第3話#たとえキミがアタシのものにならなくても
「麗菜ちゃん?!」
「麗菜!!!」
そんな声が聞こえた。でも今アタシが引き返しても、色々言われる。
なんで居んだよ
邪魔しないで
エレベーターに飛び乗る。荒くなった息を整えて、どうしようと考える。人前で泣くなんてめったにないし。
◇◆◇◆◇◆
その頃・・・・・
「麗菜ちゃんにてつは何をしたわけ?!泣いてたじゃん!」
二人は階段を上がっている。
「しっ知るわけねぇだろ。なんか二人を見るのが辛かったかとか言ってたけど」
「なんて返事したの?」
「よく分からんけど行こうぜ。って」
「バカッ」
◇◆◇◆◇◆
まだ追って来てるかな。そんなはずないよね。
「まぁいいか」
と二人は遊んでる。どこかに追って来て欲しいと言ってる自分がいる。
「見ぃつけた♪」
え?
「ったく。迷惑かけんなや」
え?
まさか、見付かった?二人は息が荒かった。アタシの為に走って来てくれたの?
「てめぇの為に走った訳じゃないからな。奈々葉が走るって言うから」
二人は何も言わない。聞かない。ただ一緒に笑ってるだけ。
神様、こんなアタシを呪うならどうぞ呪ってください。でも殺さないで。
わがままだけど、今アタシはこの幸せを、この瞬間を、この時間を、手放したくない。
たとえキミがアタシのものにならなくても。