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竜のいる日常  作者: 柳都
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ダンジョンを駆け抜けろ!

次話若干遅れるかもしれません。

ダンジョンとは、ある意味では転送魔術のようなものだ。入り口は存在するが、その中にあるのは土や石でなく全くの異空間だ。これが異世界の一部であるのかあるいはそれぞれが独立した空間なのかは分からないが、それぞれのダンジョンで全く違う風景を見ることができる。

大きく分けてしまえば大体は墓場、平原、迷路、森林と後は例外的なその他である。

しかし一応は外の影響を受けるらしく、魔物は総じて弱い。多分ダンジョンコアを持つ魔物でなければ大人が金属バットを振るえば9割型駆除できるだろう。

ダンジョンコアを持つ魔物ですら今回程度の低階層なら中型程度の魔法免許を持っているものなら軽々と倒せてしまうほどだ。


ダンジョンに入り、目に入ったのは墓場だ。

今回は墓場系のダンジョンらしい。


「これなら早めに終わりそうだな。」


キョロキョロと階段を探す。無理をしてまで魔物を狩る必要はない。今回の目的はあくまでダンジョンコアを持つ魔物の駆除とダンジョンコアの奪取だ。


墓場の魔物は大概が足は遅く、厄介な遠距離攻撃を持っていない。更には墓場系は光こそ少ないものの比較的周りを見渡しやすい。なので光球を周囲に張り巡らせて階段を探す。

もちろん光に寄せられて魔物はやってくるが、低階層ならばそう多くもない。


魔物を適当にあしらっているうちに階段を発見し、降りる。これが個人での迷宮駆除の鉄則であり、基本だ。

適当にあしらえない場合はどうするか、それは装備を整え、人数を増やせばいいだけだ。

実際国営の大迷宮などは月に一度の掃討及び階層の確認は100人単位での作戦となる。


そうして最下層の5Fまでたどり着くと、階層の様子は変わり、階段の前の扉がポツンとある場所にたどり着いた。これがダンジョンコアを持つ魔物、要はボスのいる場所になる。


「この扉を見るのも久しぶりだな」


低階層といえどボスは強敵だ、他の魔物の魔石とダンジョンコアではあまりに出力が違う。

なのでまず扉を少し開いて相手を確認する。

そーっと扉の隙間からボスの姿を確認する。

そこにいたのは3つの首を持ち、古来より恐れられてきた地獄の番犬


「ケルベロスかぁ……」


敵の姿を確認した時点で扉を閉め、少しばかり考え込むことにした。

いくら弱体化しているとは言えケルベロスは決して弱い魔物ではない、普通にいるでかい犬だって怖いのだ。ゆうに3mを超える巨体だけでも十分に脅威だ、更に墓場のモンスターに有効な炎は効かないため、一種類しか魔法を使えない人なら普通にやりあうなら完全に詰みだ。


とはいえ、どうにもならない状況ではない。倒すだけなら部屋の外から魔法をぶっ放せばそれで終わりだ、しかしダンジョンコアは破壊されれば魔力が周囲に拡散して魔物を呼び寄せる。更に今回は周囲に魔力の影響を残さないようにしないといけない。


「まぁ、気は進まないけどどうにも手詰まりってわけではないか……」


そうひとりごちると俺は魔法で催眠ガスを生成、風魔法に乗せて部屋の中に拡散させる。

多少気の毒だとは思うがこちらも頼まれたことであるし、手ぶらで帰るわけにもいかない。

5分程度様子を見ると部屋は静まり返っている。

頃合いを見て空気清浄の魔法をかけて部屋に入るとグググと寝息を立てている。起きることは無いと思うがゆっくりと近づく。普段使いのバッグから一本の漆黒に輝く短剣を取り出す。数百年前と違い、銃刀法など有ってないようなもので、長剣やレイピアをこれ見よがしに差していなければ短剣自体はそう珍しいものでもない。

しかしこれは血吸の短剣と呼ばれるいわゆるダンジョンからの出土品で呪いのアイテムらしいのだが、敵を刺すとその血を吸い、血を吸えば吸うほど切れ味が増すと言うもので手入れも最低限で良く、更に返り血を浴びることもないというとんでもない便利アイテムなのだ。


血吸の短剣を手にゆっくりと胸部に刃を立てる。心臓は魔物にも等しく生を称えているが、この瞬間はそう慣れるものではない。


呼吸を整える。


柄を持ち、心臓を一突きし、グリッと捻る。


心臓が音を無くして行くのと反比例するように血吸の短剣は鼓動をするように刀身を赤黒く染めていく。


命に貴賤と言うものはないが、やはりゾンビやスケルトンと言った完全なる人外よりもこういった心臓を持つ温かいものを殺すのはどれだけやっても抵抗が残る。


完全にケルベロスの死亡を確認すると解体作業に移る。

魔物の解体は慣れてしまえばそう難しいことではない、一部を除いて特殊な工程は存在しない上、食用の魔物でもなければ肉を取る必要もないため血吸の短剣によって血抜きが終わっている以上ただの作業だ。


ちなみにダンジョンコアは大体胸部の心臓の逆側に埋まっている。


ケルベロスの解体はこのダンジョンコアを剥ぎ取り、下腹部にある魔獣結晶を取り出して終了だ。

魔獣結晶は獣型モンスターの不要物の結晶で、ここから金や銀などの貴金属を精錬することができる。数トンから10g程度らしいが、それでも無限のように湧くのだからダンジョンというのは鉱山であり、森林資源であり、食料資源の宝庫でもある。


ダンジョンコア自体も高級な魔術資源な上、更にダンジョンコアが無傷であれば適当な場所に埋めると1年程度で新たなダンジョンになるため、利用も容易と至れりつくせりだ。


ケルベロスの解体を終え、行きと同じように適当に魔物の相手をしながらダンジョンを抜ける。


こうしてダンジョンコアを外に運ぶとダンジョンの入り口は消滅するのだ。


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