第二十四話:バイオカマキリなんているの?
これは私、仙石原未砂記が小学五年生の時のお話。
その年といえば地元に暮らす人々はサザンオールスターズの地元ライヴで盛り上がった年。私も盛り上がった一人。マジでサザンの生演奏最高でしたよ!? でもその年は、私にとって複雑な年でもあったのです。良い意味でも悪い意味でも決して忘れられない年。
私の家庭は当時から父親は単身赴任。母親と姉が同居していた四人家族です。特に困った事もなく、経済状況も問題ない円満な家庭でした。
「未砂記っ! サザンの新曲予約してきたよ!」
「サンキュー! 姉貴!」
年初めに大ヒット曲を出したサザン。夏に一曲、秋にバラットのアルバムともう一曲新曲をリリースしました。その年はまさにサザンイヤーです。姉貴が予約してきた新曲はかつてイチサンヨン、つまり国道134号線沿いにあった海を眼前に臨めるホテルをモデルにした曲。
さて、サザンについて語ったところで、ここからは本題に入るとしましょう。
季節は梅雨。私は当時アメリカのビバリーヒルズを舞台にしたドラマにはまっていた。今思えば家族みんなで楽しめた数少ない番組です。家族とのこんな些細な時間が実はとても大事な時間。こんなまったりしてたらお話が作れないよ…。
とりあえず家族の紹介です。父親は単身赴任、母親はごく普通の専業主婦で、当時は日曜日になると親戚の家の手伝いをしていました。姉貴は高校一年生。彼氏が出来て幸せそうです。
いいなぁ…。
そして私が無垢で清楚で可憐な美少女、未砂記!
というのは嘘で、本当は無駄に騒がしいただのおバカ!
でも無垢だったのはホントだよ!
こんな愉快な家族から物語は始まるのです!
じゃね!
バイバイオカマキリ!!
意味分かんないよね…。