのだろう。叔父上は父上の弟で領の管理をしている。貴族の家庭はこんなものらしい、子供は使用人が育てるしな。相変わらずいける場所は限られているが,当主夫妻がいないせいか、かなり自由にさせてもらっている(主に図書室で)やることが多くて忙しいのでその辺は気にしないことにした。

 

  そしてなんと驚け、魔法があったんだ、いやっふー、勉強をがんばったかいがあった。

そしてここはヨーロッパではなくて、異世界だ、で俺は侯爵家の嫡男、なんというテンプレだろう。だがしかし、俺は安全をとるぞ、俺TUEEEなんてしない、命大事にだ。が魔法は覚える。せっかくの異世界だものな。

メイドさん、ジェシーがまだ早いとか(10歳から始めるらしい)あぶないとかいうので、こっそりと服の間に隠して持ってきた薄い本を密かに読んでいる。


 初級魔法の本だ。これで明日から俺も魔法使いと思っていた日々もありました。発動しないんだよな、何故だ。チュウニ病なあの台詞もこの台詞もがんばって唱え続けたのに。あの恥ずかしい努力の日々を返してくれ。まあ、体の中に魔力を巡らす練習はやっている、朝、昼、晩とな。テンプレじゃないか。両親共に魔法が使える、貴族はほとんど使えるそうなので、俺は諦めない。この頃なんだかもやっとしたものを体の中に感じないこともない、気のせいじゃないといいな~。


 今日は叔父上が呼んでくれた先生が来る日だ。


 「よう、フェルこの方がそのほうに教えを下さるファティール サリバン先生 サリバン子爵家の三男だ、こちらは私の甥のフェルディナンド ゴルドシュタイン、多少は読み書きができるそうだが、

色々と教えてやってほしい。そろそろ教師をつけてもいい時期だしな。」


 お茶の準備をいいつけると叔父上はさっさと出ていった。

サリバン先生は茶髪に青い目の一見穏やかそうな人だった。

だがしかし、この人怖いような気がするんだよな、目が笑っていないというか。

 

 「それではフェルディナンド様、今日は勉強の計画を立てましょう。

読み書きはどの程度おできになりますか?」


 ジェシーに最近読んだ本を持ってこさせると、それをぱらぱらとめくり、

 

 「いつもどのような本を読まれていますか、計算などはなさったことはおありですか」


 ここは隠すことでもないので正直に、まぁ魔法の本を除いて話した。

何故か背筋がぞっとしたような気がした。そして決まったスケジュール。

正気か、こんなにやるのかよ。地理、歴史(この国と大陸の分)外国語を2つ(この大陸にはおおまかに4つの言語があるそうで、最終的には全部やると言われた)算数(ここだけは安心だな)古語、国語(としかいいようがないが、美しい文字と文章、これができればあなたも今日から貴族とお手紙でやり取りができます、てなもんだ)バイオリン(そのうち別の先生を呼んでくれるそうだ、でもサリバン先生も嗜み程度のことはできるそうだ)絵も描けるようにならなきゃいけない、これも嗜みか。女子ではないので刺繍とかなくてよかった。中学生かよ、この授業内容。

 

 「これ多くないですか」

 

 「侯爵家の嫡男としてこのくらいは当然です、特に音楽と美術の感性は幼いころから磨かねば身につきません。付け焼刃の教養はすぐに見破られますし、侮られるもとです。

子爵家三男の私でも出来ることです。貴方にはこれ以上を身に着けていただけなければ私のお役目が果せません。」


 「はい、努力します。」というしかないだろう、これは。




 

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