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電装戦記クアド・ラングル  作者: 神宮寺飛鳥
【クイーン・オブ・ソード】
5/24

2-1

 神崎ましろの起床時間は早い。

 ましろは明瞭学園という私立に通う中学二年生。明瞭は中高が一貫になっており、その分中等部の入学試験もそれなりの難易度を誇る。更に進学校という側面も持つ明瞭は、否応なく学力と相応の人間性を求められる為、所謂エリート校として名を馳せていた。

 アイボリー色のブレザーとチェックのミニスカートという制服はデザインが可愛らしい事でも有名で、明瞭の女子は様々な意味で憧れの的でもあった。

 ましろもその例に漏れず校内外から羨望を集める立場にあった。背丈が小さくやや発育の悪い体つきであったが顔の作りは自他共に認める所で、美少女という言葉が良く似合う、なんとも煌びやかな中学生だったのである。

 成績も優秀。クラスでは委員長。生徒会にも所属し、現生徒会長である小日向陽鞠とは幼馴染の関係で、中等部でありながら右腕のような立場にある。まさに完璧な中学生である。

 そんな幸運の女神に愛されたましろにも、どうにも長年頭を悩ませる課題があった。

 ましろの自室は二回にある。早朝に部屋を出て廊下を数歩歩けばすぐに兄、静流の部屋の前に出る。少女の悩みの種というのはこの実の兄の事で、問題発生から未だ解決の糸口は見えず、あろう事か数年の月日が経過してしまっていた。

 扉にノックをしてみようかと手を伸ばし、すぐに考えを改める。

 兄は妹に比べると一時間以上起床が遅い。兄の通う学校は程度の低い所謂バカ校の類で、特に部活をしているでもない、学校に居座る理由のない兄は始業ギリギリ……あるいは少し遅刻しそうなくらいに家を出て行く。結果、兄妹が朝顔を合わせる事はなかった。


