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てけてけ 其の1


「へ?」


なんともまの抜けた声が部室に響く。


「だから出たらしいですよ」

「最近になって近所の小、中学生からの目撃例が多数挙がっているそうです」

「いやいや、何がだって?もう一度…」

「だから…」


「「てけてけです」」


最後は俺と千影さんの声がハモる形になった。


「そんな…」

「まぁ確かに認めたく無い気持ちは分かりますよ、先日あんな事を言った後ですから」

「うぐっ!」

「『今、てけてけの話が出ても一笑に付されて終わりだろうね』でしたっけ?」

「そ、その似てないモノマネはよしてくれないかね…」

「『空が…泣いているな…』」

「景君!?」

「景君…ふふ…そのへんで…ふふふ」


拙いモノマネではあったが、千影さんには喜んで貰えたようなので良しとしよう。


「ゴホン!」


部長が咳払いを1つして切り替える。


「で?その情報はどこから?」

「ヒカルちゃん…あ、いえ、先日の解答さんの件で情報を頂いた彼女の弟さんだそうです」

「あー、あのやかまし女子高生かね!」

「はい、あれからも女性同士という事もあって何か異常が無いか等の話もしていたので」


なるほど、アフターケアも気にしているあたりがさすがの千影さんだ。


「弟さんか…」

「はい、現在小学5年生だそうです、少し調べてみた所、弟さんだけでなくかなりの小中学生が『てけてけ』を目撃したとの情報がありました」

「小中学生だけですか?」

「はい、ただの噂の可能性も高いでしょうが…」

「ふむ…ところで…」

「なんでしょうか?」

「その情報の中に、行方不明、もしくは死亡したという被害者の情報等はあったかね?」

「いえ、そういったものはありませんでした、目撃情報だけですね」

「ふむ…この時代に皆が皆てけてけの対処法を知っているとは思えないのだが…」

「そうですね…本物ならてけてけに連れて行かれてしまいますもんね…」

「ふむ…」

「そういえば部長、都市伝説といえば小学生とかを中心に広がりますけど…あれって何故ですか?」

「ん?そりゃあ信じやすいからだよ」

「それだけですか?」


ポリポリと頭を掻きながら部長は寂しそうに付け加えてくれた。


「大人になるにつれて人は色々な事を知り、色々な可能性に見切りをつけて行くからね…なんとも寂しい話ではあるが…」

「…」

「サンタクロースと一緒だね、子供の頃は皆が信じているが、大人になると、あれはいなかったと理解するようになる…そして理解してしまった人間はもう一度その存在を信じる事はない」

「あー…」

「子供はまだまだ社会を、そして現実を知らない…故にどんな話でも信じられる器を持っているし、逆に言えば騙されやすく……危ういわけだ」

「なるほど」

「…とはいえ、今は大人でも陰謀論やUFOを信じる人々が多くいる!エンターテイメントとしてでもそういった都市伝説が盛り上がるのは私としてはありがたいね………ただし盲信はいけないという事は絶対条件になるが」

「あー…過剰な人はいますもんね…」

「おっと話が逸れてしまったね、戻そうか」

「あ、すいません」


先程のてけてけの話題に切り替える。


「つまり大人に目撃者がいないという事は3つの可能性が考えられる」

「3つ…ですか」

「1つ、そいつ…まぁ今はてけてけとしよう、てけてけはある一定以上の年齢の人間の前には現れない」

「はい」

「2つ、てけてけはあくまでも噂話であり、実際には存在していない」

「はい」

「3つ、大人には見えないがたしかにそこに居る」

「…………」


少々ゾッとしてしまう。


「さて、ここで話をしていても解決にはなりそうにないしね、聞き込みといこうか」

「そうですね、仮にただの噂話だったとしても怖がっている子供達を安心させてあげられたら…」

「いきましょう!」


子供の頃、姉の事を誰にも信じて貰えなかった自分を思い出し、身を引き締める。




〜てけてけ〜




電車で数駅、結構急な坂を登る。

数駅とはいえ、この辺りはまだ自然がかなり残っており、目的の小学校の裏手には子供でも簡単に登れる程度の山がある。

漫画でよくある裏山というやつだ。

更に公園もまだまだ残っている為、子供たちも遊ぶ場所には困らない。

昨今の子供は家の中でゲームばかり…なんて言われているが、いやいやなんの、そんな事はない。

楽しそうに公園で走り回る子供たちを見ているだけで、自然とこちらの頬も緩む。


「こういった子供達の遊ぶ場所が減ってしまうのは悲しい事であるな」

「そうですね…ただでさえ公園は減ってるらしいですから」

「ここ数年で…公園もですが、公園の遊具が危険だと言う理由で大幅に撤去されていますね」

「そうなんですか」

「新しく設置された遊具もあるようですが、撤去のほうが倍以上多いそうです…勿論安全性は大切なんですけれど」


そう言って千影さんはやはり寂しそうに微笑む。


「でも…てけてけが目撃されたとは思えない平和さですね」

「うむ、まだまだ噂はそこまで広がっていないのかもしれないね」


そんな話をしながら更に進むと、目的の小学校が見えてくる。

情報をくれた解答さん事件の女子高生、名前はヒカルちゃんと言うらしい、その子と弟さんが校門で待っていてくれるそうだが…。


「あ!千影さーーん!こっちー!」


遠くからでも分かる明るい声が聞こえてくる。


「おひさ!ニッシーもKも!」

「あ、俺Kって呼ばれてるんだ」

「いいっしょ!景だからKね!ほら!アンタも挨拶して!こいつ弟のタク!」

「こ、こんにちは」

「よろしくお願いしますぞ、わざわざすまないね、私は西 東吾」

「よろしくお願いします…」

「挨拶はいいからいいから!こっちがKでこっちが千影さんね!はい!まずはコンビニでもいこっか」


かなり強引な形でコンビニに引っ張られ…

当然のように部長の奢りでお菓子と飲み物を買う彼女を見て、逞しいなと感心してしまう。


「会うのは弟君だけでよかったのに…」


部長の呟きが痛々しかった。


テンポが早かったり遅かったりしないかいつも不安

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