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その5

日曜日までの俺は学校でどんな顔をしていただろうか?きっと近所のおばさんがペットの猫に「ちゃん」付けで呼びかける時のような、そんなにやけた表情だったに違いない。

今回のダブルデート(?)の計画が持ち上がって以降、俺は佐野さんと少しずつ話をするようになっていた。ほとんどがたわいの無い会話だったが、少しずつ彼女について知る事がテレビゲームを抜いて日々の楽しみランキング第1位に輝きつつあった。


「やっぱ早く来すぎたか。」

待ち合わせの30分前に駅の改札口に着いた俺はもう一度辺りを見渡すが、やはり見知った顔はない。仕方なくカバンから小型のヘッドホンを取り出し、聴き慣れた音楽を聴こうとする。しかし、音は両耳から漏れだしていた。五感の全てが両眼に集中している今、音楽はおろか騒がしいはずの周囲の雑踏も耳に入らない。俺はみんなを…いや、彼女が来るのを待っていた。顕微鏡をのぞき込む科学者のような目つきで人混みの中から必死になって彼女の姿を探した。

「!!」

「私が1番だと思ってたけど佐藤君の方が早かったんだね。」

「…」

何も言葉が出なかったのは彼女が俺の後ろからひょっこり現れたからである。不意を突かれた俺はいろいろと考えた台詞を述べることもなく、

「まだ時間までは少しあるな。」

などと解りきった現状分析をするのだった。

「雪音と橘君もすぐくるよ。ところで佐藤君は何買うか決まってるの?私は秋モノの服が欲し いな。あんまり高いのは買えないけどね。」

「俺は…」

考えながら改めて視界に彼女の姿を写す。白地で胸元にフリルの付いたノースリーブのシャツに、薄手の紫色のカーディガン、さらに目線を落とすとジーンズによく合った黒っぽいヒールを履いていた。決して派手ではないが全体のバランスが彼女の魅力を惹き立てている、そんな印象だった。

「そんな真剣に考えなくてもいいよ。まだ決まってないなら向こうでみんなと一緒にさがそ  う。」

「欲しいものなら決まってるんだ。それは信長、君だ!!」なんて言えるはずもなく愛想笑いでその場を取り繕った。

ちょうどその時聴き慣れた声が左耳から右耳へ通り抜ける。

「ミッチーお待たせ。ってかお前ら早過ぎじゃねえ?まだ待ち合わせ15分前だぜ。」

「早く目的地に着けるからいいじゃん。ね?佐野ちゃん。」

気が付くと俺たちの横には亮介と津田が並んで立っていた。2人が4人になった瞬間、今までのドキドキした感情がスーっと何処が異次元へ消え失せていくように感じられた。





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