親友達と魔女契約
ちょっと短いです。説明じみてます。アルバートえらい目にあいます。
銀の魔女ことリーヘンベルク夫人は、この娼館の主から紹介されて依頼を受けた。
この娼館の主人は傾城級の美女でレミリアと名乗った。レミリアも依頼を受けただけで、依頼主は別にいるらしい。
依頼主は複数の人間。窓口は、ヴォルガー ミッドランド
依頼内容は緊急性を有するものだった。毒に侵された友の命を救うこと。自分たちが迎えに行くまで心身共に健やかに保つこと。
レミリア達が依頼を受けるに価すると決断をした人物はその中にはいないらしい。
そのものの真の依頼内容は、好ましい素質を十全に開花させること。
この2つの依頼内容に多少の齟齬があったとしても、今回、断ることができない。
「お受けいたしましょう。解毒に関しては、このままレミリア様にお任せします。その他は、お任せください」
「ありがとうございます。私が集めました資料をお渡ししますので、4日後にこちらに来てくださいね。ひよこは初めて見たものを親鳥だと思うのでしょう?」
「そう思ってくださるのでしたらいいのですが」
アルバートが意識を取り戻した時、はじめて水を与えたのは、リーヘンベルク夫人であった。
好ましい資質を十全に開花させること
はじめ、この意味がわからなかった。この方の好ましい資質を?
まだ毒の副作用から脱し切れていない青年を見つめる。
この青年に関する資料は頭に叩き込んだ。
アルバート ディス レグシアトル 王弟殿下
病弱ではないのだが、引きこもり気味ので体力がないため、人前にはほぼ出てこない。4番目に生まれ、身綺麗にせず、存在感のない忘れ去られかけている王家の血筋。母親も幼くして病死。後ろ盾もなく、おとなしく、存在感を消しても、時々暗殺や毒殺未遂が囁かれる。その時に、まだいらっしゃったのか?と、少しだけ話題になるくらいの方らしい。ただ、さりげなく王位継承権を持ち続けている。
今の国王は猜疑心の塊だと言われている。王位継承権を持つ人間が次々と殺されている。ご自身の子どもを含め、もう5人しかいない。
統治は可もなく不可もなく、のように見える。庶民からはそう見えるだけで、貴族たちは自分たちが生き残るだけで精一杯らしい。
この部屋には二人しか居ないので不躾に実物を見つめる。
死にかけたせいか、希薄な生命力にそぐわない生きようとする意思が感じられる。
レミリアとの会話で、複数の人間がこの方を助けようとされていると言っていた事を思い出した。
引きこもりが複数のお友達?
会話ができる状態になったら、この方と少しだけ深く話しをする必要がある。
短期間でできる限り、恋愛か母親か?幼くして母親と死別。その詳細が欲しい。どちらにしてもだ。
「母親…三歳児扱い溺愛系かなぁ。」
旦那様との仲は悪くないのだが、たまには恋愛してみたいなあと思いつつ、レミリアのご要望も入れながらアルバート対応策を検討した。
死ぬほどの苦しさから目を覚ませば、慈愛に満ちた女性がアルバートの額に手を伸ばす。目覚めても苦しさから逃れられる訳ではなく、喉が乾きすぎてヒリヒリする。くちびるを湿らせるように少しづつ水分を与えてくれた。何度も繰り返しやがてはっきり意識を取り戻した時、抱きしめられ、頭を何度も撫でられた。
「えらいね。よくがんばったね。えらい。生きて戻ってきたね。すごくがんばった」
何度も繰り返しそう言ってくれた。安心して泣いた。泣きじゃくったって意識が飛んだ後もしばらく抱きしめられていた。
「本当にがんばったわね。こんなに酷い状態ってきいてないわよ、レミリア様」