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①泣きギャル

【上映まで10分】

ひとりで、映画を観ることにした。ひとりは、ほぼ初めてだった。席に行くと、右の席にギャルがいた。オドオドしながら座った。すると、もうひとりのギャルが、左隣におとなしく座った。


【上映から00分】

左のギャルは、スマホを取り出していた。礼儀正しく、スマホの電源をオフにしていた。そして、鞄に仕舞った。ギャルは、楽しみだな楽しみだなと、独り言を言っていた。そんなギャルの姿勢は、ピンと伸びていた。


【上映から10分】

映画が始まって、集中して観ていた。でも、集中力がやや無くなってきていた。右のギャルが、マジかマジかマジかと、何度も呟いていたからだ。集中はできないが、ピュアさに微笑みが出た。


【上映から30分】

まだ序盤であるのに、クスンとするギャル。確かに、悲しい場面ではある。でも、これからさらに、感動に入ってゆく。ラストに、あなたは必ず涙する。そう、コマーシャルで言っていたから。たぶんそうだ。


【上映から60分】

ギャルはだいぶ、落ち着いてきた。底の方にいた主人公が、段々と上がってゆく。あれからも、右のギャルの独り言はあった。でも、興奮は抑えてくれていた。すると突然、左のギャルが、マジでヤバイっすねと話し掛けてきた。


【上映から90分】

こんな地味な僕にも、映画中に平気で喋りかけられる。ギャルってすごい。そう思いながら、ずっと来てしまった。映画に、全然集中できていない。えっ?という驚きが、普通に両隣から聞こえ続けている。うるさくてすみません。そう、二人のギャルに謝られた。


【上映から120分】

ギャルの顔を見ると、メイクがグチャグチャになっていた。だけど、気にせず集中するギャル。二人とも、同じタイミングで泣いていた。僕も、涙を流した。でもそれは、ギャルも含んだ、ギャル込みの涙だった。


【上映終わり10分】

気付いていたが、前の席もギャルだった。ギャルばかりのなか、タイミングが合わず席に残っていた。すると、退室せずに浸っている左のギャルと、二人になった。左のギャルは僕に、いい映画でしたねと言ってきた。僕は、すぐにハイと答えた。

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