霊峰シュイレーン
宿に帰ってきたノード達は休息をすることにしたのだった。
「ノード達よ、今は昼を過ぎた頃であろう。飯屋に行こうではないか」
「そうですね、丁度いい時間ですし」
「ついでにサイグルを周りながら行こうよ!」
「観光しにサイグルに来た訳じゃないよ~ルーちゃん」
「ちょっとくらい大丈夫だって。それにダンリ先生が『今日一日はお前達で頑張れ』って言ってたしこれも頑張りだって」
「そんな頑張りないと思うけど」
「そうですね。兄さんも何も言わないでしょうね。サイグルを周っていても」
「うむ、では飯屋に行きサイグルを観光と行こうではないか」
「おーーーー」
「大丈夫かな」
カラスが飯屋に行こうと言い出したのをきっかけにサイグルを周ろうと言う事になった。
ノードはカラスがただ飯を食べたいだけの駄々をこねたというのに気づいていたが自身も腹が減っていたため何も言わなかった。
「スンスン、スンスン、この香りは!!
よし、あそこの店にするぞ!」
カラスは昼飯を香りで決めたのだった。
確かにいい香りがするがいったいどれだけ腹が減っていたのか
「そうだな、ここなら全員入れそうだ」
こうして昼飯を取りつつ休息をするのであった。ただ異常な量を頼むやつがいたが
「カレイサちゃん、どこにそんな量の料理を食べれるのでしょう?」
「割りといつもこんな感じだぞ。食べる量と食い意地の張り方だけなら納得の最高峰かもな」
「ですね。同じ従魔としてそこは認めて上げましょう」
「それにしてもノード一つ聞いていい」
「なんだヴァン」
「入学式の時ダンリ先生が言っていた霊峰の管理者ってなに?カレイサと関係があるっぽいけど」
ヴァンは同じく従魔を持つ者としてダンリがノードに言っていた霊峰の管理者とは何なのか気になっていた。
「あ~あれな、霊峰の管理者ってのはまんまの意味だ。バルエド公国にある霊峰のな」
「バルエド公国にある霊峰ってまさかシュイレーンなんて言わないよね流石に」
「そのシュイレーンだ」
「ノードがあの霊峰シュイレーンの管理をしているってこと?」
「いや、もちろん全部じゃないよ長がいるし」
「ねぇ霊峰シュイレーンってなに?」
「そっか従魔を連れいるのが僕とノードだけだから他のみんなは知らないんだね」
「俺はヴァンが知っていることにビックリしている」
「いやいや噂程度しか知らないよ」
ヴァンはノードと同じように従魔を従えているので可能性は考えていたが噂程度とはいえシュイレーンを知っているとは思わなかった。
「うむ、それでは我が説明してやろう。産まれ故郷なのでな」
このカラスは霊峰シュイレーン産まれであった。
「まず霊峰シュイレーンとはダトム山脈にある一部の名である」
「ダトム山脈ですか?あの何もない」
ダトム山脈
バルエド公国内で三番目に大きさを誇る山脈であるがダトム山脈は他の山脈とは違って何かの素材が手に入ったりしない。
「何も無い訳ではないぞ、ただ使えないそれだけのこと、従魔以外にはな」
ダトム山脈の素材は従魔には使うことが出来た。特殊な使い方でだが
「従魔には使うことが出来る?」
「聞いたことがないな」
「従魔を持つ僕でさえ噂程度しか知らないからね。従魔を持たない人たちにとっては何も無いのと同じだよ」
「そうであろうな、そもそもダトム山脈の素材を霊峰シュイレーンにて従魔に使うことができるそんな程度の噂であろう」
「うん、そんな感じの噂。そもそも霊峰シュイレーンの場所もわかんないし、使って何が起きるかもわかんないからね」
従魔を持つ者たちの中でも一部の者が噂している霊峰シュイレーン。あの何も無いダトム山脈の素材を唯一使うことができるそんな噂が流れていた。
「ダトム山脈の素材は外では使うことができん。霊峰シュイレーンとはダトム山脈の素材を使うことができる場所のことを指す」
「使えるなら何が起きるの?」
「従魔にしか使えないと噂されているであろう。それは事実ではある。あれは従魔でないといけなくてな」
「従魔って存在が元々知性を持った魔物であるから使える。というよりは魔物に使える物と言った方がいいか」
「魔物にですか?」
「そうだ、簡単に説明すると従魔に使うと強くなる。魔物に使うと狂暴化して暴れ出す。手がつけられない程にな」
「ただの魔物に使えるとあぶないわね」
「ただの魔物にはどう力を制御したらいいかがわからないんだ。だからこそ暴れている」
「そう、だからこそノードみたいな管理者がおる。悪意を持って魔物を暴れさそうという輩がいないとは言いきれんからな」
「実際昔にいたから管理者っつうのがある。がほとんど暇だけどな」
「みんな噂だと思っているしね」
(まぁそれだけで霊峰って呼ばれているはずがないんだけどな)
カラスとノードが語ったことはすべて事実ではあるが真相のすべてではない。
だがこの場はそれだけでよかった。
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