第8話 ステータスを確認しました。
今年最後の投稿です。
皆さん良いお年を。
気が付くと儀式の間に戻っていた。
「お疲れさまです、これでテンリ様の祝福の義も終了になります」
神界ではそこそこの時間話をしていた、だけど時間が止まっているようなものだとアトレイアが言っていたのでこちらでは一瞬の出来事だったのだろう。
魔方陣から離れリアナの隣に戻る。
「お、お疲れ様、です」
リアナは頬を少し赤くしながらそう言うとすぐ下を向いてしまった。
神界から戻ってきたと思うと同時にアトレイアとのキスを思いだし顔が暑くなる、嬉しいかと聞かれれば素直に嬉しい、何せ超絶美少女の女神様とのキスなのだ、ただリアナの事を思うと罪悪感があり物凄くうしろめたさがある。
チラッとリアナを見ると俯いて身体が少し震えている。
「リアナ?」
「は、はい!」
声をかけるとリアナの身体がビクッとし顔を上げ俺と目が合う、そのまま数秒目が合うとリアナは一気に顔を真っ赤にさせ勢いよくバッと顔をそらす。
俺はリアナに何かしただろうか?
「本日はお疲れ様でした」
聖女であるアルナに声をかけられ姿勢をただす。
「今日はありがとうございました」
「聖女様のお陰で無事祝福の義を終えることが出来ました」
俺とリアナはお礼を伝え頭を下げる。
「これも私の勤めですから、ただせっかくの機会なのでテンリ様とリアナ様のお二人とお話をしてみたかったのですが、今から神託の義を受けなければならずこの場を失礼させていただきます」
アルナは一度頭を下げた後リアナを見る、リアナも顔を上げお互いの顔を見合い頷く。なんだろう、とても意思疎通ができている感じだ。君達は今日初めて会ったんじゃないのか?
「では失礼します」
アルナは満足そうにその場を出ていった。
アトレイアは俺とリアナの為に神託を出すと言っていた、なので聖女であるアルナが今から行う神託の義で俺とリアナの婚姻は確実なものになるだろう、かなりズルい手段である。ただこのままではアトレイアに負けた気分になりそうなので親達には自分の口できちんと意思を示そう。それと神界での出来事もリアナに話しアトレイアとの事を謝ろうと思う、信憑性がないので信じてくれるかわからないし信じたとして許してくれるかわからないけど。
「では私達も移動しましょう、待合室にお二人のご両親方がお待ちになられています」
ステーラの後をついて俺とリアナも儀式の間を出ていく。
歩いているとリアナがそっと俺の手を握る。
「リアナ?」
「い、嫌ですか?」
「全然嫌じゃないです」
俺が手を握り返すとリアナが恥ずかしそうにそして嬉しそうに笑った。
神界の話でリアナに嫌われないか不安だ。
「こちらの待合室です」
ステーラは扉をコンコンと叩き扉が開いた。
「はいはい、どちら様っすか?」
扉を開けたのはなぜかミルだった、どうしてここにいるんだ?