「おはようございます、母さん」

「おはよう、ましろ。すぐお弁当作るからね」

「私も手伝います。今日は何を作るんですか?」


 ワイシャツの袖を捲くりながら台所に立つましろ。母娘がこうして並んで料理をする風景は神崎家ではよく見られるものだ。

 朝、母と共に朝食の用意をする。ついでに昼食用の弁当を作る。弁当は自分の分、母の分、それから父の分で三つ。ここに兄の四つ目が加わる事はない。

 兄の弁当を作らないのは神崎家の暗黙の了解であった。当然ながら元々は兄の弁当も作っていたのだが、高校に上がったあたりから兄は弁当を受け取らなくなった。

 昼食はどうやらバイトで稼いだ金で買っているようだが、実際の所どうしているのかは知らない。兄と妹の会話は極端に少なく、ほぼないものだと思って良いほどだから。


「母さん、ましろ、おはよう。今日もうまそうだなあ」

「おはようございます、父さん」


 柔らかく笑顔を作りながら挨拶するましろ。父が起きてくるのは大体いつも六時五十分頃。すっかり朝食の支度は完了している。

 父は新聞を広げながら朝食を食べる。それは何度注意しても直らない彼の癖であった為、もうすっかり女二人は指摘する事を諦めた。


「ましろ、最近学校はどうだ?」

「特に変わりありません。毎日充実しています」

「そうか。お前はすっかり手のかからない子だ。父親として自慢に思うよ」


 行儀良くパンを齧る娘を見つめる父の優しい眼差し。これも神崎家ではよくある風景。

 朝食が終われば父と母はスーツに着替え家を出て行く。それにやや遅れ、朝食の後片付けをすませたましろが家を出る。

 革靴を履いて玄関を潜ると爽やかな朝の空気が髪に触れる。なんだかそれだけで胸の中から淀んだ空気が出て行くようで、悩みも一緒に吹き飛ばしてくれる気がした。


「ましろちゃん、おはよう!」

「陽鞠先輩、おはようございます」


 小日向陽鞠と神崎ましろ。二人が家を出る時間が大体同じなのは、家の中でやっている事が大体同じだからだろう。

 二人は共に明瞭学園へ向かう為に歩き出す。その途中、ましろは一度だけ足を止めて我が家を振り返る。視線の先にあるのは二階の兄、静流の部屋だ。


「今日も静流ちゃんはまだ寝てるの?」

「はい。あのぐうたら兄は八時ギリギリくらいに起きるんです。学校が近い人はいいですね」

「明瞭は電車で結構掛かるからね。私本当は朝起きるの結構辛いんだあ」

「生徒会長がそんな事では困りますよ。もっとしゃきっとしてくれないと」


 気の抜けた笑顔を作る陽鞠。その跳ねた髪を歩きながらましろが正す。

 清楚で凛々しいイメージを持たれがちな陽鞠だが、それも学内のみでの事。幼馴染であるましろにはすっかり気を許しており、少し間の抜けた態度を取る事も多かった。


「そういえば先日、あのへたれ兄と話をしました」

「話って、どんなお話かな?」

「なぜ陽鞠ちゃんをいじめるのか、という話題です」


 ぴたりと足を止める陽鞠。その顔が徐々に赤みを帯びていく。


「ましろちゃん? ましろちゃんの気持ちは嬉しいんだけど、私の話をするのは……」

「素直にどんな反応だったか気になる、と言ってはどうですか?」

「あや……う、うん。それで、静流ちゃんはなんて……?」

「お前には関係ない事だ、だそうです。だめ兄の分際で生意気な事です」


 溜息混じりに語るましろ。ふと気付いて足を止めると、陽鞠は少し後ろの方で立ち止り、あからさまに肩を落としていた。


「静流ちゃん、まだ私の事怒ってるのかなあ……」

「怒っているも何もないでしょう。あれはへたれ兄が悪いのであって、陽鞠ちゃんに一切責はありません。気にかけるだけ無駄なことですよ」

「ううん。きっと私が悪いんだよ。正直どうして私が嫌われてるのか、自覚はないんだけどね……静流ちゃんは凄く優しい子だから、理由もなく嫌うって事はないと思う」


 気を持ち直したのか明るい笑顔で陽鞠は言った。この太陽のような笑顔からは何と無く聖母という言葉を思い出す。あの兄は悪魔のような男で、この聖母陽鞠は笑顔でその所業の全てを許そうとしている……そんな図を思い描くのだ。


「はあ……。本当にあのばか兄は……。金髪でスタイルがよくて美人で気立てもよくて優しくて清楚で頭もよくて運動神経もいい、生ける才色兼備のような陽鞠ちゃんを嫌うなんて、そんな愚行は勘違いも甚だしいです。ちっぽけでへたれでどうしようもないぐうたらで意地悪なあのばか兄は、本来でしたら陽鞠ちゃんとは口を利くことすら叶わないでしょうに」

「さ、さすがに言いすぎじゃないかな? 色々な意味で……」

「あのばか兄は一度のセリフの中に二回もばかと言われるくらいで丁度いいんですよ」


 唇を尖らせながら歩くましろ。その記憶の中にいる兄は、今とは随分違っていた。

 ましろは両親を尊敬している。家族を尊敬している。神崎家の娘である事を誇りに思っている。別に特別な家柄でもなければただの共働きの一般家庭だが、それでもましろにとっては十分な幸せがあった。


「本当に……あのぐうたら兄は……」


 だからこそ、静流の事を思うとやるせない気持ちになる。

 昔はあんなに無気力ではなかった。あんなに自分達にだって他人行儀じゃなかった。

 早く元の兄に戻って欲しい。何とかしたい、してあげたい。そう思い始めて何年か経つにつれ、すっかり素直な気持ちはなりを潜めてしまった。

 丘の上にある集合住宅地は振り返ってももう見えない。

 誰もいなくなった家の中でまだ眠っているであろう兄の事を思い、その気持ちを振り切るように踵を返し。少女はあるべき日常へと歩みを進めて行った。




「うあー……就職めんどくさいよー……」

「鳴海さん、今年卒業でしたっけ? 就職ってどんな事するんですか?」

「んー……ざっくり言うと、会社さんに私はこんな人間です。私はこの会社が大好きです。どこが大好きかというとこういう所です。この会社で私はこんな事をしたいと思っています。やべえ、テンションあがってきた! 面接しようぜ! って感じかな……」

