閑話 俺の気持ち
学園に入ったばかりの頃、図書館で俺も読んだことのある本を広げている女の子がいた。
こちらを向いて目が合って、可愛い子だったし嬉しくて隣に座ってお喋りをした。
俺だって期待してないわけではなかった、前世の高校時代のように仲良くクラスメートと話す日常をな。
剣術科にはほとんどいないが学園には女の子が沢山いる。「よっ、久しぶり、〇〇のテストどうだった」
みたいに声を掛け合える知り合いが欲しいじゃないか。
それからしばらくして図書館にいる女の子の数が増えてきた、その子の噂も聞こえてきた。
その頃には薄々俺の顔がとてもいいんじゃないかと気が付いていたので、そういうことかと分かった。
俺は鈍感系の主人公ではない。前世ではジャージを着ているとおじさん呼ばわりをされるときもあったが、それなりの服装をすれば雰囲気イケメンにはなれると思っている、普通の男だ。女性は俺の前であまり装わないのでその生態もかなり知っている。
これはまずい俺の手にはおえないと思った、俺には女性をなんとかするスキルはない、前世は女性に振り回されていた俺にどうしろと。
そのうち俺の顔がとてもいいではなく、とんでもなくいい、あいつ等レベルの顔だとわかってきた。眼鏡では俺の美貌は隠せないんですねギルドマスター、ちくしょう。
夜会に行けば娘さんを紹介したがる親の多いこと、候爵位は魅力的ですよね。
俺はそこまで器用ではない、多分守れるのは一人だけだろう。でも他の女の子たちが傷つくのもいやだ。
当たり障りなく接するしかない。そして安心、安全な彼らにくっついている。
実はいいなと思う女の子達はいる、殿下にもいるのではないかと睨んでいる、綺麗なお姉さんの話をするしな。でも前世が普通男子の俺たちがうまくさばくのはハードルが高い。他の2人は知らん、生粋の貴族様だしな。
最初は乙女ゲームを怖がっていた、今は口実にしているような気もする。婚約者を決めてもらっていた方がよかったかな、いまさらの後悔だが。
そしてこうしてダンスなんぞをしていると物理的衝動にかられることもある。美しい花も可愛い花も見ているだけはつらい。中身は性少年だぜ。手を出したいが(といっても肩を抱きしめたりとかだが、これを婚約者以外にやるのは貴族的にNGだ)反響を考えると恐ろしすぎる。へたれといってくれてもかまわん。
そしてついついエロ話をする俺たち。目の前においしいケーキが沢山あるのに、ケーキは好意をにじませ触れなば落ちんという風情で迫ったくるのに、触れない、絵に描いた餅だぜ。それが俺たちにエロ話をさせるんだ!
辛い、辛すぎるぞ。旅から戻ったら俺は俺だけの女の子を作って絶対にいちゃついてやる。
少しはフェルディナンドの気持ちを説明できたでしょうか。
中身が普通男子の彼がスペックの高い男の影響力に慄いている、そして気楽に過ごせる仲間のところに逃げ込んでいると。アイドルの方たちは彼女を作るのにも苦労をされているのでしょうね。
ちょっとできる男ぐらいがすごしやすいんでしょう、きっと。
旅で彼らが第2のヒロインと出会う為に数日お時間をいただきます。
読んでくださりありがとうございます。




