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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
96/156

no.96

 私はリビングに行く。


「お帰り、随分早かったね」

 ソファで新聞を読んでいたパパが顔を上げた。 


「うん」

「あら、アリス、帰ったの」

 キッチンから顔を出すママ。


「宮川君はぁ?」

「うん、ちょっと部屋……それよりね、ママ、すごい人だったよ」


 私は何か話さなくちゃと必死に話し始めた。

 けれどかえって不自然だったかもしれない。


「宮川君、どうしたのかしら。コーヒー冷めちゃうわね」

 せっかくママの淹れてくれたコーヒー。

 テーブルにふたつ並んでそのままだった。


「僕が持っていこう」

 えっ?

 パパが宮川のマグカップを掴んだ。


「パパ、あの、私が持っていくから……」

「いや、話もあるしね」

「えっ、でもパパ……」


 リピングを出ていこうとしているパパに声を掛ける。

 でもなんて言って止めたらいいのかわからない。


「パパ……パパっ」

 私は慌ててパパのあとを追って2階に上がった。


「パパ、今はあの……」

「いいから。たまには男同士で話もしたい。アリスは下に行ってなさい」

「でも……」


「宮川君、入るよ」

 パパは、ドアの中に消えていった。


「コーヒー、ちょっと冷めてしまったが」

「ありがとうございます」


「話したいことがあるんじゃないかと思ってね」

「俺……すみません。なんだか……」


 動けないでいるといつの間に来たのか、ママがそっと背中を押した。

「アリス、私達は女同士の話でもしましょう」


 小さな声で言って、リピングに連れてこられた。

 ソファに座る。


「アリス、着物脱いだほうがいい?」

「ううん、もう少し着てる」

 だってまだ先輩にちゃんと見てもらってない……。


「そう。パパたち、気になる?」

 頷いた。


「大丈夫よ」

 ママはキッチンに入って火を消してくるとソファに座った。


「パパとママってね、アリスのころには付き合ってたのよ」

「えっ?」


 同級生というのは知っていた。

 けれどそんな前から付き合っていたなんて知らなかった。


「高校に入ってすぐだったからアリスと本当に同じよね。その当時から言えば付き合ってること自体、随分進んでいる感じだったかしらね。でもキスは1年のときにしちゃったわよ」

「ママ……」


「ふふふっ。驚いた? パパってすっごく真面目でね、成績も優秀でいつも本を読んでたの。私はその横でお構いなしにおしゃべりしてたわ。でね、少し静かにしてくれないかって言われて、急にキスされたの。おしゃべりな口を塞ぐ強硬手段みたいな……ね」


 きゃ~~~~~っ、そうだったんだぁ。

 なんだか想像できない。


「まぁ、今と違ってそれからはそんなに進展しなかったのよ。でもいつも一緒にいて、それだけで幸せで。パパがお医者さんになるって聞いて、私ってば一緒にいたいって看護婦になったの。ママもアリスみたいに結構怖がりだったから、看護婦の勉強は大変だったのよ。それでもパパが色々と助けてくれてね。だからなれたの」


「愛し合ってたんだよね」


「そういうこと。本当はパパが一人前のお医者さんになってから結婚するはずだったんだけど、アリスができて、それでパパが大学4年のとき、結婚したの」


「えっ、じゃ……」

「そう、できちゃった結婚っていうんでしょ、こういうの」


「ぷっ、やだぁ、ママ」

「まぁ、そういうわけで、アリスと宮川君には若いうちはやりたいことやってもらいたいし、子供は欲しいって思ったときにできるのが幸せなの、ね」


「私は?」

「えっ?」

「欲しいって思ってできたの?」


「実はママがすっごく欲しいって思ってたの。病院で生まれた赤ちゃん見たりしてて。でもパパはまだ勉強があるし……まだそういうこと考えてなかったんでしょうね。だけどね、あなたが生まれてからすごかったのよ。ママ以上に可愛がって」


「それは知ってる……」

「でしょ?」

 アルバムの写真にべたべたのパパが一杯あるもんね。


「ママたちも幸せだった。だからアリスにも幸せになってもらいたい。色々あったけど、こんなに素直でかわいいアリスになってくれたんだもの。そうしてくれた宮川君と、ね」


「うん。ごめんね、心配かけちゃって」

「ううん。よく事情はわからないけど、喧嘩しても仲直りができればいいの。そういうものよ」


「うん」

 そうだよね。

 でも今日のは喧嘩っていうのかな……。


「パパ、遅いわね」

「ね、ママ。パパのどんなところが好きになったの?」


「えっ?」

「だってずっと黙って本読んでたんでしょ。つまらなくなかった?」


「そんなことないわよ。本を読んでる横顔なんて最高なんだから」

「やだ……クスクスッ」


「なによ」

「だって私も先輩に同じこと思った」


「まぁ、いやだ。本当に母子ね。パパってね、あまり話さなかった。でもね、すごく優しい人なんだってわかって、それでママから告白したの」

「え~~~っ」


「でね、一緒にいて本当に優しかった。黙っていて結構気を遣ってくれたりね。さらっとそういうことしてくれて、側にいてとても安心できたのよ」

「うん」


 やっぱり似てるね。

 ママたちと私達。

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