「ぜんっぜんわっかんね」


 ゲームセンター《すばる》の駐車場。その一画によく静流と鳴海が話している駐輪場がある。平日の昼下がり、制服姿の静流は私服の鳴海とコーヒーを飲んでいた。

 別にどちらがやりだしたわけでもないのだが、何と無く二人で話をする時はどちらかが飲み物を奢るという暗黙の了解があった。その割合はどちらかというと鳴海のおごりである場合が多いのだが、今回は茹だっている鳴海に静流がコーヒーを差し出した流れだった。


「もう就職決まってる子もいるのよね……ははは……」

「へえ。つか、鳴海さんって就職するんすか? すばるに勤めるんじゃなくて?」

「正直すばるで社員になりたいんだけどね。お父さんがゲーセンで働く女の子なんて結婚出来ないって言って……」

「はあ。まあ、店長の気持ちもわからんではないですよ。親心っすよ、親心」

「お父さんはわかってないのよ! 私がどれくらいゲームを愛しているのか! どれくらいすばるを愛しているのか! 子供の頃から店長になるのが夢だったんだから!」


 スチール缶を握り潰しながらずいっと顔を寄せる鳴海。静流はその目を疑う握力に引きながらも苦笑を浮かべ答える。


「そうやって夢に近い所で生きられるのっていいっすね。羨ましいっすわ」

「夢かあ……あれ? 前にもこんな話しなかったっけ?」

「したような、しなかったような。俺達の話って大体似たような感じですし」

「それもそっか。なんかごめんね静流君、愚痴聞いてもらっちゃってさ」

「別にいーっすよ。どうせ暇ですし」

「というか君、平日の昼間からどうしてゲーセンにいるの? まさか学校サボったんじゃないでしょうね?」

「サボりとは人聞きが悪いっすね。今日はテスト上がりで半ドンっすわ」


 ジト目で静流を見る鳴海。苦笑しつつ少年は空を見上げる。


「なーんか……そういう日もあるっすよ」

「五月病ってやつかしら?」

「かもしんねーっすね」


 ぼけーっと空を眺める静流。流れていく雲。少しだけ傾きを増した太陽の光。平日昼間の人通りの少ない道路と、そこを歩いている主婦の足音。世界の全てがゆっくりと動いているような錯覚に陥り、深く溜息を漏らす。


「私もぼけーっとしちゃおっかなー」

「朝比奈さんに就職の相談してみればいいじゃないすか」

「絶対嫌」


 即答に笑みが零れる。と、そこに見覚えのある二人組みが通りかかった。


「あれ? 神崎さーん、鳴海さーん!」

「おー。S君にM君じゃないの。サボり?」

「今日はテストで終わりが早かったんです。サボりじゃありませんよ!」

「あれ? 静流君の話嘘じゃなかったんだ」

「鳴海さんひっでー。傷付くなー俺」


 制服姿の佐々木と守谷。佐々木は早速二人に駆け寄り会話に混じっているが、守谷はその少し後ろから会話を眺めている。

 最近漸く名前を覚え始めた静流だが、ついでに二人の性格にも理解を深めていた。佐々木は割と人懐こい性格で、年上にもどんどん声をかけてくるメガネ男子だ。守谷の方は引っ込み思案というよりは口下手なのかクールなのか、あまり会話には参加してこない。見た目にも物静かそうな感じの少年だ。


