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天才美少女の自殺を幾度か止めていたら、惚れられ支配されそうになってる件  作者: 時雨白
一章友達作り 3節 狂った文化祭
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第四十一話 参謀

「凜奈、さっき先生から10月にある合唱コンクールについて一週間後にピアニストを決めたいから、ピアノを出来る人とか調べてくれないかと言われたんだ。手伝ってくれないか」

「もちろんだよ!」


 即答する凛奈。二人は幼馴染という関係もあって互いに信頼しており、昔から何か困ったら協力して乗り越えている。


「それじゃあ、いつものように放課後でいいかな?」

「うん!それでいいよ。智子も混ぜていいかな?」

「ああ、全然かまわないよ」


 さらっと私の参加も確定したが、幼い頃から三人で物事に取り組んでいたのでいつもの事だ。


「智子、今回もよろしくね!」

「全く、仕方ないな―」


 そうして私たちは放課後、誰もいない教室に集まる。


「早速で悪いけど、直樹君、今回の件てピアノをできる人を調べるだけじゃないんだよね?」

「ああ、そうだ」


 私の質問に直樹君は苦笑いしながら答える。


「先生は、春野さんの扱いについてもできるならでいいから考えて欲しいと言ってきた」

「春野さんかーー」


 むむむ、と言った感じで難しい表情をする凛奈。


 直樹君達は先生からも頼られるほどの人物だ。小学校、中学校の頃からこう言った協力系の行事の時に度々先生に問題になりそうな子をどうにかしてほしいと言うお願いを度々される。


 いつもは、能力面が劣っているやコミュニケーションに難があるなどの問題から頼まれて、直樹君や凛奈がカバーする形でなんとかしできたが今回は違う。


 春野さんは、万能の天才、みんなからそう言われるほどの才能を持ち合わた人物で、容姿も優れておりクラスの中でも圧倒的な存在感を放っている。


 今は、春野さんが何もせずに大人しくしていることもあり、観賞用と言った感じの扱いをみんなからされている。


 今までは、なんだかんだ立場的には上だったのだが、今回については万能の天才と言われるだけあり、実力面なら春野さんの方が上だし、クラスとしての立ち位置だって何もしてないからあまり高くないが、積極的に動き出したらどうなるかわからない。


 入学してから私たちは何度か春野さんの扱いについてかなり悩んでいた。


「今まではなんだかんだクラスで団結みたいなじゃなかったから、深く関わる必要もなくて、みんな放置みたいな対応ができていたが、合唱コンクールになるとそうもいかない」


 春野さんは良くも悪くも才能がありすぎるので、手を出して抜いていることが簡単にわかってしまう。


 今回の合唱コンクールは全員で頑張ることもあり、1人でも手を抜いているなどがあれば団結という面では悪影響を及ぼす可能性がある。


 だからと言って、本気を出してもらうのも困る。


 春野さんの本気はあまりにも凄すぎるのだ。


 本気を出して歌えば私たちがいる意味があるのと思うほどうまく、心が折れる人が現れて、これはこれで悪影響をもたらす可能性がある。


 何をどうしても団結において悪影響を及ぼす可能性が非常に高い。


 先生もその実力から下手なことを言えばやり返される可能性があるため、同じ立場である私たちにこのようなお願いをしたのだろう。


「やる気を出しても出さなくともどっちも厄介。春野さんには悪いけど才能がありすぎるのも考えものだよね」


 凛奈の言う通りだ。


 彼女は才能があり過ぎる。それを受け止められる人物はこの学校には殆どいない。強いてあげるなら、生徒会長である雄大先輩ぐらいだろう。


 多くの人物は彼女の前に大なり小なり傷付くしかない。


「春野さんのことを悪く言いたくはないけど、正直、俺たちでは手に余るのは明白だ。動いてしまったら止めれないし、動かないは動かないで不満を持ったクラスメイトの対応に追われる。今回の合唱コンクールはかなり辛いものになりそうだ」


 直樹君も難しい表情をする。


 このまま、無策で合唱コンクールを迎えれば必ず何かしら問題が発生するに違いない。


 そうならない為にも何かしら対策するとしても、根本的な問題として、私たちは春野さんに殆どの点で劣っている為、強力な一手を打つことができない。


 それどころか下手に手を打てば足の引っ張ったとしてクラスから非難される可能性がある。


 動かないにしてもリスクがあるし、動くとしても大きなリスクを背負う必要がある。


「うーーん?どうすればいいんだろう?」


 凛奈はお手上げと言った感じで上を眺める。


「案外うまくいく可能性を信じて何もしないと言うのもありかもしれないな」


 直樹君の言うことは一理ある。


 どれだけ考えても手がないのなら、何もしない方がいい。


 それに必ず失敗すると言うわけではないのだ。上手くいくかもしれない可能性も全然ある。


 実力自体はしっかりあるのだ、やり過ぎなければいいだけなので、失敗する確率の方が低い。


「どうする?私たちのブレーン?」


 直樹君と凜奈はこちらを見てくる。


 人をまとめ上げるのが直樹君と凜奈の役割ならば、私の役割は二人を後ろから支える事、私は二人の参謀としてこれまでやってきた。


 それがカリスマ性があり輝く二人についていける唯一の事だから。


「少し待って」


 何かを口にする前にもう一度考え直す。


 直樹君の先程の発言通り、下手に介入するぐらいなら何もしない方が安泰だし、強引に介入するほどの理由もない。


 ただ、問題が起きた時に対応ができるかと言うと、私たちに打つ手がないのは確かだ。


 その可能性を出来るだけ低くすることが私がするべきことだ。


 過度の介入は危険……問題が発生するとしたらクラスメイトと一緒にする事なのも間違いない。


 すると、一番危険性が低いのは()()()()()()()をさせることが最善手。


 そうして私は、過度の介入をする必要もなく自然な形で出来る一つの手段を思いつく。


「春野さんを指揮者かピアニストどちらかに推薦するのはどうかな?」

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― 新着の感想 ―
[一言]  そろそろ椿くんと春野さん欠乏症で、頭がおかしくなりそうです^^;
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