第七話:他愛ない土曜日
一学期が終わり、今日から高校生活最後の夏休みが始まる。受験生にとっての夏休みは勉強する時間と遊ぶ時間を分け、計画的に過ごさなければならない日々だ。
特に就職希望の学生にとってはSPI対策や履歴書の作成など色々忙しい。俺もその中の一人だ。俺は自分の部屋で学校の宿題を片付けつつ、就職に向けた勉強や履歴書を作成していた。
しかし家でこういった作業をするのはこの家庭では至難の業。だからといって図書館も満席。困ったものだ。
俺は気分転換にテレビでも見ようと思い廊下に出た。廊下は大雨で浸水した家のようになっていて、腐敗臭と風呂の湿気、カビの臭いがした。俺からすればこんなのは十年以上前から日常となっていた。何故ならこの原因は父とは思いたくない正人の仕業なのだ。
水浸しは洗面台の水を出しっぱなしにしているせい。腐敗臭は異常な程の加齢臭。湿気は風呂から出た後に換気扇を回さないからだ。これら全てがアイツの仕業。だらし無い性格なのだ。
今日は土曜日。しかし正人は爪痕だけを残し会社に出勤していた。過去に数回リストラされているので、再びリストラされるのも時間の問題ではなかろうか。今のうち外に出て行っておいてくれ。
家に居てもやはり気分は紛れないので自転車で鎌倉へ行って気分転換。鎌倉には何故か俺を引き付けるものがある。
鎌倉から帰り俺は正人が帰るまでの時間を宿題を少ししたり音楽を聴いたりして有意義に過ごした。俺はオタちゃんからすればもしかしたら幸せ者だろうか。
しかし、少し穏やかな日々はそう長く続かなかった。オタちゃんと比べる余裕がある俺に、後に起こることなど想像すらしなかった。いや、したくなかった。今までの経験から何か起こる気はしていたが…。
今回の話は主人公、宮下優成の日常の話でした。一度、段落等を見やすく整理しましたが、それに加え、加筆も検討しています。
今後、もしくは過去に主人公たちは苦い経験をします。しかし趣味や気分転換、仲間との交流により支えられ今も何とかやっています。そんな話です。今更ながらストーリー紹介でしたm(__)m
少しでも幸せな時間がないと人間潰れます(ノ_・。)