「神崎さん、鳴海さん、どもっす」

「ちーっす。君らいつも一緒にいるねえ」

「……小学校の時から同じクラスだったんです。中学に上がっても一緒だったんで」


 簡潔に事情を説明する守谷。佐々木はその間に割って入り静流に声をかけた。


「そうだ! 神崎さんも一緒にレギオン戦に参加しませんか!?」

「レギオン……? あー……企業間の勢力戦、だっけ?」

「はい! 今日夕方から開戦なんです。アヴァロンとムラサメの勢力戦なんで、神崎さんだったらアヴァロン側で出撃する事になりますね」

「レギオン戦ねー……」


 生返事を返す静流。その会話を中断させるように鳴海がわざとらしく咳払いをする。


「すばるのホームルールで制服着用の中学生は夕方五時まで。それ以降の出入りは私服に着替えた場合でも八時までだからね。レギオン戦に参加したかったら着替えてらっしゃい」

「わかってますよ。だから今一度家に帰る所だったんです」

「出直してきます……それじゃ」


 走り出す佐々木。その後を早足で守谷が追いかける。静流はひらひらと手をふりつつ。


「ちなみに高校生は何時まで?」

「制服着用で八時まで。私服の場合は夜十時まで」

「きっびしーい」

「相手が誰でも例外はないからね。ルールを破る悪い子は出入り禁止だから♪」


 鳴海の笑顔に肩を竦める静流。手馴れた手つきで空き缶をゴミ箱へと投げ込むのであった。




「げっ! 神崎静流!」


 駐輪場で暫く雑談をした後、静流は鳴海と分かれて一人でゲームをプレイしていた。何度かそうしてアリーナ戦を終えた時だ。筐体を出たところでばったりと三河と遭遇してしまった。


「お? 初心者狩りの三河君ではありませんか」

「そ、その呼び方はやめろ……別に僕は悪い事はしてないんだからな」

「後ろめたい事が何もないなら、別に嫌がる必要もないんじゃない?」


 ニヤリと笑う静流。三河は眉間に皺を寄せそっぽを向いている。


「お、お前に負けてからあの戦法は封印したよ……ど、どっちみち飽きてきた所だったしね」

「へえ。そういえばお前、まともにやっても強いんだっけ?」

「と、というか……まともにやった方が、強い。あんなアセンブル普通しないし……機動戦になるのが当たり前のクアランで旋回不能とか……ナメプもいいところだよね」

「アセンブル?」

「き、機体構成の事……武器とかパーツとか、機体のカスタマイズとか……そんな事も知らないのかよ。流石初心者様って感じだな。それに負けた自分もどうかと思うよ」

「今はどういうアセンブル? にしてんだ? ちょっと見せてみろよ」

「勝手に人のユニフォン覗くなし! ていうかお前年下だろ! タメ口やめろよな!」

「ケチケチすんなよー、先輩」


 両手で持ったユニフォンを高々と掲げながら後退する三河。背伸びまでして一生懸命静流から遠ざけようとしているのだが、悲しいかな、そこは二人の身長差。上に向かってユニフォンを逃がすのはあまり効果的とは言えないようだった。


「お前達……少し見ない間に随分仲良くなったようだな」

「あ、朝比奈さん! こいつなんとかしてくださいよ、馴れ馴れしくて困るんですよね!」

「ちわーす。仲良くっていうか……いじってたっていうか?」


 二者それぞれの挨拶に困惑する朝比奈。だがそれについては深く考えなかった。それが朝比奈の物の考え方。めんどくさそうな時は思考をシャットダウンする。


「ふむ。雨降って地固まると言うしな。本気のバトルを乗り越えた二人が固い友情で結ばれるなんて事は、マンガ的には有り触れた展開か」

「別に仲良くなってないっすけどね」

「そうか? まあ冗談はさておき、静流はもっと三河の話を聞くべきかもしれんな。身近にいる先輩プレイヤーとして良い情報源になるだろう。伊達に旧バージョンのランカーをやっていたわけではないからな。アセンブル知識は頼りになるぞ」

