no.84
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広間に戻ると皆ダンスしたり、立食を楽しんでいる。
沙耶と沖野が走ってきた。
「探してたんだよ、アリス」
「あっ、ごめんね」
「ううん、それより……」
沙耶がなにか言いたげにしている。
なに?
「ほら、ちゃんと言うんだろ」
「うん」
沖野に言われて、沙耶は顔を上げた。
「おめでとう」
「なにがおめでとうだよ」
宮川が呆れて言った。
「お兄ちゃんは黙ってて。あのね、私、感動しちゃった。素敵だったよ。本当の結婚式みたいだった。アリス綺麗で、ついでにお兄ちゃんもかっこよかった」
「ついでで悪かったな」
「あははっ、でもでも本当に素敵で……いいなって。おめでとう、アリス」
いきなり抱き着かれちゃった。
「沙耶……」
「ブァーカ、こんなんで感動すんなよ。ほんものはもっとすげーんだから」
沙耶がパッと離れて宮川に向き直った。
「じゃ、本物見せてよね。もっと感動したいんだから!」
「わかってるよっ、ほら、アリス行くぞ」
宮川に肩を抱かれて歩き出す。
「きゃ~~~っ、わかってるだって、わかってるだって~っ。お兄ちゃんってばぁ~~~」
後ろで沙耶が騒いでる。
わかってるって……。
それって……。
「よー、幸せものぉ」
「素敵だったわよぉ」
冷やかしの声。
一段と賑やかで……。
「おーっ、幸せ幸せ。おまえらも幸せかぁ」
「もちろんだよ、なぁ」
「ねー」
名前も知らない。
でもそうやっていつも私達を皆が見守っててくれるんだよね。
本当に幸せ……。
「俺達も踊ろうぜ。せっかくのダンパだしよ」
「うん」
俄仕込みのダンス。
それでも音楽に乗せて踊って……。
楽しい時間が流れた。
「皆、楽しそう。よかったね、ダンスパーティーやって」
「そうだな」
こんな素敵な先輩も見れたもんね。
ほんとうにかっこいいっ!
楽しい時間はあっという間に過ぎて……。
「そろそろお開きの時間が迫ってまいりました。皆さん、楽しんでいただけたでしょうか。二人きりのイブもいいですが、こうして我々は楽しい時間を共有できました。こういうのもまたいいではありませんか」
大里がマイクを持っていた。
「そして最後にこんな幸せな時間を一段と盛り上げてくれたお二人に生徒全員からのプレゼントがあります」
「はい。二人とも前に出て」
川上に言われる。
いつの間にここにいたんだろう。
川上に背中を押されてステージの前に出る。
静かに音楽が流れ始めた。
「生徒代表の方、どうぞ」
沙耶と沖野が花束を持って現れた。
「沙耶……」
「これは私達、生徒全員からの二人へのプレゼント」
沙耶から花束を渡された。
沖野が宮川に封筒を渡す。
「いつまでも私達の憧れのカップルでいてね」
な、なんかやっぱり恥ずかしいなぁ。
「生徒全員からのプレゼントですが、ホテル宿泊券です。新婚旅行にでも使ってくださいとのことでした」
大里がマイクでそう言うと皆の大歓声。
「なに、考えてんだよ。ったく」
「ちゃんと二人で行ってくださいよぉ」
「証拠写真もしっかり撮ってきてください~」
わははははははっ。
「そしてこちらは我々生徒会4人からのプレゼントです」
大里が言うと高田がリボンのついたプレゼントを宮川に渡した。
「これはおまえが使えよ」
「それでは、これでクリスマスダンスパーティーはお開きとなります。気をつけてお帰りください。また来年、学校で会いましょう!!」
ドキドキで賑やかだったパーティーは終わった。
「よっ、楽しめたかよ」
高田が来て言った。
「まったくおまえらも懲りずによくやるよな」
「楽しかったわねぇ、アリス」
川上が笑顔を見せた。
「そうそう、素敵だったわよぉ。花嫁! 私もあんなことした~い」
山内が高田の腕に抱き着いた。
「今回もなかなかだったでしょう」
大里まで言う。
「まぁな、でもあんまり脅かすなよな」
「アリスがかわいそうだから?」
川上に冷やかされた。
「うっせー」
前髪を掻きあげて、そっぽを向いちゃった宮川。
「いいなあ、アリスは。本当に大切にされちゃって」
そう言った山内を高田が抱きしめた。
「俺だって由美を大切に思ってるよぉ」
「う~ん、俊平」
はぁ~っ。
あはははっ。
ははははっ。
いろいろやってくれちゃうけど、やっぱり素敵な仲間だね。
先輩。




