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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
89/156

no.89

「よし、それじゃ」

 そう言っていきなり掛け布団ごと抱きしめられた。


「きゃ~~~っ。コーヒーこぼれちゃうよ」

「あっ、わりぃ」


「それ、よこせ」

 そう言って私の手からマグカップを取って、机の上に置くと掛け布団に包まれた。


「なに?」

「ちょっとがまんしろ」


 持ち上げられて下になっていたタオルケットを引っ張る。

「ほいっと」


 くるくるっとタオルケットを丸めた。

「これ、洗ってくるから、おまえはそのまま、な」


「えっ、ちょっとそれ……やだよ、自分で洗う!」

「いいの。俺はこういうこともやりたいの。ほれ、おまえはこれ飲んでろ。くれぐれもそのまま、だからな」


 そのままってとこを強調して出ていってしまった。

 恥ずかしいじゃないよ、そんなの。

 でも正直、体を動かすのはちょっとまだ辛いかな……。



 ******



 コーヒーを飲み終えて、思いっきり手を伸ばしてマグカップを机の端に置いた。


 ふぅー。

 とうとう大人になっちゃったりしたんだよねぇ。


 気がつくと手が首筋をなぞってる。

 や、やだなぁ、私って。

 本当はものすごいエッチだったりして……。


 自分でやってて、顔から火が出そう。

 でもこんな風にみんな大人になっていくんだよね。


「うっ……な、なんか、やっぱりこのままって寒いかも……」

 布団に入っていても何も着ていないとなんとなく寒い気がした。


 周りをきょろきょろ。

 えっ?

 昨日着ていたネグリジェが綺麗にたたまれて、向こうの壁際にあるチェストの上にあった。


 な、なんであんな遠くにあるの。

 しかもしっかりパンティも乗ってたりする。


「洗濯終了!」

 宮川が戻ってきた。

 布団にもぐりこんでいた私を覗く。


「おいっ、どした?」

「うん、ちょっと寒いかなって……」


「俺があっためてやろーか?」

「きゃ~~~っ、もうやめて……」

「バカ……あっ、これ着る?」


 ネグリジェを差し出して言った。

 首を振る。

 だってこんなに明るいのにそれは着れないよ。


「んじゃ、これ貸してやる。着てろ」

 そう言って宮川は、自分が着ていたトレーナーを脱いで私の頭にスポッと被せた。


「えっ、でも……」

「着てたやつのほうがあったかいだろ。俺はこっちの着るからいい」

 そう言ってチェストから別のトレーナーを出して着た。


「早く着ろよ。あったかいうちに……」

「う、うん」


 袖を通す。

 本当にあったかい……。

 そして先輩の香りがするよ。


 でもすっごく大きい。

 指の先も出ない。


「ぶかぶか……」

「ホントだ。おまえちーさいからなー」


 ドキッ。

 なんか小さいって言葉にひどく反応しちゃう。

 思わず胸隠してたりして……。


「クラスで一番ちいさいの、おまえだろ」

「違うもん!」


「じゃ、何番目?」

「2、2番目……」


「あはははっ、1番も2番も大してかわんねーよ」

「先輩が大きいんだよ」


「俺、187だぜ。おまえ、いくつ?」

「……150……」


「ちーせー」

 ぷん。

 どうせ小さいですよ。


「でも俺はそんなおまえがいい。抱き上げても軽いしよ。座って抱いてたって全然平気だし。大きかったら重てーだろ」


 そ~か~。

 椅子に座ってて抱っこされてるのって、結構気持ちよかったりするんだよね。

 ボッ。


 きゅるるる~。

 へっ?


「おまえって、なんでこんなにちーせーのに食うの?」

「お、お腹が勝手に空いちゃうんだから、し、仕方ない、でしょ」


 恥ずかしい。

 お腹が鳴る音なんて……。


「待ってろ、今、なんか作ってきてやるよ」

 ふぇ~ん、恥ずかしいよぉ。

 お腹のバカ!


 しばらくして宮川は、パンにサラダを挟んで持ってきてくれた。

「ほら、空腹なお姫様へのご馳走だぞ」


 布団の上にお盆ごと乗せて、宮川は横に座った。

「食えよ、うまいぞ。俺が作ったんだからな」


 そう言ってひとつぱくりと口にした。

 私も取って食べる。


「うん、おいしいっ」

「だろ?」

 こんなになんでもやってもらって、本当に甘えてばかり。


「ありがとう。先輩」

「いーの。俺はやりたいからやってる。甘えてたいんだろ。俺はおまえのそういうとこ、好きだからそれでいいんだよ」


「うん、うん……」

 涙出てきちゃうよ。


「こら、なに、泣いてんだよ」

「……幸せだから……」


「ブァーカ。ほれ、マヨネーズついてる」

 宮川は私の口の端を指で拭くと、その指をぺろり。


「うめっ」

 本当に幸せだよ。

 先輩が素敵だから……。

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