第2話 女神様と出会いました。
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目が覚めると白い空間に漂っていた。
「死んじゃったね」
後ろから声をかけられ振り向くとそこには同い年くらいのとても可愛らしい少女がうかんでいた。
「どうしたの?あんまり急な出来事で頭が追い付いてないかな?」
長く綺麗な金色の髪、綺麗な金の瞳、真っ白な肌で顔はどこか幼さを感じるが全てを魅了するようなそんな印象の少女だ、なぜだかとても懐かしいものを感じる。
「なんとなくだけど覚えてるよ、やっぱり俺は死んだのかな?」
少女は困った顔をしながら頷く。
「そうだね、助けようとした子供は悪魔にとり憑かれていてね、君は悪魔に身体の自由を奪われて車に追突されて死んじゃったんだ」
「そっか」
自分の死に驚きはなかった、生きている以上いつ何が起こるかわからないし組織に所属していればこんなことが起こっても不思議ではないからだ、こんなに早く死が訪れるとは正直思わなかったが。
「因みに君が庇った女の子は君のお陰でかすり傷ですんだよ、女の子にとり憑いていた悪魔も君のお姉さんやお友達が始末していたから」
「そうか、あの女の子は無事なんだ、良かった」
「まったく、自分の事より他人の心配かい?相変わらず御人好しだね」
少女は肩をすくめる。
「相変わらずって、君とは初対面だよね?」
「君の今世、死んじゃたから前世か、では確かに会った事はないね」
「その言い方だと前世より前では会った事があるの?」
「思い出してみて」
思い出せと言われて思い出せる訳もなく俺は苦笑いをする。
「思い出すのはおいおい頑張るよ、それで君は、神様で良いのかな?」
「フッフッフッ、大正解、私はアトレイア、生と死を司る女神だよ」
少女、アトレイアはそう答えた。
「聞いたことない名前だ」
「君がいた世界とは違う世界の神様だからね」
「そうなんだ、それで俺はどうなるの?」
「本来なら元の世界で転生するんだけど君には私の作った世界に来てもらうよ、そこで新しい生を受けてもらう」
「異世界転生ってこと?」
「うん」
「どうして元の世界で転生しないの?」
「だって元々君は私の、いや、それも思い出してみて」
難しい注文だ。
「さて、君が私の世界に来るのは決定している訳だけど、心残りを残したままは嫌だろうからそれを晴らしてから行こうか」
「心残り?」
「前世の家族に会わせてあげる、と言えども直接会わせることが出来ないから夢枕って形になるけどね」
「そんな事出来るの!」
「長い時間は無理だけどね、ちゃんと君のいた世界の神様に許可もとってあるし」
「ありがとう」
「それではさっそく会わせてあげる」
アトレイアが指を鳴らすろと白い空間から映像が写し出される。
どうやら俺の通夜が行われていたのだろう。
樹理は俺の身体の側で泣き疲れて眠っているようだ、父さんも母さんも寝ている。
「皆眠っているし、ちょうどいいね」
アトレイアがもう一度指を鳴らすと目の前に樹理、父さん、母さんの三人が立っていた。
「姉さん、父さん、母さん」
呼ばれた三人は俺の方を向く。
「「「天理!」」」
三人は見事にハモった。
「えっと、今朝ぶり?」
「本当に天理なのか!?」
「うん」
「親より先になんてとんだ親不孝者よ」
父さんと母さんは泣きながら抱き締めてくる。
「ごめん」
いろいろ言わなければならないのに言葉が出てこない。
「天理~」
大泣きしながゆっくり近づいてくる姉の樹理は父さんと母さんを引き剥がし力強く抱き締めてくる。
「天理の嘘つき~お嫁さんにしてくれるって言ったのに~」
「いや、言ってないよ」
いきなり何を言いだすのやら、俺は苦笑いをする。
シリアス感が一気になくなった、でも樹理のお陰で涙のお別れにならずにすみそうだ。
