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第七話 戦闘を終えて……

「イヤーーー!! イヤーーーーー!!」


 悲痛な叫び声、こん棒が着弾した場所はもうもうとした土煙で包まれている。


『嘘だ、嘘だ!! そんなこと、そんなことあってはいけない!!』


 俺は視点を上げて下げて回り込んで状況を確認しようとする。

 ホブゴブリンを倒した三人は武器も防具もかなぐり捨てて現場へ走っている。

 一向に晴れない土煙にイライラしながらなんとか状況をしろうと視点を操作する。


「ワン!!」


 土煙が晴れて、防壁に突き刺さり地面が抉られた光景が見えてくる。

 最悪の可能性を考えていたが、その場に人や、血の気配はない……


「くすぐったい。くすぐったいよ」


 声の元に視点を合わせると横たわって、激しくタロに嘗め回されているハクの姿が見える。

 もうね、目頭が熱くなるどころの騒ぎではない……

 俺に目と鼻があったら、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていただろう。


 あの、突然のこん棒の飛来。ただ一人、一匹、タロだけが反応していたのだ。

 ハクに体当たりをしてそのこん棒の狂爪からハクを守ったのだ!


「ありがと、ありがと」


 ハクもタロを抱きしめている。シロが防壁の上部にたどり着き、その惨状を見て理解したようだ。

 ハクとタロごと抱きしめてハクへの愛とタロへの感謝を述べている。

 アカとボウも走って抱き着いている。


『よかったねぇ~~~~~よかったよぉ~~~~~』


 こういう戦闘が続けば、これだけ準備をしても今みたいなことが起こり得るという覚悟は、俺の中にずしんと残った戦いだった。


「強敵を乗り越えて。死と隣り合わせの今日を精一杯生きていこう。が達成されましたポイントが与えられます」


 とんでもない量のポイントが手に入った。

 実績の達成条件はわからないが、どうやらレアな実績を達成したようだ。

 住民進化。俺はまた一つ彼らの生活を前に押し進める。

 ドット絵みたいだった住人達は滑らかな映像へと変化して、一人一人の表情もしっかりと把握できるほど鮮明に変化した。スパファミからペス3になったぐらいの変化だ。

 

「今日の戦いに勝利したことを、我らを守る神に感謝いたします!」


『わあああしゃべったぁぁぁぁぁ!!』


 シロが勝利の祝詞をすらすらとあげるのでびっくりしてしまった。

 村人たちも皆流暢に話し始めた。

 これも進化か、見てみると技術ツリーが一気に進んでいた。

 なるほど、バラバラに技術を取って進化につなげるか、進化で一気に技術ツリーを進めるかって方法があるみたいだ。

 どおりで少しづつ進化に必要なポイントが減るわけだ。


 こうして、村に訪れた一つの大きな危機が去った。

 そこからしばらくは子供たちがパートナーを連れて来たり、リア家、ドン家に二人目が生まれたり、結局8人衆はうまいことくっついて家庭を持ったり、村も穏やかに発展拡張をするゆったりとした時間を過ごすことが出来た。

 ポチタロは孫も生まれた。ファル、コン家族に子供も増えた。モン、キー家族も子供が生まれた。

 家畜も増えて、ニワトリ、羊、馬、牛、豚を飼育している。

 

 イベントも起きた。流れ者たちを受け入れたら村長になるとか言い出して、シロが決闘で流れ者のリーダーを打ち負かして正式に村長になったり、その流れ者と親友になったり、皆の武器が鋼を利用し始めたり。魔石を利用したマジックウェポンが生まれたり。魔法も新たな属性である光、闇属性を覚えたり。

 神様、たぶん俺なんだけど、を敬う宗教が出来たり。

 

 その中でも一番のイベントは、ダンジョンを発見した。

 近くに見えるようになった山に自然のダンジョンが出来ているようだった。

 山のそばまで伐採をして村の規模を大きくして視点がたどり着いたら見つけられるようになった。

 ダンジョン内は探検していろいろなものが発見できる。その代わり魔物が出るのできちんと管理していかないと危なそうだった。

 流れ者たちが中心となって探検家的な仕事を始めた。

 魔石の安定した供給や、不思議なアイテムが手に入るようになっていろんな機能がアンロックされていく。

 錬金術、魔導工学などファンタジーな学問を村人たちが研究し始めている。


 そうそう、教育と言えば初等教育、中等教育、高等教育、専門教育が開始されることになった。

 子供たちは段階を経てそれらを学んで、親よりも優秀な人材へと育っているようだ。

 もちろんたたかう力もこの世界では必要なので、そういった訓練も教育に取り込まれている。

 子供たちの成長が待ち遠しい。


 村は、いや、もう俺は村じゃないな。防壁街とでも言えばいいか?

 堅牢な壁に囲まれた町へと成長している。

 土づくりの壁は今は石造りにグレードアップ、扉も木製から鉄製に変化している。

 それ以外にも俺の建物も以前よりも進化した建築様式にどんどん進化している。

 俺の建物ってなんだよって話だけど、俺が街なんだから仕方ないじゃないか……

 なんで俺が街か、なんてことを考えるのも最近はすっかりなくなった。

 俺の目標はメガロポリス! 住人たちを幸せに、この危険な世界で巨大都市を作るまで止まらねぇぞ!

 と、決めた。


 ありていに言えば、なんかいろいろ諦めました。

 

 進化しているのは自分たちだけではないんだよね。

 敵、魔物も確実に進化を遂げている。

 そろそろ来るかなーと思っていた矢先に、そのアナウンスは訪れた。


「ま、ま、魔王だー!!。世界を救え!。やっぱりファンタジーの王道だよね!。が達成されましたポイントが与えられます」


【人間共よー! 我が魔王様の贄となれ!!】


 魔王軍が、攻めてきました。

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