no.99
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冬休みもあと1日しか残ってない。
休みってどうしてこんなに早く過ぎちゃうのかなぁ。
でも夏休みみたいにボーッとしてなかった。
ほとんどを宮川の部屋で過ごした。
もっともそれぞれ本を読んでいたんだけれど……。
「冬休み、今日で終わりだね。先輩」
「ああ」
なんだか寂しい気もするけど、学校にいくのも楽しみのような……。
RRRRRR。
電話がなったけれど、ママが下で取ったみたい。
部屋の子機がなって、宮川が取る。
「はい、すみません。……宮川です……」
えっ?
なんだかすっごく怖い顔をした。
でもすぐに向こう向いちゃってわからない。
「はい……わかったよ、じゃ」
どうしたのかな、なんだか声もちょっといつもと違う。
「先輩、どうしたの?」
「俺、ちょっと出かけてくる。夜までには戻ってこれると思うけど、食事先にしててもいいから」
そう言って部屋を出ていってしまった。
全然、私の顔見てない。
やっぱりヘンだ。
なにかあったのかな。
私はリビングに行った。
「ねえ、ママ、今、誰からの電話だったの?」
「えっと佐々木さんって人だったわよ。男の人」
佐々木さん……誰だろう。
始めて聞く名前だなぁ。
「宮川君出かけたの?」
「うん、夜帰ってくるって、でも食事先にしてていいって」
「そう」
気になって、気になって……どうしようもない。
しばらくソファの上でうだうだしていた。
ピンポ~ン。
ママが出る。
「まぁ、沙耶ちゃん、どうしたの?」
沙耶?
私は慌ててリピングを出た。
玄関に真っ赤になって泣いている沙耶が立っていた。
「さ、沙耶、どうしたの!」
「アリス、私、どうしていいかわからない。もうどうしていいか、わからない」
な、なにがどうなってどうして、なのかさっぱりわからないよ。
「と、とにかく上がってもらったら、アリス」
「うん、ね、沙耶、上がって」
「そんなこと、していられない。お兄ちゃんが今、うちに行ったし、行かなくちゃ」
な、なんだか全然話がわからない。
「待ってて。今、コート持ってくる。沙耶、一緒に行くから話ちゃんと聞かせて」
私は急いで部屋からコートを持ってくると沙耶と出かけた。
気がはやるのか沙耶は早歩き。
私もそれに着いていく。
「沙耶、ね、歩きながらでいいから事情話してよ。さっぱりわからない」
「沖野君とのことパパにバレて」
「反対されたの? 付き合うこと」
「うん」
「でも、それでなんで先輩が沙耶の家にいくの?」
「初詣したでしょ。あの日、二人でちょっと……ホテル行って……帰ったの朝だったの。それで外でキスしてて、パパに見つかって、沖野君殴られちゃって」
それはちょっとなんと言っていいのか……。
「そのあと、ずっとパパと喧嘩してたの。私は会社を継ぐ人と結婚するんだから男と付き合うのは許さないって。私はパパにとって会社の道具でしかないのよ!」
「沙耶……」
「私、沖野君が好き……だから別れたくない……」
「当たり前じゃない。なんで会社のために沙耶が沖野君と別れなくちゃならないのよ!」
「それで私が沖野君と絶対別れないって言ってたら、それじゃお兄ちゃんに戻ってもらうからおまえは出ていけって。それでお兄ちゃん、呼び出されたの」
「なんなのよ、それ。……でも電話、佐々木さんって人からだったよ」
「その人、パパの会社の人。でもやくざっぽくて大嫌い。パパの危ない仕事とかやってるの」
危ない仕事って……。
なんかちょっと怖いなぁ。
「でもどうするの? 沙耶は沖野君と別れたくないでしょ」
「もちろんよ!」
「先輩がお父さんの会社、継ぐわけないし……」
お医者さんになるって言ってたもんね。
それよりなにより今更って気もするし……。




