第四話 危機一髪
建物の周囲をシロとトモが切り開いていく。
鍛冶のおかげで道具は鉄製にグレードアップしている。
森を切り開いたら防御の柵を広げて堀も作る。
建築の中の地形カテゴリーから川を流す。
切り開いた土地はどうやら俺の体の一部となるみたいで視点が移動できる。
そして、その土地に川が流れだす。
あまり川に近すぎると氾濫が怖いのでポイントを使って川は数段下げた場所を流れてもらった。
新たな水の確保と、汚水処理、垂れ流しだが今は仕方ない。
トイレがね、ちょっと人数が増えて衛生管理が難しくなってきたのだ。
『リアもハクも妊娠したから、二人が大忙しだな……』
道具がよくなったので効率が上がっており今のところ問題は起きていない。
農業で作った畑にもいくつかの実りがなってきた。
順調な時にはイベントが起こる。
「風が……泣いています。が達成されましたポイントが与えられます」
嵐が来た。
森を切り開いたと言っても大量の木々が生い茂っている空き地程度、川の水位も上がっても生活の高さまでは達しない。しかし、農地は壊滅した。
嵐になると外の建築が出来ないとは盲点でした……
白人間たちはめげることなく、嵐が過ぎ去って抜けるような青空の元新しい農地を作り始めた。
その力強さに、俺は胸を打たれるような思いだった……
魔物もぱらぱらと来襲していた。
防御の硬くなった我らの村落の守りを崩すことは出来ないが、もう少しハラハラせずにいたいものだ。
魔石が手に入ると魔術研究が進む。魔物を倒すことはある程度必要みたいだ。
『お、三組目か』
待望の村人が訪れたのは日差しの厳しい夏の日。ここ、四季があります。
『フレだな。どうせもう一人来るからドンにしよう』
予想通りしばらくするともう一人が現れる。女性がフレ、男性がドンだ。
ドンはシロとトモよりも体が大きい。力仕事の効率も差がある。
フレはハクとリアの中間ぐらいの胸部装甲の持ち主だった。
家もサクサクっと新築する。
学問を手に入れてから自己技術開発が多くなった。
ポイントは特殊な物や建築に使っている。
それでも実績解除が大量でポイントはあまり気味だ。
シロとハクの子供アカとボウは元気に村を走り回っている。
白人間の成長は早い……
遊び相手はタロとポチの子供たち×6、もう名前思いつかないよぉ……
「初級言語は標準言語に成長しました」
「これでおしゃべりが捗る。が達成されましたポイントが与えられます」
『おお、今までめちゃくちゃにしか聞こえなかったみんなの声がなんとなく意味を持って聞こえる』
例を挙げれば朝の挨拶は「おはー」昼は「こんー」別れる時には「ばいー」と、なんだか多国籍な声を出すようになった。可愛さが増した。特に子供たちの「ぱぱー」「ままー」会話には目じりが下がりっぱなしだ。まぁ家だから(ry
って思ってたんですが、これね、嬌声もちょっと出るようになって。俺の耳には拷問だった。
そこまで生々しくないんだけどね、それだってね、他人のそういうっぽい声は……ね……。
少しは慣れた場所に小屋を作って、夜はそこに視点移動するようにした。
朝日が目に染みるぜ(染みない家だから
そんなこんないろんなことが起きた村ですが、ハクは無事に3人目の子供を、リアは一人目の子供を出産。そしてフレも妊娠中と村の成長は順調です。
ドンは力が強く自然と伐採や採掘担当に、弓の腕前の良いトモは狩猟や釣り、シロは採取や鍛冶などを受け持つことが多くなってきた。こうして3家族が協力して生きている。
『ひとりひとり個性があるねぇ……』
シロはリーダータイプ、皆の先頭に立って何でもやっていく。
トモは天才肌、何でも器用にこなして気が付けば仕事を終えている感じ。
