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不穏な情勢

だんだん恋愛から離れていくような。

主人公が枯れていて、周りの連中が女の子を怖がっているせいだ。

書いている人物が作者の手から離れて勝手に動き回るって本当だ。

これファンタジーでなく恋愛なので軌道修正プリーズ!

 4人組は夕食後に毎日集まるようになっていた。不安なんだよ。

そして、ルドヴィックが日に日に萎れていく。

例のヒロイン対策な、俺は出来る、腹黒も。でも護衛騎士であるルドヴィックは殿下から離れられないし、殿下はもっとできない。いきなり横に飛ぶ、後ろに2,3メートルも下がる、どこの王子様だよ、かっこをつけなければいけない立場ではやってはいかんだろう。哀れ。そこで護衛騎士が盾となる。ヒロインは働き者で一日に最低一回はぶつかる、2回のときもある。


 「私は魔法もそこそこ使えるので、ルドが魅了魔法にかかったら、すぐに解除します。」


 「それはありがたいけれど、魅了魔法は存在しないんだろう、大丈夫か」


 「大丈夫ですとも。状態異常解除を掛ければ良いのですから」


 「なあ、フェルディナンドはどのくらい魔法が使えるんですか、今後の参考に聞かせていただけませんか。」


 「そうですね、私も興味があります。」


 おい、おい、止めてくれないか、今チーンとお弔いの鐘の音が頭に響いたぞ。

 そんなに瞳をきらきらさせても俺はしゃべらん。

 にっこりと笑って、口元に指を一本当てる。


 「そのうちにですね、今は秘密です。」


 ピカーンと閃いた。弟を生贄にしよう。


「弟と彼女を会わせてみてはいかがですか。伯爵家の夜会あたりで。

 候爵家と子爵家を会わせるとなるとそのへんになるかと。

 そして様子をみましょう、用心している私達より結果がでるのが早いかと。」


「いいな、私達もその夜会にでるのか」


 脳筋め、出来るわけないだろうが。


「いえいえ、それは殿下の手のものに逐一報告させるということで」


「私の手のものか、いないこともないので手配しておこう。夜会のセッティングはオリー、頼むよ。」


 権力はすばらしい、あっさりと決まった、あとは様子見だな。


 ヒロインは変わらずがんばっているが、成功の兆しが見えない。これは転生者確定だな。結果がわからなければ、ああも執拗に仕掛けられまい。

 

 もう彼女のことは知らん。もう一つの懸念が実現してきた。

魔獣の増加だ。俺たちがぐだぐだやっているうちに3つの村が潰された。

殿下も旧いノートを引っ張り出してリスト作りをしている。

日本語で書かれた物なので俺が国内の分をリストアップしていく。

よくこんなに覚えていましたね、と聞くと、うろ覚えだったので地図と首っ引きで必死に書き出したと言っていた。ここには十数の町村の名前しかないがこの倍はあるという。国外の地名は幾つもない。詳細な地図が手に入らなかったそうだ。

時系列は正しいが何月頃と漠然としている。どうしたもんか。


 重苦しい雰囲気が漂う、誰も何も言わずにその日は終わった。


 毎日考えている、誰にどう助けを求めるかだ、俺たちだけでは何も出来ない。

最悪、叔父上にだけは話して侯爵領の被害を少なくしてもらう、叔父上なら頼めば信じられなくても実行してくれるだろう。他のところはどうするか。騎士の派遣しかないよな。軍は王の指揮下にある、子供の口出し出来ることではない。

 ヒロインが来ない、近くをうろちょろしているのは見かけるんだが側に来ない。あいつでも空気を読むんだなと思うと可笑しかった。


 3日ほどたった、殿下に呼ばれヒロインの様子を聞いた、夜会で順調に弟と仲良くなったらしい。このまま会う機会を増やすそうだ。

 ヒロインの話が終わると、皆黙ってしまう、殿下が何か言いたそうにするがその前にと声を掛ける。

 一度様子を見に行きたいと。4月に魔獣の群れに襲われる予定の村があった、まだ無事なようなので今のうちに行って辺りを調べたい。聖女でなくとも浄化の出来る人間はいる,ただ範囲が狭くて、効果が少ないだけだ。人数を揃えればなんとかなるのか、瘴気がどのようなものでどう広がっているのか。確認しなければ、計画書も書けない。お願いするにしても計画書は必要だ。これが元高校生の殿下と社会人の俺の差だよね、フフン。そう俺は出来るところでできるだけ浄化をしようと思っている。聖女覚醒まで1年も待っていられるか。国をどれだけ巻き込めるか、これが瘴気増加の始まりだと回りにどれだけ信じさせられるか、勝負だ。

