第二十三話:夕方、思い出のキノコ公園で
今日は久しぶりにファミレスでバイト。このファミレスではバイトでも有給休暇が貰えるので、連日それを利用していたのだ。
この日は普段に増して暑さのレベルが格段に高い。三重県と埼玉県では最高気温が四十度九分。俺がそんな所に行ったら死ぬだろうな。
◇◇◇
「いらっしゃいませ! 二名様ですか?」
お客さんはちょうど私達と同じくらいの年齢の男の子二人。
「あ~、はい。え~っと、宮下っていうバイトの人いますか?」
優成に何か用かな? もしかしてクレーム? アイツ接客態度暗いから。
「はい。少々お待ち下さい」
私は一礼して、さっそく優成を呼びに厨房へ向かう。
「ねぇ優成ぃ、お客さんが呼んでるよぉ」
「俺? 接客態度良くないからクレームかな?」
コイツ、自覚してるんだ。
◇◇◇
客から呼ばれたとのことで、俺は足取り重く未砂記から聞いた番号のテーブルへ向かった。
「はいっ、ご用…」
あれ? 何故ここに? ってかなんで俺がここでバイトしてるの知ってんの?
「おっす!」
「ヤニ切れ~」
この二人は埼玉在住の友人だ。わざわざ遠い所までおつかれさま。
ところで今回この二人が登場した意味はと言うと、文字数調整による場繋ぎだ。今後たまに登場するかもしれないので紹介も兼ねて。一話あたり二百文字以上という規定があるのだ。ここで初めて作者の代弁。
二人が俺のバイト先を知った理由は、俺が酒に酔った勢いであれこれ全て吐露してしまったからだという。もちろん隣に居る未砂記と付き合っている事も。
バイトが終わって空は茜色、俺と未砂記はそのまま近所の公園へ向かった。埼玉の友人たちは原宿の竹下通りで買い物をすると言って早々と去った。ちなみにこの公園は、あのサザンオールスターズが地元ライヴを敢行した公園だ。
「優成ぃ、ちょっと話があるんだけど」
「どうぞ?」
「うん。ちょっとじゃなくて長いんだけど、私の過去の事、優成には知っておいて欲しい。あなたにはなるべく隠し事したくないから」
まるで別人のような口調だ。俺はこの後、未砂記の壮絶な過去を知る事になる。