第十七話 こういう時代が早く来るといいな
こうしてLifeと生誕合同プロジェクトLife Birthの発表は大々的に行われた。
Lifeで使える機能は全て利用可能、互換性もある。
BirthはLifeの上位機種のような扱いとなった。
フルダイブ式のプレイは国が規定した場所、もしくは個人ユニット内で行うことで安全面の考慮がされている。
そして、俺はどうなったかというと……
合同会社であるLB(Life Birth)の開発総責任者になってしまった。
開発の能力もないのになぜこの席にいるかというと、田中さん……今は水鏡 シェイロンに名前が変わったけど、彼女が自分をどうしても近くに置かないと嫌だと8時間ほど社長たちに熱弁をふるったからだ。
彼女の開発力と実行力、それに俺のチェック能力によってLBはこの先もどんどんと進んでいく。
そして今日はシェイロンが開発した本格フルダイブ式ワールドクリエイションゲーム「インフィニティワールド」の発表会だ。
フルダイブ式の性能をいかんなく発揮して、まるで世界を作り上げるような今作は、シミュレーションゲームを超えたシミュレーションゲームとして事前から評価されていた。
LBの発売によって変化したのは人類すべての時間の使い方。
ホワイトカラーの仕事効率はLBの補助下で圧倒的に増加した。
ソフトの発達はハードの発達を助け、ブルーカラーの仕事の多くが著しく進化したAIによる補助を受けられるようになった。
仕事以外のプライベートもLBによって増大し、働く人々のストレスの発散など、社会的な貢献度は計り知れなかった。
世界が変わった日。LBの発売日は後世の人々からそう呼ばれている。
社会機構も変化し、人間の生き方さえも変わっていった。
急速に発展する社会機構によって人間にとっての労働の意義は変化していく。
膨大な時間が必要な研究も実世界の時間を拡張させて進めることが出来る。
LBによって人々は繋がって、人々は手と手を取り合って、真の意味で個々を認め合いながら生きていくことが可能になった。
世界から争いは消え、世界中の様々な情勢の変化によって優秀な人材が頭角を表してさらに科学は発展していく。
LB発売後の怒涛のような革新的進化は人々を新たな世界へと連れていくことになる。
「シェイロン、このシステムに問題は無いよ。素晴らしいねこの子達は」
「神のおかげでこの子達は生まれたは。3台のアルティメットコンピューター。この子達が力を合わせれば、本当の意味での世界を作ることが出来る」
「有機生命体による疑似世界の構築……ははっ、完全に神の領域だな」
「神はもっと絶対的な存在よ。こんな限定的なことしかできない私たちは所詮人間」
「アンドロイドとも違う、完全に自らで『生きる』生命体を作る……
やっぱり僕は少し怖いな」
「この研究の先には、本当に世界を作る。という夢がある。
地球外生命体が今だに見つからない謎にも迫れるかもしれないわよ」
「なんにせよ、シェイロンがいなければこのプロジェクトは成功しない」
「ふふっ、それこそ逆に神がいなければこのプロジェクトは成功しないわ」
「それじゃぁ、二人の初めての惑星を作ろうか」
「ええ……愛してるわ神」
「愛してるよシェイロン」
全身の8割を機械化して研究を続けていたプロジェクトが今日始動する。
ワールドクリエイター。
今までのように仮想世界に作り出すのではない。
現実世界に思い通りの世界を作り出すプロジェクト。
神に対する冒涜だと反対する声も今だに根強い。
それでも、俺は見てみたい。
地球以外の別の世界が作り出され、そしてそれが広がっていく様を。
神になりたいわけじゃない。それでも、もし神のような存在になるのだったら、せめて世界には優しくしてあげたい。
このシステムによる実験が成功すれば、さらにプロジェクトは拡大されていくだろう。
このプロジェクトに携わる人々が、全て自分の世界に優しくしてくれることを切に願う。
俺は、シェイロンと一緒に世界を生み出す。
俺らの世界に生まれる全ての生命体の幸せを心から信じながら……
モニターには現実空間に無から有を作り出していく光景が広がっている。
「綺麗……」
「そうだね」
いろいろな世界が作ることが出来る。すべてが平面の地表によって構成される世界。
巨大な塔がそびえる世界。そして、我々の地球のように宇宙空間に惑星が存在するような世界。
魔法が存在する世界。
精霊が神獣が存在する世界。
魔王や勇者がいるような世界。
どんな世界でも思いのままだ。
「やっぱりはじめは、自分たちと似た世界で検証しないといけないからなぁ……」
「当たり前でしょ、神が言うみたいに魔法だ魔王だ勇者だって世界は維持するシステムの負荷の予想がつかないじゃない。まずはここから、彼らの行く末を見てからよ」
ここから138億年ほどの未来に、この世界に住む生命体たちが何をしているのか、今の俺たちにはわからない。
「さぁ、LB起動、シミュレーションを加速させるよ」
「神、私、今本当に幸せ」
「ああ、俺もだ」
今だに俺の脳は記憶している。初めてゲームで街を作ったことを。
あの興奮が、今の俺の原動力になっている。
これからさらに長い時間がかかるだろう。
しかし、今この瞬間、世界を作り出すシステムが産声を上げたのだった。
私の作品の根底にある今の生活が、もしかしたら誰かの作ったゲームの中なのかもしれない。
というものの、始まり的な作品を書きたいと思っていました。
最初のころはこんなゲームがあったらいいなと思って書いていて、最後にそれをぶっこんだ形になります。
ポカーン( ゜д゜)だったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければいろいろとアドバイスや評価をしていただけますと作者が飛んで喜びます。
ついでに他の作品もぜひお楽しみいただけると幸せで天に昇りそうになります。
繰り返しになりますが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。




