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実録 壬申の乱

作者: ひろ
掲載日:2026/07/01

 昔の戦には得てして景気の良い数字が並ぶものだ。

 

 やれ源平合戦では数万の兵が戦ったとか。鎌倉攻めの新田義貞軍の兵力は60万人だったとか。

 しかし、人口もずっと少なく、食料生産も乏しい。更に補給線の確保という概念も希薄だった時代に、果たしてそのような大軍の動員が可能だったのだろうか。


 今回、その疑問に対する答えが一つ、明らかになった。

 古代最大の内戦と言われる壬申の乱。大海人皇子軍、大友皇子軍、それぞれ数万の大軍がぶつかったと伝えられる戦。その音声テープが正倉院から発見されたのである。

 では早速そのテープを再生してみよう。




 ......「大友のカシラぁ!

 えらいこっちゃ!大海人の野郎がカチコミかけて来よりましたわ!!」


 「なにぃ!? あいつ…この前会うた時なんか、アホみたいな顔して葛餅食ってたやないか。『歯向かう気なんてありまへ〜ん。』みたいな顔しとったやないかいっ!?」


 「いやそれが、エラいぎょうさん兵隊連れて来よって。殺る気満々ですわ。もう、すぐそこの河原まで来とります。」


 「それにしたって、いくらなんでも早すぎるやろ!? 昨日まで吉野におったやんけ。」


 「いやそれが全員鹿に乗りくさって、エラい速さで駆けて来ましたわ」


 「なんじゃそりゃあっ!?

 …しゃあない。今居るやつに片っ端から声かけてこい。戦争じゃあってな。来ん奴はしばき倒せ。」



〔瀬田橋〕



ブォンブォン

パラリラパラリラ パラリラパラリラ

♪パララ ララララ ラララララ〜

 ※掛け声です


 「おぅ、大友の。遅かったやないか。なんや歩いて来たんかい。」

 ハハハハハハハ


 「の〜んびり飯食っとったら、遅うなってしもたわ。すまんのぅ。眼中に無くて。」


 (カシラ。どうします?…大海人の奴ら、50人はおりまっせ。しかもみんな鹿に乗ってますやん。)


 (ワシらは10人か…。もっと集められんかったんか?)


 (そんな急には無理ですわ。)


 (まともにやったら、勝ち目あらへんやんけ…。)



ブォンブォン

パラリラパラリラ パラリラパラリラ



 「おぅ、大海人の、…タイマンで勝負せんか? 漢やったらタイマンやろ。」


 「なんや大友の。ワシらの兵隊多くてビビったんか?

 まぁえぇで。でもジブン、ワシにタイマンで勝てるんかいな?」

 ワハハハハハハハ


 (カシラ、無理でっせ。カシラ、弱いですやん。)


 (黙ってぇ!!

 …ええか? 俺がタイマンに見せかけて、大海人をおびき寄せるから、お前ら全員で奇襲かけるんや。

 取り囲んでフクロにしたれ!)


 (そんなん上手くいくわけないですやん。10対50でっせ? 戦力二乗の法則言いますやん? 河原じゃ地の利もあらへん。フクロにされんのこっちですわ。

 …カシラ。ここは謝っときましょ?

 負けぇ認めて謝ったら、そんなに悪いようにはされませんわ多分。)


 (ボケこら。ワシのプライドが許さんのじゃ。

 一人5人ずつボコしたら勝てるやんけ。人間根性や。ワシのために死ぬ気でやれや!

 なんなら向こうで野球しとるジャリ捕まえて盾にしたれ。ZETTなんぞ持ちくさって生意気なんじゃ。

 とにかくワシ王子やど。おどれら皆ワシのために死ぬのが誉れじゃ。)



 「……カシラ。ワシらもう付いてけませんわ。」


 「な、なんや急に?」


 「急にやありまへんわ。カシラのそういうところ、もうウンザリですわ。

 ワシだけやない。今日兵隊集まらんかったんも、カシラのやり方に付いてけん奴が多かったからですわ。

 もうええわ。一人でやったら良ろしぃわ。」


 「ち、畜生。お前ら覚えとけよっ!!」



ダダダダダダッ



 「おぅ!大友のが逃げてくでぇ。やっばり腰抜けやのぅ。」

 「逃げ足も鈍臭いのぅ。ワシの鹿、貸したろかぁ?」

 ワハハハハハハ......




 こうして古代最大の内戦と呼ばれる壬申の乱は、大海人皇子軍の圧勝に終わったのであった。

 まさに事実は小説より奇なり、である。




おしまい

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