no.86
な、なんか話……。
黙ってるととても息苦しい。
「あっ」
「なんだよ」
「あのね、先輩にクリスマスプレゼントあるんだ」
よかったぁ。
これで今までの話は消そう。
「持ってくるね」
急いで部屋を出て溜め息。
プレゼントを持ってくると宮川の部屋に入った。
「はい。これ、ママと選んだんだ」
「開けてもいい?」
「うん!」
ガサガサと開けて出てきたのはベスト。
「おーっ、いいじゃん、これ」
「あのね、学校にもこれなら着ていけるでしょ。寒いとき、着てね」
「サンキュ、アリス」
頬にチュッ。
えへへっ。
喜んでもらえてよかった。
「実は俺からもあるんだ」
「えっ?」
そう言って手渡された箱。
私がプレゼントしたのよりちょっと大き目かなぁ。
「実はさ、沙耶に言われて……でも女にプレゼントなんてしたことねーから、沙耶に頼んだんだ。俺も中身は知らない。開けてみろよ」
「うん」
中から出てきたのは……。
カードが入っていたので見てみる。
『これを着たアリスを見たい 基樹』
「おれ、そんなの書いてないぞ。沙耶のやつだろ。で、なに、これ?」
「えっとね、着てって書いてあったから服かな……」
やわらかな白い布の袋に入っているものを引っ張り出してみた。
えっ、な、なにぃ~~~!!
真っ白のすけすけのネグリジェ……。
「うっうそ……あっ、もう1枚カードが入ってた」
ネグリジェの間からヒラリと落ちたカードを見る。
『焦らなくてもいいけど、これ、着てね。沙耶』
沙耶までこんなことして……。
は、恥ずかしいな、もぅ。
顔が熱い。
赤くなってるよね。
参ったなぁ。
ちらっと宮川を見た。
大きな手で口押さえて……。
「もぅ、沙耶までこんなことして……ね、先輩」
恥ずかしくて……。
「……」
「えっ?」
宮川が口を押さえたまま、なにか言った。
「それ着たおまえ見たい……」
ば、バカなこと言わないで……。
こんなすけすけのじゃ、見えちゃうよ。
「おれ、シャワー浴びてくる」
そう言って部屋を出ていってしまった。
ふぅー。
もう一度ネグリジェを広げてみた。
膝くらいの丈だよねぇ。
一体どこでこんなの買ったんだろう、沙耶ってば。
きちんとたたんで袋に入れた。
冷めてしまったコーヒー飲んで気持ちを落ち着けた。
しばらくして宮川が戻ってきた。
ドキドキ。
やっと落ち着いてきたのに。
「おまえもシャワー浴びてこいよ」
「うん」
私はネグリジェの入った箱を置いたまま、部屋を出ようとした。
「おいっ」
「な、なに?」
なんだかビクビクしちゃう。
「せっかく貰ったんだから、これ、着てこいよ」
そう言って宮川はネグリジェの入った箱を差し出す。
「えっ、で、でもね……その……」
「着てこいよ」
「う、うん……」
着てこいよって言われてもね……。
私は箱を持って、お風呂に行った。
ドレスを脱いで髪の真珠をとる。
「う~ん、もうママったら取ること考えて着けてくれたらいいのに。面倒」
髪の真珠を取るだけで結構時間がかかってしまった。
シャワーを浴びてさっぱり。
体がほかほかした。
髪を乾かして……やっぱりこれ、着るのぉ。
ネグリジェ広げてカーッ。
着てみて……。
やっぱりすけすけじゃない。
これじゃ、いくらなんでも……。
私はドアを開けてきょろきょろ。
いない。
まぁ、いるわけないんだけど……。
そ~っと自分の部屋に入った。
ふーっ。
早く別のに着替えちゃおうっと。
コンコン。
えっ、な、なに?
慌ててベッドの上にあったガウンを掴んでいた。
「なに、やってんだよ、こそこそと」
ドアを開けて宮川が立っていた。
「えっ、あ、あの、えっと……」
ガウンで前隠して、しどろもどろ……。
うわぁ~、こっち来ないで……。
「ちゃんと髪乾かしてきたか」
髪に触れられてドキドキ。
「……うん……」
すーっと伸びた腕に頭を抱え込まれてしまった。
きゃ~~~っ、この格好でそんなことされるとのぼせちゃいそう……。
「ここ、寒いよ、アリス」
そういえば、こっちは暖房つけてなかった。
「あっ、今暖房入れるから……」
「いいよ。俺の部屋、行こう……」
えっ、えっ、でも……この格好……。
「あ、あの……」
「しーっ」
ひょいっと抱き上げられた。
また、抱っこ~~~っ。
恥ずかしいってばぁ。
とか考えている間に宮川の部屋に連れてこられてしまって、降ろされる。