「えっと、女神様のお陰で皆に別れの挨拶をさせて貰えることになってこうして話しができてるんだ、それで俺は異世界に転生する事になったんだけど」
「じゃあ私も一緒に異世界に行く~」
「無理だよ」
「酷いよ~」
樹理は泣きながらも笑っていた、きっと笑顔で送りだすために頑張っているのだろう。
樹理の頭を優しく撫でる。
「父さん、母さん、今までありがとう、先に死んじゃってごめん、それと姉さん、父さんと母さんをよろしくね」
家族に抱きしめられながら次第にその感覚はなくなっていき気づけば三人の姿がなくなっていた。
「ごめんね」
アトレイアが隣に立っていた。
「謝る必要はないですよ、むしろ家族に会わせてくれてありがとうございます」
アトレイアは俺の手を優しく握る。
「あまりこの世界に長居できないからそろそろ私の世界に移動するね」
「わかりました」
アトレイアは三度目の指を鳴らす。
「ついたよ」
ついたと言われて周りを見回しても先程と全く景色が変わっていない真っ白な空間だ。
「何も変わってないような気がするんだけど?」
「大丈夫、神界なんて元々はこんな感じだから」
今いるのが神界だと言われ驚く、全くなにもない。
「とりあえず私の部屋に移ろうか」
アトレイアが手を前にかざすと魔方陣が浮かび扉が現れた、その扉を開くと部屋がある、どうやら執務室のようだ。
なにもない空間に扉が現れ開くと執務室、いきなりの事に驚きである。
「さぁ座って」
ソファーに座るよう促され素直に座る、その横にアトレイアも座った、しかもとても近い。
「ではまずこの私が創った世界の説明をするね」
そして異世界の説明が始まった。
アトレイアの創った世界、この世界で神と言われるのは彼女だけなのだそうだ。そして彼女を補佐する役目で天使がいるとの事。
今いる場所は神界、そしてこの下の位置に天使達が住む天上界、そしてさらにその下の位置に人々の暮らす下界、最下層に位置し前世でも存在した悪魔達が住む魔界が存在する、神界、天上界、下界、魔界の順に存在していてもそれぞれ空間が異なり簡単に為行き来できる事はないそうだ、そして各界に移動できる者達は限られており魔界に関しては悪魔達が出てこられないよう厳重に封印がしてある為行き来不可能だそうだ。
下界には色々な種族がおり。代表的な者達として人族、獣人族、エルフ族、竜人族、魔人族がいる。まだまだ色々な種族達もいるようだ。
動物はいるのだがそれ以外にもゴブリンやオークといった魔物やドラゴンに神獣と呼ばれる生物が存在して前世の世界よりも危険であると教えてもらった。
下界には大陸が3つ存在するそうだ。
まず一つ目はアロン大陸、この地に住むのは人族が大多数を占めておりここには3つの国がある、デイステン王国、バルカン帝国、マネスキヤ共和国だ。
二つ目はアシュフォード大陸、この地には獣人族、竜人族、エルフ族、ドワーフ族、妖精族、精霊族等その他にもまだいろいろな種族が住んでおり3つある大陸の中で一番大きい、ここには獣人族が納めるジュマ獣王国、竜人族が納めるドラグニア竜王国、エルフが納めるエルリンド王国があるのだがこの大陸の2/3がまだ未開の状態だ。
最後の3つ目はドロテシア大陸、魔族が住む地であり厳しい環境に置かれている場所だ、災害が多く魔物が強い、ここにはメルテツシナ魔王国と言われる一つの国がありかつて魔王が世界征服を企んだそうだ。
この3大陸の中心に島がありその島には各大陸に向かうための大きな橋がかけられている、一般的に大陸の移動をするときにはこの橋を渡るか船で海を渡るかのどちらかである、空の移動や空間転移等の方法もあるがこれは極限られた一部の者達だけが可能だ。
