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第5話 エピローグ

 妻と死別してから二十年。

 五十代にもなると光陰矢の如しを痛感する。


 風花そっくりの娘。

 成人してからは声まで似てきた。


「もうじきパパの作った鏡が世界を変えるね」


 "死ぬまで情熱を捧げられる仕事を見つけろ"


 この言葉に触発されて僕が見つけた仕事。

 

 それは鏡職人だ。


 自分で立ち上げた工場から見渡せる景色には、過去に失敗した電子砲台がそびえ立っていた。

 あの電子砲台の内部には、僕が製造した高温に耐えられる、特殊な鏡が取り付けられている。

 

 日本だけじゃない。

 国連が設置した全ての電子砲台に、僕の規格で採用された鏡が使われている。


 世界の救済計画は今のところ順調。


 色弱となった自身の目は色こそ捉えることはできないが、白黒の景色でも身の回りの景色ははっきり解る。


 何気なく横目で人影を捉えた。

 長らく家を出て帰って来なかった息子が、ようやく帰って来た気分だ。

 

 もう見てしまえとばかりに、立て鏡に映る自分を見た。

 やっと帰って来たな? 鏡の中の僕。


 僕は鏡の向こうにいる自分へ、軽く挨拶するように右手を上げた。  

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― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)すごい作品でした。このコロナ禍にウクライナ危機にという激動の世界、その世界を鏡に写したかのような……すごいSF傑作だったように感じます。涼真君は逞しくこの世界を生き抜いていきましたが…
[一言]  いきなり不条理な世界が始まり、理不尽な展開が起きている。  それでも主人公や幼馴染は懸命に生きていくのが痛々しいですね。  最後は世界が救われたかわかりませんが、それは読者の想像に任せると…
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