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ありす☆らぶ  作者: 湖森姫綺
85/156

no.85

 ******



 やっと家に戻って……。


「ママたちいないと静かだねぇ。もう向こうに着いたかな。途中で食事していくって言ってたけど」

「どうだろうな」


 私はもらった花束を花瓶に入れた。

 コポコポとコーヒーメーカーの音がする。

 もうそろそろできるかな。


「あっ、先輩、疲れたでしょ。部屋に行ってていいよ。今、コーヒーできたら持っていってあげる」

「ああ」


 私は花瓶をリビングのテーブルの上に置くと、コーヒーを持って宮川の部屋に行った。


「コーヒー持ってきたよ。どうぞ。私着替えてきちゃうね」

「もう少しそのままでいれば」


「えっ」

「めったにこんなカッコできねーだろ」


「う、うん。そうだね。私も先輩のかっこいい姿、もっと見てたいもん」

「ブァーカ」


 えへへへっ。

 宮川は棚に並んでいたCDの1枚を引っ張り出した。


「聴く?」

「うん」


 始めてだなぁ。

 こうして二人で音楽聴くのって。

 たくさんCD持ってるんだ。


「これ、俺、好きなんだ」


 静かに流れはじめた音楽。

 なんだかクリスマスって感じの……。


「山下達郎のなんだけど、クリスマス用に作られててさ」

「あっ、英語なんだ」

「ああ」


 うわぁ、素敵。

 あんまり音楽とか聴かなくて知らなかったけど、いいなぁ、こういうの。


 私が聞きほれていると隣に座った宮川はガサガサ。

「旅行券……」


「ああ、一年間有効だってよ。そのうち行ってみる?」

「……うん……」


「これはなんだろーな」

 そう言って高田が渡してくれたプレゼントを開け始めた。


 ワクワク。

 でも途中で宮川の手が止まった。


「なぁに、それ?」

「いや……」


 慌てて今破いた包みに隠したりするから、気になった。


「ね、なに? 私にも見せて」

「ダメ! あっ、いや、なんだ、これは……」


「えっ?」

「だからおまえは見なくていい」


 そう言って背中を向けちゃったから、もっともっと気になって……宮川の後ろから手を伸ばした。


「見せてぇ~」

「こら、ダメだってば、おいっ」


「や~っ、私も見たい!!」

「アリス、やめろ」


「捕まえた!」

 宮川の手を押さえて持っていた箱を取った。


 後ろから宮川に抱きつくような格好になっちゃったけど、しっかり取れたもんね。

 宮川の肩に頭を乗せて手にある箱を見る。


 宮川がフッと下を向いたものだからさらっと髪が頬に触れる。

 後ろからだから表情が見えない。

 隠すようなものなの?


 はて、これはなに?

 薄っぺらな箱。

 英字が並んでて……。


「なに、これ?」

 後ろをひっくり返したり、表を見てみたり。

 始めてみるものだ。


「おまえ知らないの?」

「始めてみた。これ、なに?」

 箱を開けようとしていきなり手を掴まれた。


「ば、ばか、開けるな!」

「なんで……」


「……」

「手、離してよ」


「……だよ」

「え?」

「コンドームだよ、バカ!」


 ひ、ひぇ~~~~~~っ!!

 箱を放り投げてしりもちをついた。

 は、始めて見た。


「ったく、あいつら、よくも……」


 あ~っ、びっくりした。

 や、やだなぁ、知らないとはいえ、持っちゃったじゃない。


 慌ててコーヒーを飲んだ。

 はぁー。


 先輩たちってばとどめにこんなことしてくれて。

 許さないんだから。


 あー、ドキドキ収まらない。

 ところでなんで先輩はわかったんだ?


「先輩、なんで箱でわかったの? 持ってたりして……」

 しんとしちゃって気まずくて、変なこと言っちゃった。


「ああ」

「えっ? ええ~~~~~っ!!」

「お父さんにもらった」


「な、な、なんでそんなものっ。いつ、もらったのよぉ~~~っ!!」

「キャンプ帰って来た日……」


 うん?

 そういえば二人で飲んじゃって、パパがなにか先輩に……今の箱のようなものだった……。


 パパってば、パパってば!!

 まったく男ってば!!

 ……。

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