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第１話＃彼女

ただ見てる。キミを。授業中は、わざと上の空。読むところをキミに教えてもらうため。分かるんだけど、分からないフリして、答え聞いたり、何がなんでも喋りたかった。何がキッカケでもいい、皆に嫌われてもいい、キミに愛されたかった。

ダメだ。キミには彼女がいる。これ以上ないくらい可愛くて、優しくて、運動も勉強もできて、友達なのに、今更

「アンタの彼氏が好きなの」

なんて言えない。

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「麗菜、あのアニメのＣＤは？？？」

「んー。ちょっと待って。あっ哲也っナナちゃん来てるよ」

ナナちゃんとは笠原奈々葉ちゃんで、哲也、桐原哲也の彼女。そしてアタシ、今井麗菜。ナナちゃんと哲也の友達。正直いって、二人の間にずっといるのはキツイ。でも、哲也をあきらめたくない・・・。ナナちゃんみたいな完璧な人を見るとミジメになる。アタシなんて・・・・・・て思ってしまうの。

どうしてアタシじゃなくて、アノコなの？確かにアノコは完璧だし、イイコだよ？でも、完璧なんかじゃなかった。一つ欠けてる。キミへの想いなら、どれだけアノコがキミをスキと言っても、キモチだけはアタシに勝てない。

ねぇ自信持っていい？

自信あるよ。世界中の誰よりもすきだって言える。

叶わないなら、そっと胸にしまっておこう。泣いてしまうように。

傷つかぬように。