 皆もとりあえずやることができて嬉しそうだ。俺とマッキーで行くといったら反対されて、腹黒宰相子息オクタビアンも行くという。戦闘能力のない奴を連れて行くのはごめんだ。

だがしかし、しかしだな、ルドビックは戦えるが殿下の護衛騎士だ。

皆が譲らないのでしぶしぶ了承した。明日は冒険者ギルドに行って、護衛を探そう、ジョバックさんがいてくれるといいなー。


 朝早くに冒険者ギルドにいくと窓口にいつものおじさんがいた、髪だけは黒いが貴族の服の俺に何事かと言われたが個室にいれてもらい、村に瘴気の調査に行くことを告げた、ジョバックさんも直ぐ捉まり話ができた。ただ2人は人数を増やせという。それが冒険者の常識だとも護衛の人数が少なすぎて守れないとも。

 だが俺は譲らん、魔法のレベルがばれるのは一人で沢山だ。

オクタヴィアンが無理を言わなきゃ誰にもばれなかったのに。

 魔法のレベルを知られたくないんだとぐちぐちいうと、貴族なのも魔法の腕がいいのも最初からわかっていたと言われた、何故に?魔獣が強そうだったからと言われ、マッキーのせいかと諦めた。おじさんが、俺のことはわかんねえだろうと聞くので首を傾げると、ギルドマスターだとどや顔された。へい、へい、俺は世間知らずですよ。秘密の対策があると打ち明けると(何とは言わないがな、言ったら秘密にならない)ギルドマスターは反対したが、ジョバックさんはあっさりと頷いてくれた。ありがとうジョバックさん。 

 そのままジョバックさんと買出しに出かけた。昼にはマジックバッグを2個持ってきたオクタヴィアンと合流し早いがこのまま出発することにした。

王都は便利だよね、転移陣に乗ること2回で目的の村まで馬で一日のところまでいける。


 貸し馬で目的の村まで近づくと、空気が重い気がする。これが瘴気か。

村人に聞き取り調査を始める、何人かに聞くと大体の方向がわかった。馬で林や草原を抜けて2キロを超えたところで辺りが薄暗くなった気がした、3人ともそう感じるので、ここからは慎重に。1キロも進むと辺りは完全に薄暗い。

ここまでか。ジョバックさんも渋い顔をしているし浄化を試してみて、その後撤退だ。


  広範囲の魔法だとチュウニ病ぽい呪文になるのでいやだけど、がまん、がまん。

 「辺りを清める光を我が手に、浄化」これで1キロ四方がすっきりした。

まだまだ余力があるので3回、円の周辺を巡るように浄化をかけた。

あとは夕方なので明日。

 村に戻ると20人ほどの村人がかたまってこちらを伺いながら寄ってくる、険しい顔をして目が不安に揺れている。まだ調べ始めたばかりだからといって、解散してもらう、ごめんな。

村長に村はずれの空き家を借りると中に篭った。結界をはって、はい、OK.

マッキーの背中を撫でているとほっとする。2人共渋い顔をしている。そうだろうね、魔獣はほとんどマッキーを恐れて近づかなかったけれど、あそこから先はどうなるやら。

 

 「だから護衛の数を増やせと」


 「いや無理でしょう、あと数人増えたぐらいでは」


 「さすがオクタビアン、それに転移できるのはこれでぎりぎり、馬は捨ててもね」


 「では、これからどうするのですか」


 「騎士を派遣してもらう前に村は潰れると思う」


 「う~ん、後味が悪すぎるぜ」


 「では、ぎりぎりの手前までがんばって、転移で逃げる。

  ただなー、お金が掛かるんだよね、どこまで出してくれるかなー、オクタヴィアン。浄化に魔方陣と魔石を使いたいんです、あと魔獣を倒すのにも」


 「それって、幾らぐらい掛かります」


 「最低でも一千万、多分数千万は掛かると思う」


 「う~ん、ぎりぎり大丈夫かなー」


 「ここだけではないんですよ、あとなんか所あるか」


 「とりあえず、今回だけはやってみましょう、私が責任を持って払わせますから」


 「いやー、オクタヴィアン連れてきて良かった、良かった」


 「嬉しくないですけれどね」


 すべてを殲滅するのに一週間かかった。経費は6千万近く、中心地は穴ぼこと焼け跡のある荒地となっていた。

 








 


  

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