神的懐柔③
「なぁビラ、女性の召使いがほしい」
「はぁ、女性ですか……しかし、どぶぇぶぱぁー!」
ビラの腹にコークスクリューが炸裂する。
「『しかし』じゃない、ほしいったらほしいんだ!」
この国には女性が圧倒的に不足している。その理由は女性は十五才になるとガラモンマスターを目指して旅をするらしい。……何それ俺もやりたい。
「男は大体十五才で国内の何かの職業に就きますね」
「男はガラモンマスターは選ばないのか?」
「ん~……なってもいいんでしょうけど、基本的にお金を稼ぐのが男の仕事ですからね、ガラモントレーナーはチャンピオンにならないとお金は入ってきませんからね~」
「ふーん、で、女性はみんながガラモンマスターになれるわけじゃないんだろ? 旅はいつ終わるんだ?」
「諦めがついたら実家に帰るか、結婚して家庭に入るって感じが多いですが、まぁ二十歳前後ぐらいまで頑張りますよ」
「てことは……いるじゃん、女性。何でこんなに見掛けないんだ?」
「……? びゅばらべっ!!」
黙ったビラをとりあえず殴り、考える。女性がいないと王都も発展が難しい。レストランのウェイトレスだって男性より女性が多い理由は接客の面で勝っているところが多いからだ。
こういう男性が多い国の男は若い女性と相対するだけで心が癒されるというものだ。てか、俺も喋りたい。
「募集をかけるぞ、ビラ」
「は?」
「神の召使いになりませんか? 月給二十万ゴールドから実力でランクアップも目指せます! ってビラをガァーガァータクシーで上から大量に振り撒け」
「……ビラがビラを……びゅりむぼぉん!!」
「下らないこと言ってないで仕事をしろ」
右足にローキックを叩き込まれたビラは、これ以上やられたくないと言わんばかりに「はいぃぃぃぃっ!」と気合いを入れて走り去っていった。
さて、結構集まってくれればいいなぁ。
――数日後。
「神ぃぃぃぃ!! ずぶぁっぶばぁ!」
すごい勢いでこちらに向かってきたビラの足を引っ掛け転ばせる。
「どした、ビラ。きれいな顔が台無しだ。死ぬか?」
「ひぃぃぃぃ!! あ、朗報ですよ!? 聞いてください!」
「申せ」
玉座にふんぞり返ってビラを促す。
「召使いの募集に人が来てくれましたよ! しかも沢山!!」
「何っ!? マジか! よし早速面接だ! お前も同行しろ!」
「……採用決まったらやっと神の暴力から解放される……全員、採用するんだ……これは神からのミッションだ……」
何やらブツブツ言っているが、お前はずっと傍においといてやる。面白いから……。
こうして、ビラの窮地脱出ミッションが始まったのだった。
◇
「宝石の町トレカから来ました。ピピンです。よろしくお願いします」
「よよよ、よよよろしくです」
面接初めて。俺が緊張する……。因みに答えたのはビラだ。めちゃめちゃ緊張している。
ピピンさんか、褐色の肌で顔はアイドルみたいに可愛い。よし、採用。
「採用です。いつから来れますか?」
「はい? じゃあ明後日からで……」
「じゃあ明後日の十時出勤でお願いしますすすす。他に聞きたいこととかある?」
勤務の相談と、色々な手続きを済ませてピピンは帰っていった。大体三十人くらい面接をして、俺の好みのピピンを含み五人を採用とした。
顔で選びました。明日からはビラについて研修が始まるところである。王都の建設も順調だし、あとは女性の労働力が上がっていけば自然と経済も回り始めるはずだ。
まだまだやりたいことをやれる環境じゃないことを痛感したが、一年、いや二年後には俺の存在は関係なくなってくるはずだ。それまでの辛抱。楽しくなってきたぜ。
ビラの性格変わってない?
私にも謎w
あ、あれだ、分からないことには無言になってしまうタイプだ!
きっとそうだ!!w