第十三話 偉業と別れ
『うっわ、すごいなこの子。最初からやけにステータス高いと思ったら。
天才型があるんだな……』
すでに何人送り出したかわからないが、どうやら天才を引いたようだ。
こういうゲームではよくあるよね、すさまじい確率で稀に生まれる天才。
元々の能力も高ければ、成長速度も早い。
1を聞いて10を知るレベルで成長していく。
『その可能性だってあったのに、オールラウンダーに育ててしまった……一流の冒険者になったけど……何かに特化すれば超一流になれただろうに……すまぬ……すまぬ……』
どうか彼の人生が華やかになりますように……そうして初めての天才型は大変に優秀だが、どこか抜けたところはないという、あかん感じに終わってしまった。
マイライフは、5歳から15歳(この世界の成人)までの10年間を追体験する。
12歳になると学校へ行くために12~15歳は学園生活、もしくは何かの職種の見習い生活という区切りになっている。
自らのステータスを伸ばしたり、イベントを行ったり、友情を結んだり、恋愛をしたり。
様々な人間模様を体験できる。ちょっと介入しながら。
一度天才型を知ってしまった以上、ついつい天才型を追いたくなるが……
この、マイライフ。一人ひとりに本当にドラマがあって……
天才じゃない、消す。なんてとてもとてもできないのです……
そうとなれば、がんがんマイライフ回しをするしかない!
優秀な人材を送られる国はどんどん大きくなっていく。
接点を持つ諸外国も増えてきて、マップ上の世界情勢がどんどん明らかになっていく。
我が国は諸外国と友好な関係を作りながら、表向きは魔王軍との戦いのためにしっかりと軍備も拡充している。
すぐにでも戦争になるってことはなさそうだけど……
『最近人口が増えて人間が散在しているから地形いじるのも躊躇しちゃうんだよね……一人ひとりに人生があると思うと……』
普通の都市を作るゲームとかならそこに民家があろうが設備があろうが、あとで立てればいいやとぶっ壊して手を加えていたけど……このゲーム、いい感じで感情移入させて来るね……
おかげで現在建築などは全てキャラ任せになっている。
ある条件を満たしたキャラを送り込むと、たとえば学問が始まったり、新しい技術が出来たりしてキャラたちが新しいことを始めていく。
これが楽しくてついついマイライフでキャラクリエイトを繰り返してしまっている。
今はそんな状況だ。
『対魔王軍は勇者君たちが頑張ってくれているから落ち着いていて、少し軍備過剰なんだよなー……
変なこと起きなければいいけど……』
いらんことを思ったせいで、きな臭い出来事が起き始めた。
政治の中枢である大臣たちをはじめとする議会が、教会側の人間と対立し始めた……
俺の声をボヤっと伝えて抑え込み続けていた拡大路線にフラストレーションを貯めていた急進派が、教会側とやり合うことが多くなっている。
シロもハクも一生懸命間に立ってやってくれているし、建国の神の言葉を優先してくれているが……
『もう、俺の手を離れる時期なのかもな……』
悲しいけど、このままいけば教会と国政が対立して内紛が起きても困る。
『ずっと見守っている。君たちの幸せを祈っている。
自由に生きなさい』
俺の意志で彼らをコントロールしようなんておこがましい考えは、捨てました。
傍観者となって彼らの人生を見させていただくだけで満足です。
「局地的竜巻が町に向かってきています」
『よっしゃお父さんに任せておきなさい!』
竜巻の進行ルートに巨大な壁を反り立たせる。
ルートを人里に向けないようにしながら、竜巻の周囲に一気に壁を作る。
周囲から巻き込む気流を遮断することによって竜巻の成長を阻害する。
『ほいほいほいっと、ほほいほいっと』
少しづつ竜巻エネルギー的な物を消費させ、無事に拡散させることに成功する。
あとは盛り上げた大地をならして終了だ。
『いやはや、大きかった。恐ろしい……』
結局、この一件で好戦派一派は鳴りを潜めて、神のお言葉を守っていこうという流れになってくれた。
情けは人の為ならず。とりあえずはホッとした。
いろんなことがあったけど。気がつけば勇者が魔王を倒してくれましたパチパチパチー。
「勇者が魔王を退治しました!
しかし……この戦いが始まりにしか過ぎなかったことを、この時だれも予想していなかった……
To Be continued...」
『これはⅡにいく流れ!』
しかし、魔王戦はいきなりコマンド入力式戦闘になるとは思っていなかったから焦った焦った。
第3形態までで終わりとは思わないで、完全回復アイテム使わずに残しちゃったよ……
国へ戻った勇者は救国の英雄として盛大に祀られ、すでに代替わりしていた国王の後を継ぐのは間違いない。
そして、時間の経過は、哀しい別れも連れてきた……
初代シロ、ハクらから天に召される者が出始めてきた……
すでに何度かワンコ達とお別れをしていたが、やはり最初の皆とのお別れは……つらい。
全王として隠居していたシロが亡くなり、国は悲しみに包まれる。
そして、あとを追うようにハクも亡くなった……
相次ぐ偉大な開国の祖を失ったダメージは国に暗雲をもたらすことになってしまう。
悲しみから目をそらすために、拡大志向が再び台頭してきたのである。
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