no.81
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そして終業式も無事に終わり、一度家に帰って6時からグリーンパークホテルでダンスパーティ。
「パパ、宮川君のほうはできたぁ?」
「こっちはもうOKだよ。アリスの方は?」
「まだよ~」
二人がかりで私達の準備。
「ママ、やっぱり派手! 恥ずかしいよ、こんなの」
「そんなことないの。アリスは癖のある髪で派手だからこのくらいドレスも派手じゃないとダメなのよ。さぁ、あとは口紅つけて」
「やぁだ、そんなのぉ」
「だめ。ほらこっち向いて!」
まるで人形のようにあれやこれやとされて……。
「さぁ、できあがり。こっちに来て立ってみて。ほら、姿見でちゃんと見てごらんなさいよ」
私は諦めてママの言うように姿見の前に立つ。
サイドをアップにした髪にまるで真珠を編み込むようにしてつけてあって、きらきらしてる。
真珠のネックレスとイヤリング。
赤いドレスについている真珠も輝いてなんだかきらきら、きらきら。
化粧をしたせいか、なんだか自分じゃないみたいで……。
「さっ、宮川君が待ってるわよ」
「ママ、恥ずかしいよ」
「なに言ってるの。素敵よ、アリスちゃん。ママの自慢の娘なんだから、もっと自信持ちなさいよ」
ママに引っ張られてリビングに行く。
「お待たせ。できたわよ。ほら、アリスちゃん、入って!」
ママに押されてリビングに入る。
「ほぉ、わが娘ながら惚れ惚れするね。ママ、なかなかのできじゃないか」
「なかなかとはなによ、パパ」
「いや、すまない。最高だよ。うん」
なんだか恥ずかしいくて視線が上げられないよ。
先輩どう思ったかな……。
ちらっと宮川の方を見た。
「わぁ、先輩、かっこいい!!」
黒のスーツ。
シルバーのシャツにタイ。
きゃ~、きゃ~、かっこいい!
「だろう。パパのコーディネートもなかなかなもんだろう」
「うんうん!!」
「あっ、ママとパパは先に荷物、車に積むから、ちょっと待っててくれる?」
「うん」
バタバタとリビングを出ていったパパとママ。
「先輩、すっごくかっこいいよ。こういうの似合う!!」
「アリス……きれいだ……」
えっ……。
「えへへへっ、なんか恥ずかしい。あっ、あのね、ママってば、あれも、これもって……あのね……」
宮川の手が顎に触れる。
「きれいだよ、本当に……」
半分閉じた目でじっと見つめないで。
その表情、好きだけど、ドキドキしすぎちゃって、妙な気分になっちゃうんだもん。
「先輩、あの……」
額にキスされた。
そして耳元で囁かれる。
「本当はくちびるに……でもそれはあとにとっておくよ」
うわぁ~、ドキドキ……。
宮川は目の前に顔を近づけてにこっと笑った。
「せっかく化粧したんだもんな。きれいなアリスをみんなに見せ付けてやるんだ!」
「やだぁ、もう先輩ってば!!」
「行こう」
「うん」
「ママ、用意できたぁ?」
「こっちはOKよ。行きましょう」
車で会場まで送ってもらう。
「ママ達も楽しんできてね、熱海」
「もちろんよ! あなた達もパーティー楽しんでいらっしゃいね。それとお留守番もよろしくね」
「はぁ~い」
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私達は開場の1時間前にホテルに着いた。
すべてホテルに任せられる状態にはなっていたけれど、やはりいなくちゃねってことで。
でもホテルに入ると山内が飛んできた。
「やっぱり早く来たわね」
見透かすような顔をして言った。
「二人はみんなと同じようにしてって言ったでしょ」
「おまえらだけじゃ頼りになんねーんだよ」
本当はそういうことじゃないんだよね。
4人が私達は他の生徒たちと同じように今回のパーティーを楽しんでもらいたいからすべて任せてって言われたとき、なにかまた企んでるんだって気がついた。
だから早めに来たんだよね。
「こっちに来て。二人には私が呼びに来るまでここにいてもらうわ」
そう言ってホテルの1室に通された。
「なんだよ、それ」
「いいから。私達の気持ちなのよ。いうこと聞いて」
「山内先輩、また何かするんじゃないでしょうね」
「ふたりに嫌な思いなんてさせないわよ。楽しいパーティーしたいだけ。いい、ここにいてよ」
そう言って山内は出ていってしまった。
「先輩。また何かやるつもりみたい」
「わかってる。でもまっ、いいんじゃねーか」
「でも……」