「これはこれは、ミル様、お久しぶりでございます」
「きょ、教皇様!」
「ところでなぜここにミル様が?」
「あの、陛下が」
ミルがチラッと部屋の中に視線を向ける、視線の先にはカレン、カロン、アガレス、エリンの4人に加えなぜかロレンスがいる。
「とりあえず部屋の中にどうぞっす」
ミルに促され部屋の中に入る。
「祝福の義は終わったみたいね」
「はい、無事祝福の義は終わりました」
「それにしても教皇自ら案内役を勝手出るとは思わなかったわ」
「祝福の義は聖女であるアルナさんが執り行いました」
「普通じゃあり得ない程の厚待遇ね」
「この度の祝福の義はそれだけ特別だったのですよ」
カレンの言葉にステーラが答える。
「ところでアルナは一緒ではないのか?」
ロレンスが若干そわそわしながらステーラに話しかける。
「陛下!陛下!挨拶がまだっす!」
「あ、教皇様御無沙汰しております」
「ふふっ、ロレンス様お久しぶりですね」
「ところでアルナは?」
「彼女は今神託の義を受けております」
「そ、そうですか」
この場にアルナがいないのを聞き落ち込むロレンス、露骨にがっかりしている姿に皆苦笑いだ。
俺はクイクイとミルの服を引っ張る。
「テンリ君どうしたっすか?」
「なんで陛下とミルさんがここに?」
「今日はテンリ君とリアナ様が祝福の義を受けるからそのお祝いの言葉を言いに来たんす」
「わざわざここまで?」
「まぁお祝いの言葉なんて建前なんすけどね、陛下はここにこれば娘であるアルナ様に会えると思ったみたいっす」
「なかなか会えないものなんですか、親子なのに?」
「アルナ様は聖女様でアトレイア教団に所属しているっすからね、アトレイア教団は中立を保たなければならない立場っす、親子だからと何処か一つの国に深く関わる訳にはいかないんすよ」
なるほど、俺とリアナの祝いの言葉を理由にロレンスはなかなか会えない自分の娘であるアルナに会いに来た訳か、凄いこじつけである。
「王様としての仕事はいいんですか?」
「陛下もその周りも優秀っすから、何だかんだと上手く回るんすよ」
「そうですか」
王様自由過ぎるだろう。
「テンリ、リアナ、ステータスは確認したのか?」
カロンに尋ねられまだステータスを確認してないのを思い出す。
「まだ確認していません」
「私は確認しました」
どうやらリアナは既に確認していたようだ。
「今からステータスを確認しますね、ステータス」
ステータスと唱えると目の前にいろいろと表示された。
名前:テンリ=エレノール
年齢:5歳
性別:男
種族:人族?
称号:貴族の次男 転生者 神の使徒
HP:1000/1000
MP:1500/1500
攻撃:130
防御:120
魔力:210
敏捷:140
幸運:60
技能:言語理解 アイテムボックス 神眼 魔道の叡智 武の境地 状態異常無効
PS:テンリの本来の能力を解放しといたよ。
このステータスは周りと比べてどうなんだろうか?
名前、年齢、性別は問題ない。種族の人族になぜ?がついているんだ?俺は人族じゃないのか?
称号の貴族の次男はわかる、転生者は間違ってないが見せちゃダメなんじゃ、神の使徒は絶対見せちゃダメだよね。
ステータスの数値は強いのか弱いのわからない、平均はどうなっているのだろうか?
技能は解説がされてるな、言語理解はどんな世界の言葉でも翻訳される、アイテムボックスは物の出し入れができ容量は無制限、アイテムボックス内は時間が止まるみたいだ、生物は入れれない。神眼は見たものの情報がわかるのか、相手のステータスを見る事もできるし弱点なんかもわかるみたいだ、ただ情報量が多くて常に神眼を使っていると情報処理ができなくなって普通の人は廃人になるかも知れないと、かなり危ないな。魔道の叡智は見聞きした魔法に関して理解できるのか、それにほぼ全ての魔法を練習すれば習得できる、ほぼって事は習得出来ない魔法もあるのか。武の境地も見聞きした武に関する事が理解でき、練習次第でほぼ全ての武に関する事を身に付ける事ができる、これもほぼって事は習得できない事もあるのだろう。状態異常無効は毒や麻痺等身体に異常がある事を無効かしてくれる、ただ状態異常に分類されないものもあるので気をつけなければならない。
PSはアトレイアからの言葉か。
よしとりあえず確認は出来たな。
「ステータスの確認終わりました」
「そうか、では二人ともステータスを見せてくれ」
「え!?」
「はい」
なんで?ステータスを見せなきゃダメなの?そもそも俺のステータス見せても大丈夫なの?
「テンリ様、ステータスは任意で見せたくない箇所を指定できます」
俺が困っているとリアナが耳打ちしてくれた。試しに見せたくない部分に集中すれば色が変わった、なるほど。
「リアナ、ありがとう」
「テンリ様のお役にたてて良かったです」
リアナに感謝だ。
「2人で何をこそこそしているんだ?」
カロンは首を傾げている。
「いえ、なんでもありません、これが俺のステータスです、オープン」
称号の転生者と神の使徒、PSを見えないようにしておいた。後は見られても大丈夫だろう、たぶん。
「これは!テンリ、このステータスの数値は異常だぞ」
「い、異常ですか?」
大丈夫じゃなかった、ただこの数値がどう異常なのかわからない。
周りを見るとカレン、リアナ、ステーラは全く驚いていない、それ以外は驚いた顔をしている、これはどう反応すればいいのだろう?