ドンは気は優しくて力持ち、積極的に力仕事を受け持っていつもみんなを気にしている。
ハクはきりっと姐さんタイプ。
リアはおっとりおおらかタイプ。
ポチは控えめだけど譲らないところは譲らない。
俺が生活を見ているとひとりひとりのそんな個性にも気がついてくる。
『……ところで俺はいつまでこうしているんだろう……』
穏やかな日々が続くと根源的な疑問にどうしてもたどり着いてしまう。
どうしてこんなことになっているんだろう……
「僕は魔法使いだ!。が達成されましたポイントが与えられます」
そういうタイミングを見越してか知らないが、なんと、アカとボウが魔法を使い始めた。
子供たちが遊び感覚で魔法を使って大人たちが嬉しそうにそれを眺めている。
新たな時代の幕開けに俺は心を躍らせる。Win&Winだ。
……何か大事なことを忘れたような気がする。
さらに俺の疑問を吹き飛ばす事件が起こる。
複数の魔物が来襲した。
子供たちは家の中に避難させ、まとめてリアが面倒を見ている。
ハクもフレも弓で参戦。
敵の数はゴブリンが5体。
相変らず木の柵を乱暴に破壊しようとしてくるので槍と弓で応戦する。
弓手が3人、そしてトモの弓は上達している。
弓自体も一部に鉄を利用した強力な弓になっている。
敵の数が多くても弓だけで勝負が決まるか……そう俺が考えていたら、村に近づいたゴブリンが木製のこん棒と盾を取り出してきた。
『なっ……敵も強くなるのか……』
もちろん完璧に矢を防げるほど達人ではないが、盾で防御しながらこん棒で柵を激しく叩いてくる。
矢の威力が上がっているので、槍を構えたシロとドンも混じって一緒に攻撃というわけにはいかない……
『まずいまずいぞ……なにか……そうだ! 戦闘中だけど……!』
策を思いついたのですぐに実行する。
タワーディフェンス系のゲームからヒントを得た。
俺は建築する。柵を見下ろすように櫓を二つ。
リアがすぐにそれを利用する。ハクも二つ目の櫓に上り始める。
射線がずれたおかげでシロとドンも柵の隙間から槍を突き出して応戦できるようになる。
弓は上から攻撃を加えることが出来るし、一石二鳥だ。
上部からの矢を防ごうと盾を上げればその横っ腹に槍が突き立てられる。
ゴブリン達も必死に柵を壊そうとこん棒を振るい、とうとう柵の一部が破壊されてしまう。
その一部にゴブリンが群がるが、結果として一か所に集まってしまう。
堀から上がって不安定な場所に弓を受けながら槍で防戦をされてしまえばゴブリンはいくら武装していても一匹、また一匹と倒れていく。
最後の一匹はとうとう村の敷地内に入り込むが、ポチとタロのダブルアタックを受けて灰へと姿を変える。
「ぐぅ……」
最前線で戦っていたシロが座り込む。
どうやら腕を負傷したようだった……
『俺のせいだ……楽観視していた。予測は出来たのに……』
皆に支えられ治療を受けてベッドに横たわるシロ、それを心配そうに見つめるハクやアカ、ボウ、まだ赤子のベイ。その姿を見て俺は自分の甘さに腹が立った。
最近はポイントをたっぷりと余してゆったりと村人たちの成長を見守っていた。
しかし、結果としてそれが村人を危機に晒してしまった。
次の進化は3000ポイント。俺に迷いはなかった。
白人間がさらに頭身がほぼ人と同じ。頭髪が生え、肌の質感が生まれ、表情、顔が生まれる。
ついに、人間へと変化した。……ちょっとドット絵っぽいけども……
そして、洋服が必要になりました……
少し見ちゃった。ごめんよ人妻なのに。
村人の進化に伴い、村の作りにも大きく手を加える。
きっと新たな村人も来てくれる。そう信じて、建築だ!