狭間で
あばばばばばば
月島太陽は言霊使いである。
魔術や妖術も修めているものの彼の彼の本質は言霊である。
もし彼が「死ね」とアパートでアナウンスでもしようものなら集団での不審死が起こるだろう。
言霊とは極小単位での真理の書き換えあるともいえるだろう。
彼にとっては異世界へといくこともそうたいしたことではない。
事実、彼は今までに異世界召還術を開発した世界を滅ぼすなどもした。
しかし彼は今の現状を打破することができなかった。
「(なんだコレは?)」
たとえるなら粘度の高い空気、圧迫される感覚と微かな息苦しさが彼を包んでいた。
「(異世界へ行くときや転移術を使うときに似ている・・・・?)」
彼は過去の経験をたどっていても類似したものはあれど合致するものはない。
しかし彼には違和感がぬぐいきれなかった。
その違和感は彼に言霊を使うことをためらわせた。
「(もしかすると次元がずれている?)」
あまりに馬鹿馬鹿しいその考えに背筋が冷える感覚を覚える。
次元の壁を越えるということはまず不可能なのだ。
ソレは魔術、妖術、神道あらゆる分野を持ってしてもである。
次元が違えばそこは絶対不測定領域であり干渉は不可能というのが今の定説である。
しかしどうだろうか、元凶となったあの絵を作ったのは世界最高の術師だ。かの術師には人類より先に生まれたといううわさすら立つような化け物だ・・・もしかすると次元を超えることすら不可能ではないのかもしれない。
「(もう・・・無理か・・・)」
気づくのが遅すぎたのだろう。
既に彼の体はどこかに飛ばされかけているのか欠け始めていた。
「(死んでたまるか・・・・!!)」
こうして彼は絵画の世界へと入っていく。