「説明するからよく聞いておけ」
そこからカロンの説明が始まった。まずはステータスを授かった直後の平均的な人族の数値だ、HP:100、MP:10、攻撃:10、防御:10、魔力:5、敏捷:10、幸運:10だそうだ、次に成人したばかりの人族の平均的な数値だ、ちなみに成人は15歳である。HP:300、MP:10、攻撃:50、防御:50、魔力:5、敏捷:50、幸運:10だそうだ、これは一般の人族の全体的な平均なのでこの数値よりも高い者もいれば低い者もいるのだがこれと見比べれば俺の数値がすでに一般的な成人より高い事がわかる。
「これは教会から公式に発表されている情報だ」
俺がステーラを見ると頷いた。
「そして何より技能だ」
またもカロンの説明が始まる。技能の言語理解とアイテムボックスは過去におこなわれた勇者召喚で召喚された勇者に与えられていた技能だとの事、勇者以外に持っている者はいるにはいるがかなり少数だそうだ。それに魔道の叡智や武の境地など見たことも聞いたこともないそうだ。
状態異常は稀にいるそうだがやはりかなり珍しいそうだ、以上を踏まえた上で俺は異常だとの事。
「このステータスはあまり公表できるものではないな、ここで確認しておいて良かった」
カロンは盛大なため息を吐く。
「えっと、リアナのステータスは?」
隣にいるリアナを見る。
「私はごく普通のステータスなのですが、オープン」
そう話しステータスを見せてくれた。
名前:リアナ=ジュマ〈アトレイア〉
年齢:5歳
性別:女
種族:獣人族 神族
称号:第三王女 神の一欠片
HP:1000/1000
MP:100/100
攻撃:300
防御:200
魔力:10
敏捷:200
幸運:9999
技能:言語理解 アイテムボックス 神眼 魔道の叡智 武の境地 状態異常無効 リンク
俺はリアナのステータスを見て言葉が出てこない。
「テンリに比べて普通だな」
アガレスは少し残念そうに呟いた。
「え!?」
どう見ても俺より異常だよ、突っ込みどころがいろいろあるでしょ!
俺がリアナを見ると困った顔をしながら人差し指を口元に立てシィーとやっている。
「確かにテンリと比べると少し見劣りするが十分過ぎるだろ」
カロンが呆れながらアガレスに話しかける。
「二人とも神童と呼ばれるには十分なステータスだな」
ロレンスも興味深そうに目を細める。
どうもリアナのステータスは俺が見ているステータスと周りが見ているステータスでは違いがあるようだ、どっちが正しいかと言えばリアナの反応を見る限り俺の見ているステータスのが正しいのだろう。
「テンリ、リアナ、二人共ステータスを気軽に見せるんじゃないぞ、ここにいる皆もこの事は内密にして頂きたい」
カロンのその言葉に皆が頷く。
「さて祝福の義も無事終わった事だしそろそろホテルに戻ろうか、後でテンリとリアナに大事な話しをしなければいけないことがあるからな」
この後にまだ何かあるのか?しかし俺も皆に話したいことがあるのでちょうどいい。
リアナのステータスの事もちゃんと本人にどういう事なのか聞きたい。
ホテルに向かうために皆が部屋を出る。
「ステーラ様、アルナに神託の義が終わった後で我々が泊まっているホテルに来るように伝えて欲しいのですが」
「わかりました」
ロレンスはステーラにそう話し部屋を出ていく。
さすがにあなたは泊まってはいないでしょとは言えなかった。
リアナと目が合うとちょっと困った顔をしながら笑う。
俺達はステーラに挨拶をして宿泊先のホテルに戻って行った。
修正しました。