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幸福義務社会(要観察)

作者:
掲載日:2026/03/13

幸福義務世界、最近各国が発表した。

人類は幸福に生きなければならない、これはポリコレみたいなものなんだろうか?


発表された日から数日、みんなに幸福度を測る装置が与えられた。歳以上はつけなければならない、幸福度が下がると罰則が与えられる。

私は丁寧な暮らしをしているので、不幸福とは無縁だ。


朝は白湯を飲むところから始まる。

歯磨きをして軽くヨガをする、朝食は一汁二菜。

部屋中にある観葉植物に、丁寧に霧吹きで水を与える。

お弁当は必ず手作りをしている、仕事に行く時は無添加の食材を使った、お弁当を持っていく。

みんなにいつも美味しそうなお弁当だねと褒められる。

腕に付けた装置は、いつも五十。

それがいいのか悪いのかも今の所は分からない。


ある日職場では中堅の山田さんが、会議室に連れていかれた。

山田さんはそのまま姿を見せなくなった。

山田さんは最近奥さんと仲が悪く、家庭内別居状態だった。

子供の親権について争いが耐えず、いつも幸福度数は五から七しかなかった。

もしかしたら矯正施設に送られたのかもと、みんなが怯えてそわそわしていた。


しばらくすると今度は課長が連れてかれた、課長は独り身でいつも暗く、ワイシャツにアイロンを当ててくれる人もいなければ、自分ですることもないという人だった。

婚活に精を出していたが、この会社の給料と、生活態度から大きく数字は下がっていた。

幸福度数は山田さんと同じくらいで四。

その日のうちに急いで収監されて行く姿をみんなが見守っていた。


この状況の連続に、みんなが戦々恐々としだした。

私は相変わらず丁寧な暮らしをしているので関係なかった。


ところがある日、隣の部屋から、大きな怒鳴り声が聞こえ出した、反対の部屋に住むカップルだ。

彼女は「助けて!助けて!」

と叫び、

「男はこんな世の中じゃ、誰も助けたりしないんだよ!」

と言っている。

既に私は通報済みだった。

隣の部屋の男女はそれ以来帰って来なかった。


私の幸福度の数値は四十六に変化していた。

画面の隅に、小さく、

「要観察」と表示されている。


どうやら私は、幸福のために余計なことをしたらしい。





ここまで読んでいただきありがとうございます。

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