どうか君が、幸せでありますように…と。
今回は、「夢」という題材を取り入れてみて、少し違うストーリーを作ってみました。
読んで頂けたら、幸いです。
「ねぇ、夢と私、どっちの方が大切?」
と君に聞かれて、とっさに口に出てしまった答えは、
「夢…」
だった。
その時の君の顔が、今でも頭から離れない。
目に涙をいっぱいためて、苦しそうに悲しそうに、けれど、どこか悔しそうな瞳で僕を見てた。
そして、
「分かった、ありがとう。元気でね」
と、一瞬笑いながら去って行く君の後ろ姿を、見ていた。
今までは、ずっと、
「君と夢はどっちも大切だから、決めることなんて出来ない」
と言って来たのに。
どうしてかな…。
少しずつ、気持ちは変化していたのかな…。
夢を追いかけるのに夢中になって、君を見失ってしまったのかな…。
でも、もう後戻りは出来ない。
だから、僕は、君に最後のメールを送った。
「昨日はひどいことを言って、傷つけてしまって本当にごめん。一緒に過ごした日々は、とても楽しかったし、大切な時間でした。付き合ってくれて、嬉しかった。ありがとう」
すると、数分後、君から返信が来た。
「大丈夫です。本当の気持ちが知れたので、良かったです。私も、同じように楽しかったです。こちらこそ、ありがとう。自分の道を見失わずに、絶対に夢を掴んで下さい。大好きでした、さようなら」
と、君からの最後のメールを読み終えた。
その瞬間、自然と涙が溢れてきた。
僕が、君のことを本当に好きだったと、その時に実感した。
でも、その涙は、悲しいと言うより温かく感じた。
きっと、君が最後の最後まで僕のことを応援してくれたからだと…思った。
桜咲く、春の始め。
僕は、自分の夢を叶えた。
もう、連絡もつかなくなってしまった君は、今どうしているだろうか?
新しい人を見つけて、新しい恋をしているだろうか?
僕には、そんなこと分からないけれど…。
君を手放して、幸せに出来なかった僕だけど…。
1つだけ願う。
“どうか君が、幸せでありますように…と”
読んで頂き、ありがとうございました!
次回作も、是非ともよろしくお願いいたします。