no.78
******
「っんだよ、おまえら全員知ってたのかよ!」
あぁ、怒り爆発だ。
「どういうことか説明してもらおうか!」
「あ、あのね、先輩、あのね……」
「アリスは黙ってろ!」
ひぃ~~~ん。
「アリス!!」
「ごめんなさ~い。川上先輩っ」
「まったく余計なこと言うんだから。話がこんがらがっちゃったじゃないのよ」
「僕が説明するよ。川上座って」
大里が昨日のことを話した。
「んで、川上がアリスにキスしたってのぉ~?」
話を聞いた宮川が気の抜けた声で言った。
「そうだよ。勢いあまってって感じ。悪気はまったくないんです」
大里が冷静に話してくれたお陰でなんとかまるく収まりそうだった。
「そ~かよ。でも、もうアリスに手、だすなよ、川上」
「ばっかなこと言わないでよ。私は女なんですからね!」
「へ~、その女が女にキスしたんじゃねーかよ。変な気起こすなよなぁ」
「ちょっとなによ、その言い方! 私はね、アリスのこと心配して……だいだい心配だったらちゃんと捕まえときなさいよ! アリスのこととなるとてんで弱気なんだから。情けないったら」
全然まるく収まんないじゃな~い!
「なんだとぉ!」
「あははははっ、ばかばかしくって聞いてられないよな、由美」
「ほ~んと、なんなの? おっかしいったら」
いきなり高田と山内が笑い出した。
「ガキみたいにヘソ曲げてんじゃないよ、基樹」
「うるせー!!」
収まりつかないじゃない。
大里がいきなり立って、私に耳打ちした。
えっ?!
「ゃ、やだよ、そんなの」
「いいから、やってみてよ」
そ、そんなこと言われても……。
「なんだよ!」
こそこそやってるのが気に入らなかったらしい。
え~いっ、もうどうにでもなれ!!
私は宮川に抱きついた。
耳元で囁く。
「……好き……先輩だけが好き……」
し~ん。
うぇ~ん、みんなの視線が集中してるのがわかるよぉ。
でもこれでご機嫌直して、先輩。
私は目を丸くしている宮川にキスした。
「きゃ~~~っ、アリス、大胆!!」
「おー」
山内と高田の声が……。
恥ずかしい。
恥ずかしいからまたそのまま抱きついた。
「先輩だけが好き。ずっと好き……」
だからもう怒らないでよ。
お願いだから。
「ブァーカ……」
宮川が私を抱きしめた。
勢いよく抱きしめたものだから椅子に座ってる宮川の上に座る形になってしまった。
首に抱き着いていた腕がするりと滑って……。
顔を隠した。
恥ずかしいよぉ。
「もういいよ、アリス」
耳元で囁かれた。
大里先輩、ありがと。
えへへっ。
もうちょっと抱き着いてよ~と。
「いやぁ、俊平。私もぉ」
「おい、由美やめろ! こらっ!!」
ガラガラッ、ドッシン!
「いってぇ」
「あ~ん、なんで私達はアリスみたいに素敵なシーンがないのよぉ、つまんない、つまんな~い!!」
「まったく何してるのよ、由美さん。宮川君とアリスじゃなきゃできないこと真似しないのよ」
「はははっ、あはははっ」
大里が珍しく大笑いしていた。
「それじゃ、ダンパの話、しよーか。まずセッティングやらなにやらで一応ホテルのほうと打ち合わせしなくちゃならないんだよね。それは会長と副会長に頼んでいいかな」
「OK」
宮川が答えた。
「じゃ、俺達は軽音部と打ち合わせするから。高田と山内は予算のほう頼むよ」
「わかったわよぉ。もぅ、アリス、いい加減見せつけないでよ」
「もう少しこうしてたい」
「まだいいぞ、アリス」
笑いやらため息やら……。
でも皆、心配してくれたんだよね。
私は皆が大好き。
ここにいる皆が大好き。




