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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
88/156

no.88

 宮川はすーっと離れると電気を消してくれた。

 部屋が真っ暗になって、それもまた怖いかも……。


 ベッドに戻ってきた宮川はベットのライトをつけた。

 またキスされて……。


「これならいい?」

「……うん……」


 ネグリジェを脱がされて、肌と肌が触れる。

 先輩の体、熱い……。

 胸にキスされて……体が震えて……。


「怖い?」

 私は首を振った。

 怖くない。

 そうじゃない。


「無理しなくてもいいよ、アリス」

 そうじゃない。

 離れないでいて!


 そっと耳にキスされた。

 手を伸ばして宮川の背に回す。

 怖くないから……。


「痛いかもしれない……我慢できる?」

「……できる……」


「愛してるよ、アリス」

「うん」


「愛してる」

「うん」

 またキスの嵐。


「うん……先輩……」

「基樹だよ……」

「うん……基樹……」


 もうなにも考えない。

 ただ繰り返し名前を呼んで……ただ繰り返し……。



 ******



 宮川の腕の中、あったかい。

 人の肌ってこんなに気持ちいいんだ。

 宮川が髪をなでる。


「柔らかいな……」

「うん?」


「髪……」

「……うん……」

 こんな風に腕枕されて寝てるなんてなんだか少し信じられない。


「ごめんな、痛かっただろ」

 そう言って額にキスされた。


「よく我慢できたな……」

 そうだね。

 よく叫ばなかったなって自分でもびっくりかも。


「先輩だから……」

「ベッドの中では名前、呼べよ」


「う~ん、でも癖で……」

「名前!」

「はい」


「うん!」

「うん」


 はははっ。

 宮川の胸に手のひらを置く。


 あったかい。

 ふわふわと体が宙に浮いている感じがする。


「……まだ少し怖かったかもしれない。でもね、せ……も、基樹が抱きしめててくれたから。私を大切に思ってくれる基樹だから……私を守ってくれてる基樹だから……愛してる……基樹だ、から……」


 言っておいて恥ずかしくなって布団の中に隠れた。

 でもすぐに布団を引っ張られて見つめられた。


「おまえが名前呼ぶのって色っぽい……」

 えっ?


 半分閉じた目で見つめる。

 その表情が好き。

 覆い被さってきて、耳元で囁かれる。


「アリス……もっと名前、呼んで」

「基樹……基樹……基樹……」


 耳にキスされて続かなくなった。

「……もう一回したい……」

 えっ?


「名前、呼ばれたら……」

 ちょ、ちょっと待って……。


「もう、一回……アリス……」

 首筋にキスされる。

 ふ~っ、体が熱くなっちゃう。


「もう、だめだ、よ、先輩……」

「名前、呼ばなくちゃ、だめだ、よ……」


「基樹……」

 胸にキスされて……。


「ねぇ、もう……基樹……」

「もうとまんない……」


 基樹……。

 少し怖くて、熱い夜だった。



 ******



 目が覚めると朝だった。

 うん?


 瞬間ドキッとする。

 見なれた天蓋のバラがない。


 昨夜のことを思い出して、一気に心臓の鼓動が加速した。

 体を起こして痛みがあって、またパタリと横になる。


「あれ、先輩?」

 横にいるはずの宮川がいない。

 もう起きちゃったのかな。


 ガチャッ。

 ドアが開いた。


「おー、グッタイミング。ほれ、コーヒー」

 う~ん、起きて飲みたいけど……。


「ちょっとアリス少し下に行ってみろ」

「うん?」


 私は言われた通り布団を被ったまま、足のほうにずりずり。

 宮川は床にあったクッションふたつを枕と重ねてポンポンと整える。


「ほれ、いいか、引っ張るぞ」

 そう言って脇の下に手を入れられた。


「きゃ~~~~~っ!!」

 慌てて手を引っ込める宮川。


「きゃ~って、なんだよ」

「ご、ごめんなさい。びっくりしちゃった」

「座るの、つらいだろっ。叫ぶな」


 そうムスッとして今度は両腕をガッシと捕まえて体を持ち上げて、クッションによりかかるような形で座らせてくれた。


「ほれ、飲め」

 マグカップを渡された。


「あの、ありがとう。ごめんね」

「もういいよ。いきなり触った俺も悪い。改めて、おはよう、アリス」


 そう言って頬にチュッ。

 生まれて始めての一番幸せな朝……。

 ふふふっ。


「いい顔してるよ、アリス」

 恥ずかしいな、ちょっと……。

 コーヒーの湯気で隠れないかな……。


 ベッドに座ってコーヒーを飲む宮川の横顔を見つめる。

 ずっと幸せでいようね。


 RRRRRR……。

 いきなり電話が鳴って、マグカップを落としそうになった。


 宮川が立って机の上にある子機をとる。

「はい。あっ、お母さんですか。おはようございます」


 ママからだ。

 慌てて肩まで布団を引き上げてしまった。

 その様子を見て宮川はクスッと笑った。


「はい。昨日はとても楽しいパーティーでした。お母さん達はいかがですか?」

 窓から差し込む朝日に照らされてる宮川の髪がきらきらして、眩しかった。


「えっ? あっ、そうなんですか。……いえ、こちらは大丈夫です。……はい、もちろん、そうします。心配いりません。楽しんできてください。アリスに替わりますか?」


 私を見て言った。

 ひゃ~~~っ、話したくない。

 今は話したくない。

 慌てて首を振った。


「あっ、まだ寝てるみたいですけど……はい、わかりました。それじゃ」

 ピッと切る音がして、子機を机の上に戻した宮川。


「あははははっ。もういい加減起こせだってさ」

「もぅ、先輩が余計なこと言うから」


「だって、話したくないって……」

「私、先輩みたいに冷静に話せそうにないもん」


「そうだな、危ない危ない」

「ママ達、もう帰ってくるの?」


「あっ、いや。なんかキャンセルがあって空きができたから今夜も泊まるって。帰ってくるのは明日になるとさ」

「ふ~ん。久々の旅行、楽しんでるんだね。よかった」

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