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UMA 其の1


「んむ、んむ、うーま!」

「ふふふ、よかった」


いつも通りにヒカル君が口いっぱいにお茶請けを頬張り、感嘆の声を上げる。


「もうちょっと味わって食べたりとか…ないのかね?」

「むぐ、味わってるし!」

「女性はもっと慎みというものをだね…なぁ景君、そう思うだろう?」

「俺は美味しそうにいっぱい食べる人好きですけどねぇ」

「うひゃあ!」

「あらあら」


私もズズとお茶を啜る。


「そ、そういやニッシー」

「ん?」

「あーしあんまり都市伝説とか知らないんだけど、何か教えてよ」

「何かって…その本棚に色々とファイリングしてるから好きな物を読むといい」

「んー…あんまり怖くないのがいいんだけど」


そう言いながら、本棚の前でムムムと睨めっこをしている。


「ならUMAとかUFOあたりがいいんじゃないかね?」

「UFO!宇宙人!さすがにあーしでも知ってるよ!あれでしょ、グレイでしょ!」

「まぁ…それだけでは無いけどね」

「ユーマ?っていうのは?」

「Unidentified Mysterious Animal、つまり未確認動物の略だね、実際には発見に至っていない生物を指す造語だね」

「アンアイ…?」

「アンアイデンティファイドミステリアスアニマル!」

「なにさー!怒りっぽいなー!」

「はは、まぁまぁ部長、せっかくだから聞かせてくださいよ、部長の好きなUMAとかっているんですか?」




〜UMA〜




景君が助け舟を出したので、私もそれに乗って話す事にする。


「そうだね…私個人としてはニンゲンが好きだね、巨大生物はやはりロマンがあるよ」

「何言ってんの?人間は別に大きくないし普通にいっぱいいるし」

「いるんだよ!そういうのが!」

「まぁまぁ部長」

「…ヒトガタとも呼ばれているUMAで、南極や北極の調査隊が目撃したと言われている巨大生物であるね」

「雪男みたいな?」

「いやいや、もっと巨大だよ、クジラや潜水艦かと思ったら、真っ白で巨大な人間のような形状の生物だった…という感じだ」

「でかすぎでしょ…」

「だからロマンがあるのだよ、有名なところではツチノコやネッシーなんかがあるね」

「そのへんは俺でも知ってますね、チュパカブラとかもそうですよね」

「お!そうだね、チュパカブラは南米で目撃されたとなっているUMAだね、奇妙な生物によって家畜のヤギの血が吸われたという報告が相次いだが…正体は皮膚病で毛の抜けたコヨーテじゃないかという説もある」

「あまり有名じゃないUMAもいるんですか?」

「そりゃいるさ、モスマン、フライング・ヒューマノイド、ヒバゴン、ケサランパサラン、アルマス、モンゴリアンデスワーム等々、列挙すればきりが無い程だよ」

「そんなに多いんですか?」

「そもそも怪獣や化け物のような存在がUMAだと思われがちだが、確認されていない生物は全てUMAだからね、ただのウサギにツノがついただけのジャッカロープというUMAがいるが、これは偶然目撃された奇形のウサギじゃないかと言われているね」

「あー、なるほど」

「実際にウイルス感染で顎にツノのような突起物が出来てしまったウサギも発見されているし、頭にそれがあっても不思議はないだろうね」

「確かにそういうのも含めると数は増えそうですね」

「とは言え、やはりロマンを感じるのはそういった恐竜や怪物じみた生物になってしまうのだろうね」

「そうですね、ネッシーなんかは存在が否定された今でも目撃談が後を絶たないそうですから」


千影君が皆にお茶のおかわりを置きながらそう付け加えてくれる。


「千影さんも詳しいんだ!?」

「ふふ、私も都市伝説けんきゅうかいの一員ですからね」

「日本にはツチノコ以外に何かいますっけ?」

「いっぱいいるよ、河童もそうだし」

「河童は妖怪でしょ!?」

「そこが面白いところだね、妖怪としても語られるし、実在しているという説もある」

「河童のミイラを祀っている所もありますからね」

「へぇーー!」


目を輝かせながら、ファイルを見つめるヒカル君を見ていると、なんだかんだでやはり嬉しくなる。


「あとはアッシー、イッシー、ヌッシー、クッシーがいるね」

「何それ、4兄弟?」

「ネス湖のネッシーみたいな物だよ、芦ノ湖のアッシー、池田湖のイッシー、琵琶湖のヌッシー、屈斜路湖のクッシー」

「あはは、どんだけいるんだよって!」

「それだけ皆がUMAにロマンを感じていると言う事さ」

「なるほどなぁ、もし発見したら有名人になれるかな?」

「発見だけでは信じてもらえないだろうね、現在の画像編集技術は凄いから、嘘だ何だと言われて終わりだろう」

「捕獲する必要はあるでしょうね」

「そう言えば昔ツチノコって捕まえたら懸賞金出ませんでしたっけ?」

「お、よく知ってるね景君、現在でもその懸賞金は生きているよ、新潟県糸魚川市の『つちのこ探検隊』では捕獲した場合1億円の懸賞金が支払われるみたいだね」

「1億円!!??」

「岐阜県加茂郡東白川村で開催される『つちのこフェスタ』だと130万円らしいから、捕獲できたら新潟まで行くほうがよさそうだね」

「1億円…」

「他にもネッシーには437万、河童には1000万円の懸賞金がかかっているらしいね」

「部長…」

「ん?」


一気に真剣な顔になった景君がこちらを真っ直ぐに見据える。


「少し前までなら…それは夢物語だったでしょう…」

「う、うむ」

「ですが今ならどうでしょう?」

「と言うと…?」

「怪異がこれだけ増加している今、実際にくねくねの子供さえも俺達の仲間になるような今なら!」

「………UMAも実在…いや実体化している可能性が…」

「YES」

「ツチノコや河童がこの現実に…」

「YES」

「1億か…」

「1億1567万です」

「嘘でしょ、ネッシーも河童も捕まえる気じゃん…」

「ツチノコも2匹捕まえている計算ですね…」


ヒカル君が呆れ顔で突っ込み、放っておきましょうと言わんばかりに千影君が首を振る。


「行きましょう!」

「やらいでか!景君!」


ムッハッハッと高笑いしながら、私と景君は硬い握手を交わす。

女性陣との温度差を感じながらも、懸賞金の使い道を考えるのだった。


ツチノコ見つけたいですね(しみじみ)

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