第五話:闇討ち
僕は鉄道オタク。周囲から偏見の眼差しで見られるのが現代日本の現状。ただ趣味が鉄道というだけで。
「オタちゃんっていい奴なんだけどオタクだからな〜」
「そうそう。オタクじゃなければ別にな」
「え〜、いくら性格良くてもオタクは論外なんですけど」
「やっぱりオタクだからキモいんだけど〜」
時々、そんなひそひそ話が周囲から聞こえてくる。
さっき知り合った大甕さんもそういう事を言う人の一員となるのか、気になっていた。
これはもしかしたらイジメの一部なのかもしれない。しかし、外的暴力を受けるわけでもなく、自分が直接悪口を言われることも今までない。従って学校やクラスで特に問題視されることもない、最もタチの悪いイジメなのかもしれない。
そんな僕にこれまで味方してくれていたのは、部活のメンバーたちや、宮下君、そして仙石原さんだった。仙石原さんと宮下君は中学の時、同じクラスになったことがあった。
特に僕にとって最初の仙石原さんの印象は、無駄に騒がしく、真っ先に僕をいじめてきそうな存在、だったけれど、後者は余計だったようだ。
いま僕がなんとかこの世に留まっていられるのも、この二人や部活のメンバーのお陰と言って良い。
しかしやはり、こうも毎日陰口を言われていると、流石に辛いものがある。
「いじめられる方にも原因がある」
イジメが起きると必ず聞くワードだ。
確かにそうかもしれないと僕は思い、鉄道の話題になるとついベラベラと語ってしまう癖や、何か避けられる要因になりそうなものを直してきた。
しかしイメージは定着してしまうとなかなか離れぬもので、陰口は絶えなかった。
そんな日々がいつまで続くのか、もしかしたら一生続くのかもしれない。ならやはり、早めにこの生涯を閉じた方が良いのでは?そんな疑問が頭を駆け巡っていた。
ある日、僕が部活を終えて一人きりの教室でそんな事を考えていると、軽音楽部の活動を終えて仙石原さんが教室に入ってきた。
「あっ、オタちゃん!! おつかれさまぁ〜!! どしたの? 複雑な顔して。」
「あぁ、おつかれさまちょっと考え事して。」
「そっか。私で良かったら何でも相談してね!」
「うん、ありがとう」
仙石原さんは悩む僕を心配してくれる、明るくてやさしい人だ。
これは現代の高校でよくあるイジメのパターンではないでしょうか。少なくとも自分がみてきたイジメはこんな感じです。
自分は気持ちを少しでもラクに出来るようにその人にアドバイスをしたことがありますが、いじめられている人はどれだけ辛いのでしょうか。自分は体験したことがない。若しくは気付いていないので何とも言えないのですが、計り知れないものがあることでしょう。