no.90
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朝食のあと、少しうとうとして気がつくとお昼近かった。
宮川はベットの端に座って本を読んでいた。
先輩って本とか読むんだぁ。
なに、読んでるのかな?
「おっ、目が覚めた?」
「うん。なに、読んでるの?」
「ああ、ちょっとね……」
そう言って本を閉じるとキスされた。
「おまえの寝顔、かっわいー」
「もうっ!」
なんか一日こんな風に寝てるのもなんだなぁ。
「ねぇ、先輩。ちょっと外の空気吸いたい」
「ん? 窓、開けるか?」
「ううん、出かけたい」
「まぁ、天気はいいから寒くはないと思うけど、大丈夫なのか?」
「うん、もう平気」
「そうなの?」
「うん!」
「じゃ、着替えてこいよ。俺、戸締りしてくるから」
私はベッドから出た。
宮川のトレーナーで膝よりちょっと上まで隠れてる。
「あっ、これ、しまっとけよ」
そう言ってネグリジェを渡された。
そうだよね、これ、どうしよう。
「どこに入れとこうかな。ママに見られるのやだな」
タンスに入れておいても洗濯物入れたりするのに見つかりそう……。
「そうだな、こりゃ、ちとなんだよな……。俺のとこ、入れとくか」
「えっ?」
「俺のとこなら見つからないぜ」
そうか……。
とりあえず宮川のチェストに入れておいてもらうことにした。
「ほら、早く着替えてこいよ」
「うん!」
自分の部屋に戻ってトレーナーを脱いだ。
そんな姿が姿見に映ってドキッ。
あれっ?
「きゃ~~~~~~っ、なに、これ!」
胸のちょっと上のところにアザ!
「どーした、アリス!」
宮川が勢いよくドアを開けて入ってきた。
「きゃ~~~~~っ、ダメ! まだ服着てない!!」
「だっておまえが叫ぶから……」
宮川は、そっぽを向いて言った。
私は胸を隠してガクガク。
「どしたんだよ」
「えっ、あ、あの、あざ……」
「えっ?」
「だっ、だからこっち見ないで!」
「なんだよ、別にいいじゃん」
「よくな~い!」
「で、アザって?」
「えっ、あの、胸のとこ、アザ……」
「なんだよ、気がつかなかったの? 俺がつけたの……」
う、うそ……。
これがもしかしてキスマーク?
「見えるとこにしてねーぞ、いーじゃねーか」
うっ……。
「そんなんで叫ぶなよ。さっさと着替えろ」
そう言って宮川は出ていってしまった。
キ、キスマーク……。
そ~っと腕を離して、鏡で見てみる。
しっかりついてる。
カーッ。
と、とりあえず服着よう。
あせあせ……。
急いで服を着て、鏡台の前に行った。
鏡に映る自分を見つめる。
顔、赤い……。
体も熱い……空気は冷たいのに……。
髪を両サイドにゆるめに三つ編みにした。
ふぅー。
「ねぇ、アリス。あなた、変わった?」
鏡に映る自分に話し掛ける。
変わった気がする。
でもよくわからない。
「アリス」
ドアの向こうで宮川の声がした。
「こっち戸締りできたぞ。ちゃんとコートとマフラーしろよ」
「は~い」
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外は日差しがぽかぽかしていた。
私達はまず食事をして、ウィンドーショッピングしたりしてあっという間に時間は過ぎていった。
なんだか普通のカップルみたいにこうして時間を過ごすこともあまりなかったから、とても楽しかった。
「そろそろ帰るか。今夜は何が食べたい? 作ってやるよ」
結局、帰りにスーパー寄って、家に帰ってから宮川が食事を作ってくれた。
「私も何か手伝う」
「じゃ、皿出して」
お皿を出して……。
なんかこんなことばっか……。
「あの、私も何か作る?」
「おまえはいい。座ってろ」
「でも……なにかしたい」
いつもいつもやってもらうだけっていうのがちょっと寂しい気もしていた。
しょぼんとしていると宮川がテーブルにレタスの入ったボールを置いた。
「これ、やってくれ。レタスちぎって皿に乗せて、こっちの卵崩してぱらぱらかけるんだ」
「うん!」
言われたとおりにお皿に乗せると切ったトマトを差し出された。
「ほら、これ飾って」
お皿の端に並べて飾る。
彩りがきれい!
お料理したって気はしないけど、でもこれだけでもやれたことが嬉しい。
「さて、こっちも出来上がり。食べようぜ」
テーブルに並べられたお料理はほとんど宮川の手作り。
「先輩って本当に上手だね」
「ずっとやってきたからな。大した物は作れないけど。おまえもサラダ作ったろ」
「でも、これだけ……」
「少しずつできるようになればいいんだよ。俺が教えてやるから」
先輩、私が落ち込んでるの気がついてて、だからサラダ作らせてくれたんだね。
なんでもわかっちゃうんだ。
食事を済ませて、二人で片付けをした。
その横でコーヒーメーカーがコポコポッ。
「俺、部屋行ってあっためとくよ。おまえもコーヒー持って来い」
「あっ、じゃ、私も部屋暖房入れて……」
「いいよ。もったいねー。俺の部屋だけで。コーヒーできたらこっちも暖房切ってこいよ」
「う、うん」
もったいないなんて、ちょっと言い訳っぽいよ。
ふふっ。