「へえー。じゃあ先輩、なんでもいいから強い武器下さい」

「クレクレキターッ! ぼ、僕は自分じゃ何もしないくせになんでもいいから強い武器よこせとか言ってくる外道が大嫌いなんだよね! 誰がお前に武器なんかやるか!」

「ははは。冗談ですよ、先輩」

「そ、その先輩っていうのやめろ! 全く心が篭ってないから逆に腹立つ!」


 すっかり三河いじりが気に入ったのか笑顔で近づく静流。一方三河は本気で嫌がっている様子で、青ざめた表情で首を振りながら逃れようとしていた。


「こんにちはー……って、なんだか賑やかですね? 三河までいるし」


 そこへ私服に着替えた佐々木と守谷が姿を見せた。挨拶をする静流と朝比奈、その影に隠れて三河は膝を抱えている。


「中学生にすら呼び捨てって……なんなのこの扱い……」

「静流さん、レギオンバトルはやってみました? もう開催してますよね?」

「あ? あー、やってないけど……」

「ほう? 静流、遂にお前もレギオンバトルデビューか。胸が熱くなるな……。レギオンバトルは集団戦闘、まさにロボット物らしい戦争的な展開が魅力だ。他のバトルメニューに比べると覚える事が多いのも事実だが、まあそれはそれ、習うより慣れろだ」

「要はチーム戦ですよね? 俺そういうのはあんまりなー」

「守谷がムラサメワークスなんで、僕はムラサメ側につくので……もし静流さんが参戦するとしたら、敵同士になっちゃうんですけどね」


 レギオンバトルとは四大企業間の勢力戦争を遊ぶモードである。

 クアド・ラングル内の四つの勢力、アヴァロン・メカニクス、ムラサメワークス、ステレオグラム、オールド・ギース。プレイヤーはこのいずれかに所属している事になる。レギオンバトルは基本的に一勢力と一勢力による戦いであり、この際自分が所属している勢力が戦闘に参加している場合、強制的にその勢力として出撃しなければならない。

 今回のケースではアヴァロンとムラサメの勢力戦の為、アヴァロン所属の静流はアヴァロン側にしかつく事が出来ず、ムラサメ所属の守谷はムラサメに側にしかつく事が出来ない。勢力に反し、相手側につくという事はシステム上出来ない仕様なのだ。

 しかし戦闘に参加していない勢力、今回の場合はステレオグラムとオールド・ギース、この二つに所属している場合、戦闘中のアヴァロンかムラサメ、どちらかを選んで増援という形で出撃する事が出来るのだ。


「実際に戦っているのは二つの勢力だが、そのどちらに勝ってほしいか、というのがあるだろう? 外野の勢力はそこに介入し、ある程度状況操作する事が可能なわけだ。無論そうした打算は無関係に、友達が参加しているからとか、なんとなくという理由で増援に出るのも可だな」

「し、静流がアヴァロンで出るなら、僕はムラサメに協力しようかな」


 そこで復活した三河が顔を出す。三河はしたり顔でユニフォンを取り出し。


「レギオンバトルのイロハも知らないお前が戦場で右往左往した結果ボコボコにやられて帰っていくところを、スナイパーライフルのスコープを覗いて見物してやるよ!」

「いや、俺別に参加するとは言ってねーし」

「そもそも盛り上がっている所悪いが、筐体が四台も空いていないぞ?」


 クアド・ラングルは人気のゲームだ。高価なドレッドノート筐体、すばるの経済力では八基置くのだって無理をしている。まずゲームをプレイする前に席取りから……それが常識である。


「二台は空いてるな。せっかく来たんだし、佐々木君と守谷君でやってきなよ」

「いいんですか? ありがとうございます!」


 筐体に入る佐々木と守谷を見送る三人。そのまま待合席を兼ねるモニター前のベンチへとぞろぞろと移動するのであった。

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