そしてこの島にはこの世界の唯一の女神であるアトレイアを信仰する教団、アトレイア教団の本拠地があり教皇が治めている、その他にも神の言葉を聞く為の部屋、神託の間があり聖女に選ばれた者だけがそこに入室する事を許され女神アトレイアから神託を授かる事ができる、っと言うことになっているが実際は天使がアトレイアの代わりにいろいろ動いているそうだ。
1日は24時間、1ヶ月は30日前後、一年は12ヶ月と前世と変わらない。
冒険者ギルドや商業ギルド、魔導師ギルド等の様々なギルドが各大陸の国々にあり全て共通しているのでどこかの街で登録しておけば各大陸の国々で施設を利用できる。
そしてこの世界にはステータスというゲーム要素が盛り込まれている、これはどんな種族や立場であろうと五歳になる年に祝福の義と呼ばれる儀式を受けてステータスを授かる事が出来、このステータスは訓練次第でどんどん上げることが出来ると言われている。
魔法や魔術、スキル等様々な技術も存在する。
「っとまぁこんな感じかな」
アトレイアは額の汗を拭うポーズをしてやりきったぜ、見たいな雰囲気を醸し出している。
「元いた世界のゲームや小説みたいな感じですね」
「楽しそうでしょ、あ、そうそう、君の事は人族に転生させるつもりだけど言いかな?」
「わかりました」
「素直でよろしい、それと君のステータスは私がいろいろ特典つけておくね」
「ありがとうございます」
「前世の記憶は消さないけど赤ん坊からのスタートだから、産まれて直ぐに記憶が戻る訳じゃなく成長するにつれ徐々に思いでしていく予定だよ」
「はい」
「さて、君はこれから私の創った世界で新たに生を受けて生きていく訳だ、善人なるも悪人になるも好きに生きていけば良いからね、それじゃ行ってらっしゃい」
アトレイアは笑顔で手を振る。
「行ってきます」
アトレイアの言葉にそう答えた。
すると足元に魔方陣が浮かび天理の身体が光に包まれていく、それに伴い意識が遠ざかっていく。
光が消えその場に天理の姿はいなくなっていた。
「さてさて、今後が楽しくなりそうだね、君達もそう思うだろ?」
いつの間にかアトレイアの後ろに数人の者達が跪いていた。彼等彼女等の頭には金色に光輝く輪がある、天使だ。
その中の一人が立ち上がりゆっくりとアトレイアに近づいていく。
「久しぶりだねノルン」
ノルンと呼ばれた女性は呆れた顔をしていた。
「久しぶりだね、じゃないですよ、まったく、あなたは自分の立場を考えて行動してくださらないと困ります、私がいかに優秀で何でもできる超絶美女の天使でもやれることには限界があるんですから」
「ごめんごめん、私も彼を見付けるのに忙しかったんだよ、それより自分の事を褒めすぎじゃないかな?」
「褒めてなどいません、事実を言っただけですから、それよりもやっと見つけてきたんですね」
「見つけたよ、取り返したよ、これで天理は私のだよ、元々私のだけどね」
「まったく彼には同情します」
「酷いよ、君は主である私をもっと立て敬うべきでしょ」
「貴女がもっと働けば考えてもいいですよ」
「何で上から目線なの!?」
アトレイアはふくれながノルンを睨みつける、しかしノルンは呆れた顔するだけだった。
「そんな顔をしてもダメですよ、それに私を創りだした元々の主は貴女のお母様なのですから」
「でも今の主は私だよ」
「だからなんですか?」
冷めた目で見られアトレイアは少し涙目になる。
「苛めるのはこのくらいにしといてあげます」
そのままアトレイアの頭を優しく撫でた。
その光景は端から見ると姉妹である。
天使に苛められた神様だとは誰も思わない。
「さて、彼を探すのに忙しかった貴女には仕事が山積みですからね、さっそくお願いしますよ」
「えー」
そっぽを向くアトレイアの頭をノルンは掴む。
「アトレイア様、やれ」
「はぃ」
その日からノルン監視のもとアトレイアは泣きながら女神として仕事に追われるのであった。